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クラウドネイティブな基盤で「WANの問題を解決」、東京/大阪の接続拠点を通じ国内SMBにも展開強化

SASE/SD-WANのCato Networksが日本法人設立、事業戦略を説明

2020年11月09日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 2016年からSASE(Secure Access Service Edge)ソリューションを提供してきたイスラエルのCato Networks(ケイトネットワークス)が2020年11月5日、日本法人であるCato Networks株式会社の設立を発表した。

 記者説明会にはCato Networks共同創業者兼CEOのシュロモ・クレイマー氏、日本法人 カントリーマネージャーの田島弘介氏が出席し、同社創業の背景からグローバルにおけるビジネスの現状、今後の日本市場における事業戦略が説明された。

Cato Networksが提供するSASEプラットフォーム「Cato Cloud」の概要。拠点用のゼロタッチSD-WANデバイス「Cato Socket」もしくはモバイルデバイスから直接、グローバルに60拠点以上展開するPoP(接続拠点)に接続する

Cato Networks共同創業者兼CEOのシュロモ・クレイマー(Shlomo Kramer)氏、日本法人 カントリーマネージャーの田島弘介氏

「WANのトランスフォーメーション」をシンプル化するソリューションを提供

 クレイマー氏は「わたしが創業した企業はこれで3社目だ」と語る。同氏は1993年にファイアウォールのCheck Point Software Technologiesを共同創業、また2002年にはWAFのImpervaを創業した人物だ。2015年にCatoを創業した理由については、「WANの問題を解決したいと思った」からだと語る。

 「この(WANの)課題については数百億ドル規模もの可能性を持つ市場が広がっている一方で、過去25年間、これぞという解決策は登場してこなかった」(クレイマー氏)

 グローバルなバックボーンネットワークやMPLS網から、拠点セキュリティ、WAN高速化まで、従来のWANソリューションはどれも単体ソリューションであり、顧客企業は多くの労力を費やしてそれを「つぎはぎ」し、利用する必要があった。WAN環境は「非常に複雑、非常に高価、そして柔軟性に欠ける」という“3つの痛み”を抱えていたと、クレイマー氏は表現する。モバイルやクラウドの利用が急速に浸透し、WANの構成がより複雑化するなかで、その“痛み”は増している。

 そこでCatoでは、SD-WANなどWAN関連機能とネットワークセキュリティ機能とを統合した「Cato Cloud」を構築し、2016年にクラウドサービスとして提供を始めた。ガートナーが新たなカテゴリーとして『SASE』を定義し、ハイプ・サイクルで取り上げた2019年よりも前の話だ。Catoでは、自社のサービスを「世界で最初に提供を開始したSASEプラットフォーム」と紹介している。

 「(WANとセキュリティの機能を)融合して使いやすくし、すべてのユーザーに単一のグローバルなサービスとして提供している。これによりコスト、アジリティ、サービス品質のすべてでメリットがある」「WANのトランスフォーメーションをシンプル化するソリューションとして、多くの顧客が導入している」(クレイマー氏)

WANおよびセキュリティのソリューション群を統合し、複雑/高コスト/非柔軟という課題の解消を狙ってSASEのサービスを展開している

 Catoでは、Cato Cloudへの接続拠点であるPoPをグローバルに60拠点以上に展開している。クレイマー氏は「1四半期ごとに4つ以上のペースでPoPを増設している」と述べ、日本国内ではすでに東京、大阪の2拠点があると紹介した(大阪は2020年8月に開設)。

 グローバルでの導入顧客数はおよそ650社あり、そのリモートユーザー数は20万に達する。ユースケースとしては、SD-WANを利用したMPLS網のコスト削減のほか、グローバル各拠点からのアクセスパフォーマンスの向上、全拠点/ユーザーに対する単一セキュリティポリシーの適用などがあるという。

Catoの導入顧客例。とくにWANコストの削減効果が高い、多拠点/グローバル展開の企業が目立つ。日本では工業用ミシンメーカーのJUKIが顧客企業として公表されている

 「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の世界的流行においても、Catoの顧客企業はわずか1日、あるいは数時間程度で、オフィス勤務から在宅勤務へのスムーズな切り替えができた。モバイルユーザーは3倍に急増したが、Catoのネットワークはそれを吸収できるスケーラビリティと柔軟性を持っている」(クレイマー氏)

パンデミックによってリモートワーク/在宅勤務が増え、モバイルユーザーが3倍に急増した

国内での展開を加速、SMB層への販売強化やMSPモデルへの対応も

 日本法人であるCato Networks株式会社は、2020年10月1日付で設立された。カントリーマネージャーの田島氏が、日本国内市場における今後の事業戦略について説明した。

 国内では2017年から、マクニカネットワークスをディストリビューターとして大手企業層を中心とした販売を進めており、現在は製造、建設、流通/サービスを中心に60社以上の顧客企業を持つという。今回新たにフーバーブレイン(Fuva Brain)をディストリビューターに加え、SMB層も含めた幅広いニーズに応えていく方針だ。

 2020年の国内ビジネス状況について田島氏は、リモートアクセス需要の大きな伸びを背景として新規、増強の双方で大規模案件が続いているという。新規顧客の売上額は対前年比で約3.4倍、同 平均売上額も対前年度比で約2.3倍と、新規ビジネスは順調に伸びている。そうした需要の伸びに対応するために、8月には大阪PoPを新規開設した。

国内でもすでに60社超の顧客を持つ。MPLS網の置き換えなど、多拠点/グローバル展開をする顧客のWAN課題に対応

 競合の多いSASE市場におけるCatoの特徴、顧客から評価を受けているポイントについて、田島氏は「創業時からクラウドネイティブなプラットフォームの提供を目的とし、SASEが求めるものをサービスとして提供してきた」点だと回答した。「単に従来の技術を組み合わせたり焼き直したりしたわけではなく、必要なものをあらためて設計したことで、管理の統合性やパフォーマンスの最適化が実現できている」(田島氏)。

 今後の戦略については、従来どおり急成長するSASEニーズへのアプローチを図ることに加えて、マネージドサービスプロバイダー(MSP)モデルでの事業展開、販売体制の拡充を図るとした。

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