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突撃!ナベコの「知りたいんだけど、きかせて!!」 第26回

丸亀製麺の朝は「次の日のうどん」の仕込みから始まる

2020年09月02日 16時10分更新

文● ナベコ 編集●ASCII

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 フードコートで何を食べようかなと見まわすと讃岐うどんチェーン「丸亀製麺」に行列ができている。うどんが一杯300円台とフードコートの中でもリーズナブルで、人の心を引き付けるのでしょう。そんな庶民的な価格帯の丸亀製麺ですが、うどんは「手作り」とうたいます。工場にて一括でうどんを作るのではなく店舗ごとに製麺するのが理念だとか。

 いったいどのようにうどんを「手作り」しているのでしょうか? 仕込みで慌ただしいという朝の丸亀製麺をのぞかせてもらいました。営業時間中には見られない光景も収めてきましたよ!

丸亀製麺では「うどん」をどう作っているの?

「丸亀製麺 八潮店」に取材してきた。

 やってきたのは「丸亀製麺 八潮店」。八潮店はロードサイド店でありながらつくばエクスプレス八潮駅からほど近い絶妙な立地。こちらの店では、他店舗に先駆けて新メニューを出すことも多いそうです。ちょうど行った時には全店ではここだけの「トムヤムうどん」なるメニューもありました。

●開店1時間前はうどんの仕込みで大忙し

開店前から活気ある丸亀製麺の厨房。

 丸亀製麺では、オープン前に一斉にうどんやだし、天ぷらなどの仕込みをします。“製麺”作業の多くもこの慌ただしい朝の時間帯に行なうそうです。

製麺担当の飯島さん。「麺職人1つ星」の社内資格をお持ちです。麺職人の資格は社内制度とはいえ合格率は高くなく、厳しい試験をクリアした人だけ認定されるそうです。

 ちょうど粉から製麺をするところ。

 粉は国産の小麦粉。温度管理をして使用します。丸亀製麺では店舗によって、店内の脇に小麦粉の袋を積み上げていることがありますが、外に置いてあるのは翌日以降に使用する小麦粉だそうです。

これが製麺機!

思っていたよりさりげなく製麺機がありました。

 腰の高さほどの、このマシン。これが製麺機です。一台で粉のミキシングやプレスなどもこなすうどん専用のマシン。

 まずは粉を入れます。ここに、水と塩を加えてミキシングするわけです。

粉だけではなく水や塩も温度を測る

塩の温度をチェック。

 お塩は季節によって量を調節するそうです。ざっくり説明すると、外気が温かいとうどんが柔らかくなりやすい、寒いと固くなりやすいなど、季節や気候によって影響を受けるため、なるべく均一な質感にするためには調節が必要ということ。また、お塩は温度も測ります。適温は企業秘密だそうですが、お塩まで温度を測るとは意外でした。

塩の温度まで測るとは驚きでした。

地味な工程も大切!水に塩をしっかりと溶かす

水は浄水器にかけて硬度をなるべく日本全国であわせるように調整。

 お水も温度を測って投入。

このお水にお塩を加えるわけですが、入れ方が独特でした。

塩をバットごと水に浸す。

 バットごと浸すことで、お塩を一粒もこぼさないような工夫がこらされていました。「原材料を無駄にしない、という会社の理念がある」と説明してくれました。

 お水の中に浸ったお塩を製麺担当の飯島さんが丁寧に混ぜて溶かしていきます。ここで急いで早めにこの工程を切り上げると溶け切らなかったお塩が容器に残ってしまいます。

「うどんの味に影響が出るし、塩が無駄になってしまう」とのことで、地味なように見えて塩を混ぜ込む工程はとても大事だそうです。「麺職人」の社内試験でも、ここで焦ってしまうと減点が大きいとか!

忙しい中でも、慌てず、しっかりと水に塩を溶かしていました。

製麺機でミキシング 混ざり具合は目で見て確認

 塩を溶かした水を加えて、いよいよ粉のミキシング。

 あとは、機械まかせかと思いきや……。機械でしばらくミキシングをしては、機会を止めていったん手で混ぜて、再度機械でミキシングする、の繰り返し。あれ? けっこう手作業ですね。

機械に入れてからは完全にオートと思いきや、合間、合間に人が手を加えていました。

 機械でミキシングしてもダマはできるので、それを手でほぐさないといけないそうです。また、ミキシングは時間で測るのではなく、目で混ざり具合を見て大丈夫かをチェックするそう。

「人が目で見てチェックするのが大事」と。いい意味でアナログなのですね。

水を吸ったうどんの種は重~いけど、撫でるように空気を抜く

 ミキシング工程が終わったうどんの種。小麦粉12.5kgに、水、塩が加わり、これで約100人分のうどんがとれるそう。

袋を三点で縛ります。

撫でるようにして空気を抜く。

 うどんの種はふくろに入れて空気を抜いて縛ります。この時に、体重をかけてはうどんにムラができるのでNG。撫でるようにして、優しく空気を抜くそうですよ。重いうどん種を操るのに繊細な作業で大変。

けっこう力仕事です。

 ここまでできたら、冷蔵庫で寝かせます。

冷蔵庫で寝かせます。「おいしくなってね」と祈りを込めて寝かせるとか。

 寝かせたうどんをいつ使うかと言うと明日。ここまで仕込んできたうどんは明日の分のうどんなのです。私はぼんやり、今仕込んだうどんをその日のうちに食べるのだなと思っていたのですが、熟成させて翌日使うわけです。つまり、店内では、その日の準備と並行して、翌日のうどんも仕込んでいるということ。

 明日のうどんと、今日のうどん。それぞれを準備しつつ、おだしや、天ぷらなども順次用意。朝の丸亀製麺はあちこちからおいしい雰囲気が立ち上がってきます。まるでお祭りの準備を目の当たりにしているようにワクワク感が高まってくるじゃないですか。

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