IBM、AIとハイブリッドクラウドを活用し、史上初の無観客で開催される全米オープンテニスで新しいファン体験を創出
日本IBM
IBMと米国テニス協会がオープンなハイブリッドクラウド・アーキテクチャーに支えられたIBM Watsonを活用し、テニスに関する討論や試合のスコア情報から引き出される関連性の高い洞察で、無観客トーナメントに活気をもたらす
[米国ニューヨーク州フラッシング – 2020年8月28日(現地時間)発]
29年間にわたり米国テニス協会(USTA)をデジタル・パートナーとして支えるIBMは、ハイブリッドクラウド・テクノロジーに支えられたAIを活用し、史上初めて無観客で行われるテニスのグランドスラムを取り巻く興奮と活気に満ちた討論機能が加わった、新しい観戦体験を世界中の熱狂的なファンに提供することを発表しました。
米国で実施された2000名のスポーツファンを対象にした最近のIBMの調査では、新型コロナウイルスによるパンデミック下でのデジタル体験の重要性が浮き彫りになりました。回答したスポーツファンの約半数(48%)は、コロナウイルスの感染拡大以降、インタラクティブなデジタル体験(ストリーミング、ビデオ・コンテンツ、ハイライト、統計など)がより重要になったと考えています1。特に若い世代はデジタル体験に対する欲求が高く、Z世代(64%)とミレニアル世代 (61%)はデジタル体験が「より重要」になったと回答しました。
新しいスポーツ観戦体験:世界中のテニスファンに向けて
IBMはUSTAとの提携のもと、3つのユニークで新しいデジタル体験を開発しました。新しいソリューションの うち2 つは、IBMのAIであるIBM Watson の自然言語処理(NLP)機能を活用したもので、さまざまなデータ・セットから情報を取得します。NLPは、グラフ、表、PDF、画像など、大量のデータに隠された傾向や洞察を解釈できるため、IBMでは、ビジネス向けAIにとって極めて重要な役割を果たすと考えています。また、システム基盤として複数のクラウドを活用します。
この新しいソリューションは、世界最大級のデジタル・デザイン・エージェンシーであるIBM iXによって開発され、USOpen.orgやUS Open appなどの全米オープン公式プラットフォームで利用できます。リモートでの協業を余儀なくされる昨今においても、IBM iX のデザインや技術の専門家で構成されたチームは、USTAのデジタルチームとバーチャルな環境で協業し、IBM Garage Methodologyを活用して新しいファン体験を共創するとともに、迅速な展開を実現しました。
新しいソリューションおよび使われている技術は以下の通りです:
Open Questions with Watson Discovery: 多くのファンがリモートでも一緒に観戦を楽しめるよう、IBMはUSOpen.orgで様々な会話を簡単に行えるようにしました。「ビリー・ジーン・キングは史上最も影響力のあるテニス選手ですか?」といったテニスの旬な話題に関する質問に対し、IBMはWatson DiscoveryのNLP機能を使用して何百万ものニュースやスポーツの情報ソースを分析した結果から洞察を引き出します。また、IBM リサーチの技術を使ってこれらの非構造データを分析、サマリーし、異なる視点からの論拠を提供します。さらに、ファンは自身が強い興味を持つ話題についての討論に参加し、意見を提供できます
Match Insights with Watson Discovery: Match Insights with Watson Discoveryは、NLPテクノロジーを使用して何百万もの記事やブログ、専門家の意見を検索、理解し、最も関連性の高い情報を収集します。このソリューションは、IBMリサーチの自然言語生成技術を使用して過去の試合の統計などの構造化データを文章形式に変換し、ファンは試合前に選手とその対戦相手に関する情報を得ることができます。
AI Sounds: USTAは初の無観客での開催に伴い、スタジアム内での観客の歓声や応援する音をどう再現するかという問題に直面しました。そこでIBMは、AI Highlights技術を活用し、昨年の大会中に撮影された数百時間ものビデオ映像から、スタジアムの観客による音を再現しました。過去数年間、AI HighlightsはIBM Watsonを使用して試合映像を解析し、各場面の興奮度をランク付けし、ほぼリアルタイムでハイライト映像をまとめ、声援を含む観客の反応を分類し、盛り上がりに応じたスコアを付与してきました。この洞察を活用することにより、昨年のプレー中に発せられた音を、今年の各試合内の類似したプレーにおいて動的に提供します。AI Soundsツールは、スタジアム内やESPNの番組で利用される予定です。
オープンなハイブリッドクラウド環境
新しいファン体験ソリューションは、IBMのパブリッククラウドであるIBM Cloudおよびプライベートクラウド上の多様なデータ・セットとAPIの組み合わせで実現します。必要とされる様々なワークロードを処理できるよう、USTA は Red Hat OpenShift を採用し、複数のパブリッククラウドおよびプライベートクラウドのシームレスな連携を実現しています。このハイブリッドクラウド・アーキテクチャーにより、USTAのデジタル運用は、生産性を維持し、最高レベルのデータ・セキュリティーを確保します。加えて、リモートでのシステム管理・運用業務を迅速に行うために必要な柔軟性と拡張性を備えています。ハイブリッドクラウド・アーキテクチャーを活用することで、シームレスなリモート運用が可能になります。例えば、通常はコートサイドで各ポイントの統計情報をライブで提供しているUSTAの担当者が、遠隔地から低遅延のフィードで各試合を見ながら、会場にいるかのように試合の統計データを配信できるようになります。
アジャイル開発により、設計、テスト、導入の迅速化が実現
本大会は、開幕75日前である6月17日に無観客で開催することが発表され、USTAのテクノロジー・パートナーであるIBMは、ファンにとって新たな試みとなる今回のデジタル体験の考案、開発、テスト、提供を12週間以内に行う必要がありました。その中で、Red Hat OpenShift を採用した IBM のハイブリッドクラウド・アーキテクチャーは、IBM Watson の高度なNLPを活用した新しい体験を迅速に開発するために必要となる、運用の俊敏性と柔軟性を提供しました。
IBMのスポーツ&エンターテインメント・パートナーシップ担当副社長のノア・サイケン(Noah Syken)は次のように述べています。「2020年、新型コロナウイルスはスポーツ全体に混乱をもたらし、とりわけ多くの観客が生でスポーツ・イベントを体験する機会に多大な影響を及ぼしています。同時に、パンデミック下で、拡張性のあるハイブリッドクラウドによって支えられているAIを使用した魅力的な技術の必要性が高まっています。USTAのテクノロジー・パートナーとして、私たちは今年もテニスファンがより一層試合を楽しめるよう、提供するオファリングを変革しました。全米オープンのデジタルでのファンとの接点を通し、どこにいても、テニスを体験してください」
USTAのチケット・ホスピタリティ・デジタル戦略担当マネージングディレクター、キルステン・コリオ(Kirsten Corio)氏は、次のように述べています。「全米オープンでは、デジタルでのファンとの接点を通じて、世界中の何百万人ものファンに大会の熱気を届けます。今年はIBMが提供する新しいデジタル体験によって、これまで以上に選手に関するデータ駆動型の洞察を届けることができるでしょう。当社のデジタルでのファンとの接点とインタラクティブな観戦体験は、テニスやスポーツファンのエンゲージメントをより高度なものにしてきましたが、今年は昨今の状況下においてその重要性がより高まっています。無観客の環境下において、あらゆる場所のファンと交流できるよう、バーチャルでトーナメントを楽しむためのプラットフォームと観戦体験を用意しました。」
全米オープンは8月31日から9月13日まで開催されます。本大会で使用されるテクノロジーを体験するには、USOpen.orgにアクセスするか、モバイル・デバイスでAppleもしくはAndroid App StoreからUS Open appをダウンロードしてください。
当報道資料は、2020年8月28日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
https://newsroom.ibm.com/2020-08-28-IBM-Creates-New-Fan-Experiences-using-AI-and-Hybrid-Cloud-for-First-Ever-Spectator-less-US-Open(英語)
以上
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