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ファーウェイがついにスマホ市場で世界トップに、中国国内の経済回復が追い風

2020年07月31日 09時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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 米中貿易戦争で大きな打撃を受けているファーウェイだが、スマートフォンでついに世界トップ(出荷台数ベース)の座を獲得した。長らくサムスンがトップを維持してきたこの市場だが、ファーウェイは安定的にトップに君臨できるのか。

一足先に経済回復した中国市場での売上が中心のファーウェイ
サムスンは欧米の主要市場でいまだ苦しんでいる

 調査会社のCanalysが7月30日に発表した、2020年第2四半期(2020年4~6月)の世界スマートフォン調査で、ファーウェイは念願の1位を獲得した(https://www.canalys.com/newsroom/Canalys-huawei-samsung-worldwide-smartphone-market-q2-2020)。

Canalysの資料より

 同四半期にファーウェイは5580万台の端末を出荷した。これは前年同期比では5%のマイナスとなる。2位のサムスンは5370万台、前年同期比で30%減となり、新型コロナウイルス感染症による景気の冷え込みに大きく影響を受けた格好だ。

 ファーウェイが自社ブランドのスマートフォンを初めて発売したのは11年前のことだ。その後、右肩上がりで成長を続け、2017年にはアップルを追い越して2位に。そして今回、米国の制裁措置が半導体にも及ぶという苦しい状況にある中での首位となった。Canalysによると売上の72%が自国の中国国内。中国は他国より早く新型コロナによる経済的な影響を脱したと言われており、国内の強い需要に支えられたと考えられる。なお、売上に占める中国の比率は、2019年第1四半期の51%から大きく増加している。

 Canalysのアナリスト、Ben Stanton氏は「新型コロナがなければ達成できなかっただろう。ファーウェイは中国の経済回復を最大活用し、スマートフォン事業を再び成長に戻すことができた」とコメントしている。一方のサムスンは好調だった中国市場でのシェアは1%に過ぎず、米国、欧州、インド、ブラジルなどのサムスンの主要市場がいまだにコロナ禍にあることがマイナスに響いた。

 スマートフォン市場は長らく、アップルとサムスンの2強時代が続いた。Canalysによると、2社以外のベンダーがトップになるのは9年ぶりという。

 しかし、今回のファーウェイの首位が2強時代に終わりを告げるものとなるかはまだわからない。Canalysのアナリスト、Mo Jia氏は、欧州などの主要市場のチャネルパートナーがファーウェイに注意深い態度を取り始めていることを指摘し、「ファーウェイが長期にわたってリードを続けるのは難しいだろう」「世界経済が回復したとき、中国市場だけではファーウェイは首位を維持できない」と予想している。

 今年2月末、スペイン・バルセロナで日本メディアのグループインタビューに応じたコンシューマートップのリチャード・ユー氏は、シェア首位を取るのはいつか? という質問に対し、「遅かれ早かれ」と言った後に、「1位を取ることにあまりこだわっていない。最高の品質、最高のUIにイノベーションがあり、ここが鍵を握る」として、NPS(ネット・プロモーター・スコア、顧客のロイヤルティを示す指標)に着目していると語っていた。

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