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最新ユーザー事例探求 第54回

海洋水産資源管理の高度化を支援する環境シミュレーション研究所に導入の背景を聞く

“海上のセンサー”の遠隔管理に「TeamViewer IoT」を採用した理由

2020年10月05日 09時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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既存システムにモジュールを追加するだけで導入できたTeamViewer IoT

 なぜTeamViewer IoTを採用したのか。そこにはいくつかの理由があったという。

 まず、画面を持たないRealMC-02をリモート操作するために、コマンドライン操作のできるコンソールが提供されることが大前提だった。さらに、既存のRealMC-02に大きな変更を加えることなく、簡単にアドオンできるツールというのも条件だったという。

 「クラウド型のIoT管理ツールも調べたのですが、デバイス側からAPIコールさせるなど、既存のシステムを大きく改修する必要がありました。TeamViewer IoTの場合は(エージェントの)モジュールをインストールするだけでよく、チュートリアルで紹介されているコードをほぼコピー&ペーストするだけで済みました」(山口氏)

 前述したようにデバイスのIPアドレスがひんぱんに変わる環境であっても、TeamViewer IoTならば問題なく使える。さらにセキュリティについても「聞いたこともないベンダーの製品ならば不安だが、高い実績のあるTeamViewerならば問題ないだろう」(小平氏)と考えたという。

TeamViewer IoTの基本機能。デバイス(エッジサーバー)にエージェントをインストールするだけで、クラウド経由での管理が可能になる。対応OSはLinux、Raspberry Pi、Windows 10 IoTなど、対応プロセッサはARMやx86

 同社では今年8月から、RealMC-02にTeamViewer IoTを導入した。「まだ導入してから日は浅いですが、すでに大活躍してますよ」と小平氏は笑う。そして山口氏も、これを導入したことで「心の余裕ができました」と語る。

 「これまではリモートからの障害原因切り分けが難しかったので、障害が起きれば現地に足を運ぶか、デバイスを外して送ってもらうかしかありませんでした。Team Viewer IoTによって、障害原因も早期に発見できます。出張にかかるコストや時間が削減でき、何よりも開発に専念できるのがうれしいです」(山口氏)

 「もちろん現地に足を運び、漁業者の方といろいろな情報交換をするのは大切なことなのですが、『トラブルが起きたから行く』のでは気まずいでしょう(笑)。これからは、メンテナンスはリモートからしっかり行いつつ、トラブルではないときにもっと足を運べるようになると思います」(小平氏)

リモートコンソールだけでなくさらに機能活用を図る

 環境シミュレーション研究所では、これから出荷するRealMC-02にはTeamViewer IoTのモジュールをインストールして提供していく。すでに出荷済みのもの(全国でおよそ100台ほど)については、現地に出向いてのインストール作業が困難なため対応を検討中だ。Raspberry Piデバイスに別製品の「TeamViewer Host」を組み込んで送付し、現地でRealMC-02に接続してもらって、リモートでインストール作業を行うというアイデアもあるという。

 山口氏は、TeamViewer IoTそのもの機能もさらに使い込んでいきたいと語った。現在はまだリモートコンソールの機能しか活用できていないが、たとえば機器の稼働状態データを収集してダッシュボードで一元監視することもできる。そうすれば、障害発生時に自動アラートが上がる仕組みも簡単に作れる。

 また、定置網など沿岸部(LTEの電波が常に届くエリア)に常設されるデータロガー製品にもTeamViewer IoTを組み込み、その仕組み(MQTTブローカー)を使ってよりリアルタイムなデータ収集ができるのではないかと考えているという。センサーデータをデバイス内で蓄積してから定期的にクラウドに飛ばすのではなく、そのままデータを流すというものだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、同社でも現在は、これまでのようには現地に足を運びにくい状況になっている。「その意味でも、本当にこのタイミングでTeamViewerを導入できてよかったと思っています」と小平氏は語った。

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