末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第258回

苦境のファーウェイ、独自OS「HarmonyOS 2」搭載スマホは2021年末に登場へ

今あるEMUI 11デバイスでHarmonyOSが動く？

　ファーウェイはAndroid上で動く「EMUI」についても、最新バージョンの「EMUI 11」を発表した。EMUIのバージョン番号はAndroidのバージョンと合わせており、EMUI 11はAndroid 11がベースとなる。HarmonyOS 2.0の分散技術（Hongmeng）をベースとするEMUI 11が動く一部デバイスは、将来的にHarmonyOSにアップグレードできる、というファーウェイのコメントをAndroid Authorityは紹介している。

　さて、HarmonyOSは成功するのか……これはファーウェイのスマートフォン事業の存続に直結する問題だ。

　ファーウェイはHarmonyOSを自社だけでなく、他のデバイスメーカーにも提供するようだが、このOSに興味があるのは米中関係の動向を懸念する中国メーカーぐらいだろう。つまりOPPOやシャオミなどだ。だが、中国内での競合関係を考えると、米政府の目に止まらない限りはファーウェイ陣営にはなびきたくないはずだ。

　一方で、ファーウェイのデバイス事業はチップ問題にも直面している。サムスン、LGは先にパネル供給を停止することを明らかにした。OSやソフトだけではなく、ハードウェア側から見ても、まさに背水の陣の状態だ。2ヵ月を切った米大統領選後に何かが好転すると考えるのはちょっと楽観的すぎるか。

筆者紹介──末岡洋子

フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている