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業界人の《ことば》から 第66回

赤字をなくすめど立たず

パナソニックのプラズマ撤退、その背景とは

2013年11月20日 09時00分更新

文● 大河原克行

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今回のことば

「200億円の赤字を黒字化する、あるいは赤字を半減するといった施策が見えない。これが、プラズマの撤退を決断した最大の理由」(パナソニック・津賀一宏社長)

18年にわたるプラズマの事業が終息

 パナソニックがプラズマテレビ事業からの撤退を発表した。

 2013年12月までに、プラズマディスプレイパネル(PDP)の生産を終了し、2014年3月までに、工場の売却なども視野に入れながら、事業を終息することになる。

 「PDP事業は、一時は1000億円を超える赤字にまで膨らんだ。それを様々な施策によって、200億円規模の赤字にまで絞り込んできた。しかし、200億円の赤字を黒字化する、あるいは赤字を半減するといった施策が見えない。これが、撤退の決断をした最大の理由」と、パナソニック・津賀一宏社長は説明する。

 これにより、1996年に、世界初のプラズマテレビとなる「プラズマビュー(TH-26PD1)」を発売して以来、約18年に渡るプラズマテレビ事業を終息する。今後は液晶テレビにリソースを集中して、テレビ事業を推進。将来的には、有機ELへの展開も視野に入れることになる。

 「プラズマテレビから撤退しても、パナソニックのテレビ事業の価値はなくならないと考えている」と津賀社長は語る。

 液晶テレビの大型化を進めているほか、有機ELテレビの開発に力を入れているのがその理由のひとつ。そして、「テレビはこれから白物家電のひとつになる。そこでパナソニックの価値を提案できる」というのがもうひとつの理由だ。

 津賀社長は、その具体的な取り組み例として、スマートビエラをあげる。

 「スマートビエラは、マイホーム機能が最大の特徴である。テレビは単にテレビ放送を受けるだけのデバイスではなく、ネットにつながり、クラウドを利用しながら、様々なサービスが提供される。生活の場において、暮らしを助けるデバイスになる。より家と一体感を持ったようなテレビづくりを目指していく」とする。

 パナソニックは、住宅関連事業だけで、2018年度には売上高2兆円を目指す計画だ。テレビのスマート化は、パナソニックの白物家電や住宅関連事業において、価値を提供するデバイスになるというのが、パナソニックが目指すテレビの立ち位置になる。

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