米政府に封じ込めを図られているファーウェイだが、半導体供給停止という策もあって端末事業は危機的な状況にある。そんななか、低価格ラインの「Honor」を売却するという報道が出ている。
Honorを売却? 金額は3950億円とも
10月中旬にそんな報道が流れる
2019年に始まり、段階的に強化された米政府の制裁により、米国企業の製造装置を使った製品(部品)をファーウェイに輸出することが禁じられている。すでにグーグルと契約できないため、「Huawei Mobile Services(HMS)」に切り替え、ついには自社OS「HarmonyOS」の採用に向けての準備を進めている。輪番会長であるGuo Ping氏は5月のイベントで「生き残る」を繰り返した。
ことファーウェイになると、何が起きてもおかしくない……そんな状況での今回の報道だ。アップルをはじめスマートフォン分野に精通したTF International Securitiesのアナリスト、Ming-Chi Kuo氏のレポートが発端となっているようだが、その後10月14日にロイターが「事情に通じている人から」として独占報道した(https://www.reuters.com/article/huawei-ma-digital-china-idUSL8N2H306Q)。
ロイターの報道では、売却先としてDigital China Groupが最有力候補とされているが、TCLやシャオミなどのライバルメーカーの名前も挙がっているとのこと。なお、ファーウェイをはじめ、Digital China Groupやシャオミはロイターの報道を認めていない。なお、金額は150〜250億人民元という。日本円にすると2400〜3950億円、かなりのお値段だ。
ファーウェイのスマホの26%を占めるHonorブランド
Honorはファーウェイが2013年に立ち上げた低価格ブランドだ。中国では主にオンラインで販売する低価格帯のラインで、当時ネットオンリーのビジネスモデルでスタートしたシャオミの成功を受けて対抗策として開始した。
Honorはファーウェイのブランドではあるのが、Honor事業としてプレジデント(George Zhao氏)を立てており、かなり独立して動いている。また、スマートフォンだけでなく、スマートウォッチやノートPC、ホームルーターなどのラインアップもある。
ロイターによると、2020年第2四半期にファーウェイが売り上げた5580万台のうち、Honorは約26%の1460万台を占めているという。一方で低価格であるため利益率が低いという事情も指摘している。
ロイターが売却先として有力視しているDigital China Groupは、Honorのディストリビューターでありすでに密な関係にあるそうだ。
売却の狙いはもちろん米国の制裁への対策だろう。ファーウェイでなくなれば、半導体をはじめ問題なく供給が受けられる(はずだ)。 なお、ファーウェイと米政府の関係がすぐに改善に向かうとは思えない中、ソニーやなど一部の日系企業が米政府にファーウェイとの取引許可を求めて申請したと報道されている。
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