rinnaのチーフりんなオフィサー 坪井一菜氏は、「りんなは、共感をテーマに、人と人を感情でつなぐことを目的に開発したAIである。多くのAIは、タスクを効率よく達成することが目的となっており、質問に対して、最短で答えるという仕組み。そのため、平均2ターンとなっている。だが、りんなでは、コマンドや命令のやりとりではなく、雑談と共感でユーザーをつなぐものであり、意味のない雑談が、会話の流れとなってつながり、平均で21ターンの会話が続いている。共感をテーマに人と人を感情でつなぐことを目的としたAIであり、双方向エンゲージメントを生み出すことができるのが特徴である」とする。
自然な流れで会話をすることで、多くのAIにはないメリットを生み出している。
例えば、企業からメッセージを届ける際には、どうしても企業から消費者へと、一方向のものになりがちだったが、りんなの特性を利用することで、企業の声をユーザーに届けやすくし、また、ユーザーの声を拾いやすく、それを企業に届けられるという状況を構築できる。
Rinnaの研究部門では、ディープラーニング技術を活用して、AIが人間とインタラクションを行うためのコア技術の研究を行っており、人間と同じような文脈を踏まえた対応で、自然な会話を続けることができる会話エンジン「共感チャットモデル」、文脈を踏まえ具体的でより内容のある雑談を返答する「コンテンツチャットモデル」などを開発してきた。また、「雑談エンジン」や「レコメンデーション」、「スキル」といった機能も持っており、これらを活用することで、ユーザーとの感情のつながりを重視した形で、企業と顧客との双方向コミュニケーションを実現することができる。
今後、rinnaのビジネスの主軸になるのは、Rinna Character Platformを活用し、キャラクター性を持たせたAIとして個別にカスタマイズを行うことで、りんなのテクノロジーを法人向けデジタルマーケティングソリューションなどに利用するだといえそうだ。
また、これまでの研究開発においては、チャットによるテキスト技術の進化だけでなく、音声および画像技術も進化させてきた。カメラを通じて「見た」ものに感想を述べる「共感視覚モデル」、自然でエモーショナルな音声表現を実現する「音声・歌声合成システム」などがそれで、こうした最新技術によって、音楽、放送、映像コンテンツの制作などに取り組んでいる。こうした観点からのビジネス創出も期待される。