副業や働き方に関する、お悩みにお答えします!
「副業したいけど、時間がない」「第二新卒・30代で、転職するかどうか迷っている」など、副業や仕事に関するお悩みやご相談ありませんか? 大学時代に立ち上げたハピキラFACTORYの社長で、パーソルキャリアの会社員でもある正能茉優さんが、皆さんのお悩みにお答えします!
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●父と同世代の悩み、一緒に考えます
ASCII読者の皆さん、こんにちは!正能茉優です。
今月も、パーソルキャリア株式会社の新規事業企画、ハピキラFACTORYの代表、そして慶應義塾大学大学院の特任助教と、3つのお仕事をしています。
さて、この連載「お仕事悩み、一緒に考えます。」では、今月も、読者の皆さまからいただいたお仕事に関するお悩みについて、一緒に考えていきます。
今月のテーマは「“新世代”とも言える若者たちとの接し方」について。
若者たちとの接し方に悩む、父と同世代の方がお便りをくださいました。
おそらく「正能さんは、若者目線でどう思いますか?」という意味合いでお便りくださったのかと思いますが、最近は学生や後輩などなど、自分より年下のメンバーと接する機会も多いので、「若者じゃない側」のご相談者さまと同じ目線でも、考えていることをお伝えできたらと思います。
●新世代、どう接していいかわかりません
正能さん、初めまして。服飾系の会社で営業として働く、小泉と申します。
年齢は、58歳。正能さんのお父さんと同じくらいかもしれません。
普段は若者向けの回答が多いこちらのコーナーですが、今日は、若者と働くことについて伺いたいことがあり、ご連絡しました。
現在、私のチームには、私より30歳以上若いメンバーが4名おり、その人数はチームの過半数にあたります。私自身、今年の上半期までは、40代以上のメンバーしかいないチームで働いていたこともあり、そのギャップに戸惑う毎日です。
たとえば、残り少ない勤務時間の中で、今日中にできれば終わらせたい業務が発生した時のこと。もちろん先約があれば、そちらを優先することもあると思うのですが、「今日はもう遅いので、明日にします」と言われることがほとんどになりました。
個人差もあるでしょうが、「できることはなるべく早く」という発想じゃないんです。
他にも、瑣末なことではありますが、業務状況がどうであれ、昼休みは毎日必ず1時間休憩したりすることも引っかかります。
(「昼休みを取るな!」ということではなく、もう少し柔軟に、業務に対応してほしいと思っております)
と、色々な行動を見る限り、何かと責任感を持って働いているように見受けられず、心の引っかかりをおぼえるのです。
とはいえ、こうした言動を真っ向から否定できるような時代でもないことはわかっておりますので、正能さんのお考えを伺いたく、お便りを出しました。
今時の若者たちのこうした行動を、私たちの世代が受け止めるために、彼らがどんな気持ちで「一見、責任感がないようにも見えてしまう行動をしているのか」、また「この心の引っかかりを解消する方法はないのか」、教えていただけるとうれしいです。
(小泉さん・58歳・会社員・営業職)
●最近、私にも後輩ができました
小泉さん、こんにちは。
私と同世代の方からのお便りがいつも多いこのコーナーに、ご連絡をくださってありがとうございます。
新世代との接し方。
実は私も、ここ数年は大学院の特任助教として10歳近く年下の学生たちと一緒にプロジェクトを動かしたり、最近は会社のチームにも後輩ができたりと、自分よりさらに“新世代”の若者と接する機会が増えて、このテーマについては、小泉さんと同じように悩むようになってきました。
これまでは“新世代”として「どうして、おじさま方はわかってくれないの?」という発言を繰り返してきた私ですが、自分より下の“新世代”にムッとする気持ちが、最近わかるようになってしまったんです。(苦笑)
●新世代に“ムッとする”気持ちの正体
まず、上の世代が、“新世代”に対して心に引っかかりをおぼえるのはどんなときか。
私の場合、それは決まって、「そんなこと言っちゃうの?」「そんなことできちゃうの?」という“驚き”と“うらやましさ”がある時でした。
上の世代が縛られている当たり前をいとも簡単に乗り越えてしまう身軽さに、ある種の“驚き”を感じ、さらには「自分がその年のときは、そんな言動できなかったのに」という“うらやましさ”も感じ、これらの掛け合わせがムッとした気持ちにさせるんですよね。
たとえば、小泉さんがおっしゃっているような、「『なるべく早く』という気持ちで動かない」「お昼休みをいつでも平然と取ってしまう」という新世代の行動も、もしも私がその様子を目の当たりにしたら、「いいなあ」「私も、そんな風に自分のペースでやりたいなあ」とうらやましく思ってしまうからムッとするんだと思います。(笑)
逆に “うらやましさ” をまったく感じず、純粋な“驚き”の気持ちだけを持った時というのは、彼らの言動を「え、そんなことするんだ!不思議なもんだ…」と落ち着いた心で受け止められたりするものです。
だからきっと、上の世代が、下の世代に対して“ムッとする”かの鍵を握るのは、下の世代への「いいなあ」という気持ちの有無なんだと思います。
●嫉妬心からくるムッとした気持ちは、成仏させるしかない
ただ最近、下の世代に“ムッとする”という現象は、たとえ下の世代の行動を制限したとしても、消しきれないことも分かってきました。
新しい価値観を持った“新世代”のことですから、たとえ現状で引っかかっている物事を無理やり変えさせたとしても、また新たに引っかかることが生まれてしまうもの。さらに、悔しいことに、そこに彼らの悪意は全くないため、私たちがイライラしながら指摘をしたとしても、ピンと来るはずもない。
そう思うと、一つ一つの行動にいちいちムッとすること自体、バカバカしくなってくるんですよね。
だから、本質的な解決としては、上の世代が、自らの嫉妬心を、成仏させるしかないと思うのです。
ちなみに、私が最近ムッとしてしまう“新世代”対策として実践しているのは、「(最低限、人様に迷惑はかけないように気をつけながらも)ムッとした行動を、真似してみる」ということ。(笑)
小泉さんのお話だったら「(少し締め切りが先の仕事は)定時上がりを優先にして、無理なく取り組む」とか「(少し業務に余裕がある時には)昼休憩を長めにとってみる」とか。自分が漠然と「いいなあ」と思ってしまうことをやってみると、案外それで気が済んだり、意外と仕事が回ることに気がついて、自分の行動を変えられたりもします。
こうして、相手を変えることなく、自らの嫉妬心を、成仏させていく。
そんな前向きな解決方法はいかがでしょうか。
●“仕事”への責任感よりも、“人”への責任感
そしてもう一点、小泉さんの書かれていた「下の世代は、責任感がないように感じる」という点ですが、こちらについては、私も同じ違和感を覚え、学生たちと何度か話したことがあります。
その結果わかったのは、「彼らは責任感がないわけじゃない」ということ。
ただ、上の世代とは、責任を感じる対象が違うんです。
「責任感は一定ある。けれど、“仕事”に対する責任感よりも、“人”に対する責任感の方が圧倒的に高い」というイメージでしょうか。
たとえば、私たちが活動をさせてもらっている地域で、台風被害があった時のこと。「いつもプロジェクトでお世話になっている街が大変なことになっているから、手伝いに行こう」という伝え方をすると、「授業が」「バイトが」とおよび腰になってしまう学生たちでしたが、「〇〇さんの畑が浸水した」「XXさんの家が大変なことになっている」という情報を知った途端、積極的に動いてくれるようになりました。
この子たちはプロジェクトや仕事といった抽象的な概念ではなく、“〇〇さん”という具体的な存在に気持ちを動かされて責任感を発揮できるんだなあと見せつけられた瞬間でした。
だからこそ、ひとつひとつの仕事の見せ方・伝え方を、ただの業務ではなく「(下の世代が裏切ってはいけないと思える)誰かのために」と人に紐付けた形で伝えてみたりすると、大きく、行動が変わってくるかもしれません。
以上、私もまだまだ模索中ですが、次から次へと登場する“新世代”とのかかわり方。
自分たちとは圧倒的に“違う”存在だからこそ、できる限り前向きに模索して、楽しく一緒にやっていけたら、と願っています。
協力:QREATOR AGENT
起業家、デザイナー、研究者など、職業・業界にかかわらず、クリエイターの才能を最大化することを目的に結成されたPR会社。江渡浩一郎(メディアアーティスト)、落合陽一(メディアアーティスト/筑波大助教)、きゅんくん(メカエンジニア)、坂巻匡彦(プロダクトデザイナー)など、約170名のクリエイターが所属している(2016年8月上旬時点)。
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