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新年度経営方針と2024年までの中期経営戦略を説明、IT人材育成や「インソース化」支援も強化へ

日本MS吉田社長、日本全体のDX推進に向けた「MS自身のDX」を語る

2020年10月12日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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あらゆる層におけるITスキル強化、「ITのインソース化」への支援強化

 顧客DXを支援していく2021年度のアプローチとして、吉田氏は「セキュリティ基盤の確立」「ワークスタイル変革 Next」「次世代デジタル人材の育成」「アプリケーション開発の民主化」といったキーワードを挙げた。

日本のDX推進を考えるうえでは「次世代デジタル人材育成」と「アプリケーション開発の民主化」の取り組みが欠かせないと説明

 吉田氏はとくに「DXを進めるうえで、日本はスキリング(スキル教育)のところが非常に遅れている」と指摘したうえで、DXの推進と並行して、すべての層におけるデジタル人材の育成とスキル強化の取り組みが必要であるという認識を示す。

 具体的な施策としては、政府自治体職員を含む社会人向けのIT人材育成、経営層向け「AIビジネススクール」のカリキュラム拡充、エンジニア向けにはAIやIoTといった最新技術トレーニング、学生向け教育コンテンツとして「Microsoft Learn」を通じた無償プログラミング講座の提供、IT教育を行う教職員向け支援、といったものを挙げている。

 もうひとつ、IT人材の育成と並んで重視するのが「アプリケーション開発の民主化」だという。ローコード/ノーコードのアプリケーション開発ツールである「Microsoft Power Platform」を通じて、同社が「アウトソースからインソースへ」と呼ぶような動きを作りたいと語る。

 「これからは、ITのプロではない人たちも簡単にアプリを組めるようにしないとITは追いつかない。これまでアウトソーシングされてきたITが、進化した形でユーザーの側に戻ってくる、ユーザー側に戻さなければならない、そういう時代だと考えている」

 ここでは特別定額給付金の申請状況確認サイトを、市職員自身が1週間で構築した神戸市の事例を紹介した。この事例ではPower Platformが活用されている。

 こうした日本全体のDXへの取り組みを支援するために、マイクロソフトの持つさまざまなサービス群をビルディングブロックとして組み合わせ、さらにISVやパートナーのソリューションも組み合わせて提供していくと説明した。

多様なサービスの中でも、とくに「インソース化」の動きを支援するものとして、オープンソースの開発者コミュニティである「GitHub」の役割を強調した

* * *

 説明会の中で、記者からは「『日本のDX推進』という大方針は、昨年度と同じではないか」という質問も出た。これに対して吉田氏は、「たしかに大方針としては変わらないが、社内的には(DX推進への)舵を切る力がさらに増したと思っている」と答えている。まだ「道半ば」である日本マイクロソフト自身のDXを、より一層進めていきたいと抱負を語る。

 「日本の状況を見たときに、『日本国の競争力に貢献するのはDXだよね』という理解を社員の一人ひとりにまで“腹落ち”させ、顧客提案へとつなげる。社内でのイニシアティブの重要性はさらに増した」「たしかにWindowsなどのソフトウェアはなくてはならない存在だ。ただし、これまでのビジネスにあぐらをかいていてはいけないとも思っている。あくまでもわれわれの指標は『顧客にありがとうと言われること』、それが成功の指標であると(社内の認識を)変えていきたいと思っている」

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