ここがシャープマスクと違うところ
だが、パナソニック製のマスクが、あまり話題になっていないのには理由がある。
それは、シャープのように一般ユーザーに向けて販売されていないからだ。主に、パナソニックの社員や関係者向けに供給されるに留まっている。
同社では、2020年4月に、自社で不織布マスクの生産を開始することを発表していたが、その時期には、マスクが品薄に陥り、市場への供給がひっ迫していたタイミングだった。そのため、「パナソニックグループとして、マスクの外部調達を削減することで、市場のマスク供給の安定化に貢献できる」とマイク生産の理由を示すとともに、「医療用マスクの生産についても検討する」としていた。当初から、一般に向けて販売することは想定していないのだ。
パナソニックでは、「一般用マスク」および「一般医療用マスク」として、主に社内および関係先に向けて出荷。とくに、夏向けマスクは、通気性機能の大幅向上という特徴を生かして、スポーツ振興およびアスリート支援を目的として、各種スポーツ関連団体に寄付を行った。
寄付をしたのは、公益社団法人大阪府剣道連盟、一般社団法人埼玉県ラグビーフットボール協会、一般財団法人全日本大学バレーボール連盟、一般社団法人日本社会人アメリカンフットボール協会、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会、公益財団法人日本野球連盟、V9チャンプリーグ実行委員会で、総数10万枚にのぼるという。
パナソニック製マスクは、こうした場所でも利用されていたのだ。
岡山工場が閉鎖された
だが、気になるニュースが飛び込んできた。
マスク生産を行っている岡山工場を、2021年9月末で閉鎖することがパナソニックから正式に発表されたのだ。
パナソニックの発表によると、同工場の業務用AV機器のモノづくり機能を、大阪府門真市の同社北門真拠点などに移管、統合することになるという。
同社では、マスク生産の移管については言及していないが、社会貢献にもつながる同社のマスク生産だけに、今後の生産継続を望む声もある。