超音速旅客機を手がけるブームCEOも登壇 スタートアップとAWSのシナジー
信頼される機械学習サービスを目指すAWS QuickSight Qでは自然言語で検索も
2020年12月07日 07時00分更新
増え続けるAWSのMLサービス どこまで信頼できるのか?
今までの発表はML開発者向けのサービス紹介だったが、当然ながら「機械学習のモデルを生成したくない」というユーザーも存在する。こうしたユーザーに向けて、AWSはMLの技術とAmazon自体ののノウハウを組み込んだMLサービスを提供している。写真や動画の認識であれば「Amazon Rekognition」、音声発話であれば「Amazon Polly」、音声書き起こしであれば「Amazon Transcribe」などなど。その他、翻訳や文脈認識などのテキスト処理、検索、チャットボット、パーソナライズ、需要予測、不正検知、コードレビューなど、サービスは多岐に及んでいる。
ジャシー氏は、これらMLサービスを正しく利用するポイントとして「どれだけ信頼できるかを検証すること」を挙げる。「多くの企業はこの予測がどれだけ正しいか、自分たちのアプリケーションでどれだけ使えるかを気にする。こうした場合、影響が小さいところで、まずは試してみて、精度を照らし合わせる。また、顔認証や在庫予測、コードレビューなど影響が大きいところであれば、予測の結果を気に入り、複数のインプットを使って納得した結果で、意思決定をすればよい」とジャシー氏は語る。自動化に向けたサービスの利用が増える中、精度に向けた関心が高まってきた結果のコメントのようだ。
昨年発表されたコードレビューツール「Amazon CodeGuru」では、Amazonにある12万のアプリの実績を元にアプリケーションでもっともコストのかかっているコードを特定することができる。新たにPythonのサポートが発表されたほか、セキュアではないコードのリアルタイム検知も可能になった。
また、開発者だけではなく、運用の現場でも役立つ「Amazon DevOps Guru」も新たに発表された。機械学習を用いることで、コンフィグミス、遅延の増大、キャパシティ不足、メモリリーク、I/Oのオーバーコミットなどを検知。ユーザーに迅速に通知するとともに、修正についてもリコメンドしてくれる。「われわれはたくさんの経験を積んでおり、精度も上がっている。最終的にみなさんに頼ってもらえるように、投資を続けていきたい」とジャシー氏は語る。
もはやMLを知らなくてもいい 自然言語で検索できるQuickSight Q
開発者に向けては、MLフレームワークをより使いやすく、またMLサービスによって自社への組み込みを簡単にというメリットを提供してきたが、そもそも機械学習を学ぶことなく、恩恵を受けたいというユーザーもいる。確かに事業部門やビジネスの担当者からすれば、機械学習はあくまでツールであり、目的ではない。こうしたユーザーにとっては、機械学習を意識することなく使えるアプリケーションこそが重要だ。
ジャシー氏は経営指標やKPIを可視化するBIツールについて語る。BIに関しては「Amazon QuickSight」の登場により、サーバーの管理やダッシュボードなどがクラウド化されたが、顧客からは自然言語を使いたいという要望があった。簡単に言えば、SQLを直書きせずに必要なインサイトを得たいというニーズだ。
これに応えたのが、自然言語での検索を可能にする「Amazon QuickSight Q」だ。具体的には機械学習を活用して、ユーザーの意図とデータの意味を理解し、ビジネスデータに関する質問に対してSQLを生成してくれる。これを実現するために数百万のデータポイントによる学習とあらゆる業界のトレーニングを行なったという。「たとえば、プロダクトの12ヶ月の売り上げや別の製品との比較などを数秒で応えてくれる。特別な聞き方はしなくてもいいし、しゃべるように聞けばいい。機械学習についてお客さまはなにも知らなくても使える」とジャシー氏はアピールした。
アスキーではAWS re:Invent 2020を引き続きレポートする。