業界人の《ことば》から 第394回
他の自治体が活用できるよう、サービスのオープンソース化も検討
新型コロナ/定額給付金、神戸市はたったひとりの職員が1週間で、申請状況確認サイトを構築
2020年06月11日 09時00分更新
今回のひとこと
「行政がITシステムの仕様書を作って発注し、入札を行い、請負契約を結ぶという時代は終わりつつあることを強く感じた。特別定額給付金の申請状況等確認サービスは、神戸市の職員自らが構築した。行政サービスを作り上げるひとつの試みであり、今後、広げていきたい」
特別定額給付金の申請状況を確認できるサービス
神戸市が、日本マイクロソフトの「Microsoft Power Platform」を活用して、新型コロナウイルス感染症対策に関する住民サービスの提供を開始している。
そのうちのひとつが、5月29日からサービスを開始した「特別定額給付金の申請状況等確認サービス」である。特別定額給付金の⼿続き状況を⾒える化し、それを住民が確認できるサービスだ。
神戸市は、5月14日に、特特別定額給付⾦の申請書の郵送を開始。100万⼈以上の都市では全国最速の対応が注目を集めたが、全国の自治体と同様に、コールセンターへの問い合わせが殺到したことで、十分に対応できないという問題が発生した。
神戸市の久元喜造市長は、「特別定額給付金は、すべての市民が対象であり、市民の関心が大変高い。そのため、コールセンターに寄せられる問い合わせ件数は、ピーク時には、1日4万件に達した。だが、対応体制や電話回線には限りがあった。また、電話対応では、聴覚障がいの方への対応が困難という課題があった」と振り返る。
そこで、「特別定額給付金の申請状況等確認サービス」を開発。申請書に記載されている10桁の申請者番号を入力すると、「審査中」「振込⼿続き中」「振込済み」「保留中」のいずれかのステータスが表⽰され、現在の状況が確認できるサービスを開始したのだ。
同サービスへのアクセス数は、1日約3万5000件となり、その一方で、コールセンターへの問い合わせは、約3000件に減少したという。
神戸市では、6月5日からは、電話の⾃動応答による申請状況を確認できるサービスを新たに提供し、スマホやPCを持たない人からの問い合わせにも対応できるようにするという。

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