次世代の世界最高速スパコンに採用されるAMDのCPU/GPUと「Infinityアーキテクチャ」
“エクサスケール”スパコン/HPCを支えるAMD、ウェビナーで強みを語る
2020年08月04日 08時00分更新
一般企業の商用HPCアプリケーションに適した「EPYC 7Fx2」プロセッサー
こうした「強み」を、世界トップクラスのスパコンだけではなく、より幅広い領域、一般企業のHPCレベルまで展開しようというのがAMDの戦略だ。モリス氏は第2世代EPYCプロセッサー、その中でも今年4月にリリースした高周波数モデル「EPYC 7FX2シリーズ」のメリットについて説明した。
「EPYC 7Fx2シリーズは、商用HPCワークロード市場をターゲットとして、パーパスビルド(目的特化型)で開発されたモデルだ」とモリス氏は述べる。具体的には、EDA(電子設計自動化)や流体力学シミュレーション、有限要素解析といった分野の商用アプリケーションに適しているという。
こうしたアプリケーションはもちろん高いパフォーマンスを必要とするが、とりわけ「コアあたりのパフォーマンス」が重要である。なぜならば、ソフトウェアライセンスモデル(料金体系)が「コア数単位での課金」となっているからだ。同じパフォーマンスが得られるならば、コア数が少ないほうがライセンス料金を抑えられる。それゆえに、EPYC 7FX2では高周波数コアを搭載した。
「こうしたアプリケーションの顧客は、しばしばハードウェアコストよりも高額のライセンス料をソフトウェアに支払っている。AMDが高周波数モデルのCPUを投入することで、顧客はコストの最適化を実現できる」(モリス氏)
モリス氏は、さまざまなOEMパートナーを介してこの市場にEPYC搭載サーバーを提供していることを紹介した。たとえばHewlett Packard Enterprise(HPE)が発売した「HPE Apollo 2000 Gen10 plus」、Dell Technologiesの「Dell EMC PowerEdge C6525」、Atosの「BullSequana XH2000」といったサーバー製品群だ。そのほか、SupermicroやLenovoもEPYC搭載サーバーを発売している。
「企業における製品開発などのプロジェクトは時間、品質、そして予算の制約を受ける。高いパフォーマンスを発揮するAMD製品を導入することで、企業は『時間』を削減できる。エクサスケールコンピューティングからHPCまで、われわれは顧客に対して『時間』を提供している」(モリス氏)
セッションのまとめとして、ペーパーマスター氏は「AMDがなすべきことは非常に明白で、将来にわたるロードマップへのコミットメントと、その着実な実行」だと語った。すでに次世代製品の開発にも着手しており、今後もさらに幅広いソリューションパートナーと協業を進めること、オープンイノベーションのプラットフォームになることを宣言している。