このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

業界人の《ことば》から 第408回

コロナ禍で広がる、Pepper、そして様々なロボットの活用法

ファミレスでの活躍を期待、ソフトバンクの配膳ロボットServi

2020年10月05日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

発表会から

労働力人口の減少に対する解決策に

  デニーズを展開するセブン&アイ・フードシステムズの小松雅美社長は、「コロナ終息後には、労働力人口の減少という課題が生まれるだろう。人は人にしかできないサービスに傾注することを目指す。そこにServiを活用したい。少人数でも負担の少ないオペレーションによって、従業員が笑顔で働けて、ホスピタリティの高いサービスを提供できるようになれば、業績も向上する。料理提供や下膳で大きな効果があり、現場からも、ロボットをきっかけにして、お客様と会話で笑顔ができるという声があがっている」とする。

  また、六本木ヒルズ52 階の「マドラウンジ」などを運営するソルト・コンソーシアムの井上盛夫社長は、「人とロボットが共生することは難しいと思っていたが、お客様サービスの向上だけでなく、スタッフ同士のコミュニケーションの円滑化にもつながるという意外な成果も出ている。人が本来やるべき仕事ができるようになり、その結果、クリエイティビティの向上にもつながっている」と語る。

  和食ファミリーレストランのとんでんなどを運営するとんでんホールディングスの長尾治人社長は、「コロナ禍において、より食事を楽しめるレストランが求められている。埼玉県内の店舗で実証実験を行ったが、従業員の仕事の仕方が変わってきたことを実感した。お客様に感動体験を与え、それをきっかけに、お客様との会話も増え、お客様と従業員の笑顔も増えた。接客時間が2倍になるという成果もあがっている。従業員が、ホールの仕事は作業ではなく、サービスを提供しているという意識に変わってきた」などとした。

  そして、焼肉きんぐや、しゃぶしゃぶのゆず庵などを展開する物語コーポレーションの加藤央之社長は、「食べ放題の店舗では、1人あたりの注文点数が多く、メイキングや配膳にかかる時間が圧倒的に多い。食べ放題業態の労務負荷削減を目的に試験導入したところ、1日に300回の料理提供を行い、店内を8kmも走行した。食べ放題だが、おせっかい文化を目指しており、おいしく焼いたり、おいしく鍋をつくることを、従業員がサポートしている。そうした付加価値の提供にも寄与している」という。

  今回の新事業戦略発表会では、「広瀬ウィズ(Whiz)」として、WhizのテレビCMに出演している女優の広瀬すずさんが登場。「Serviによって、レストランに行く機会が増えたときの楽しみが増えた。一緒に働いているスタッフもうらやましい。多くの人に、近未来の感覚を、ぜひ味わってもらいたい」とした。

 配膳・運搬ロボットであるServiのキャッチフレーズは、「あっ、ロボットが料理を運んできた」である。レストランのなかで、ロボットが料理を運んでくるという驚きの体験が特徴となる。

 「Serviは、フラフラせずに、AIがきっちり管理しながら狭いところでも移動できる。実証実験を行った多くの店舗で、最初のイメージよりも、圧倒的に利便性が高いと言ってもらえている」と、ソフトバンクロボティクスの冨澤社長兼CEOは自信をみせる。

 来店客との直接的な接触を削減させるといった使い方や配膳以外にも、室内配送や販促、案内などにも活用することができ、今後は、幅広い環境下で業務の効率化に寄与できるとしている。

 ソフトバンクロボティクスでは、ロボットによる新時代の接客の形を提案し、同時に、人手不足や生産性向上などの課題解決をサポートすることができると語る。新たな時代のロボット活用の提案が楽しみだ。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ