他社が追いつけない要素がなければ、その事業自体をどうするか、考えないといけない
かつてのパナソニックの主力である、テレビやレコーダーなどのAVC事業に携わり、白物家電や車載事業にも関わるなど、幅広い領域での経験を経ての社長登板となる。
津賀社長は、「入社後すぐは、私とともにR&Dの現場にいた。その後は離れて仕事をしていたが、横からは見ていた。パナソニックには、どの事業に注力するか、その理由は何かを考える上で、現場の感覚や事業競争力、技術、コストなど、トータルな現場感を持つことが必要である。新社長人事は、指名報酬諮問委員会で決められたものであり、私が選んだわけではないが、それができる人材として選ばれたと思っている。また、短時間で本質的な課題を見出すことができ、そこに方向性を与えることができる。しかも、現場密着でメンバーをリードしながら改革していくことができる。私とバックグラウンドが似ているが、彼の方が現場に密着するねちっこさがある」と評する。
ここ数年担当しているオートモーティブ事業は、収益性の改善を目指す再挑戦事業に位置づけられているが、「車載事業の改革は道半ばであり、改善の余地が沢山ある。現在は黒字化しているが、競争力を維持し、黒字を継続できるかを見極めている最中である」と説明。津賀社長は、「トップになると誰にも相談できないという経験を早くして欲しかったが、この数年間は、事業のトップとして、タフなデシジョンをしてきた。経験も積んでもらったと思っている」などと述べた。
楠見次期社長は、「パナソニックには、まだまだ低収益の事業がある」と前置きし、「創業者の理念は、社会に貢献した結果、利益を得ることができるというものである。利益が低いということは、社会貢献の度合いが少ないということであり、競合他社に比べて、貢献度合やスピードなどが後手に回っていたり、負けていることだといえる。利益を伴った成長をするには、他社の劣後にまわらない要素があったり、他社が追いつけない要素を、ひとつか、2つ持つ必要がある。他社が頑張っても追いつけない、というものがある事業がコアになる。その観点から、競争力を徹底的に強化することが必要である」とする。
ここでは、「もし、他社が追いつけない要素がなければ、その事業自体をどうするか、考えないといけない」という厳しい姿勢もみせる。
また、「現場の人が事業を動かしていることを深く理解しているつもりである。現場がやる気を出し、改善することが、競争力につながる。そして、絶え間ない改善が必要である」としたほか、「アプライアンス社では、パナソニックビューティで、肌をきれいにするために何をするのか、どんな人を対象にリプレースするか、それを考え抜く力が競争力につながることを学んだ。それぞれの事業で、異なる競争力があるが、事業ごとに異なる軸で、何か競争力を持つことが大切である」と述べた。
そして、「忌憚なく、忖度なく、色々なことを言ってもらえるような風土にしたい。経営トップの耳にも色々な声が届き、社員の知恵を集め、課題を教えてもらうところからスタートしたい」と、目指す姿も示してみせた。
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