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オヤジホビー-ワタシが好きな物はみんなも好き、かもしれない- 第237回

「カオスだもんね!」取材前にCHPパトカーに起こった悲劇

2020年07月26日 17時00分更新

文● にゃかむら(@TK6506) 編集● ASCII

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CHPパトカーがカオスの取材を受けました

 とある日、週刊アスキーの「カオスだもんね!PLUS」担当のシャクライくんからメッセージが届きました。なんでも、CHPのパトカーを買ったという話を聞きつけたらしく(第223回「CHPのパトカーを買いました」)、カオスで取材をさせてほしいと。大昔、週アス編集部在籍時にカオスの担当をしていたこともある(確か4代目)ので、もちろん二つ返事でオーケーです。

CHPのパトカー(本連載の第223回から)

 ハンヴィーの取材から早5年、“おかしなクルマでドライブ”の第2弾です。行き先はお台場。ハンヴィーの時は河川敷に行ったけど、アカザーから「ベイエリアの橋とかアメリカっぽいから渡りてー」とのリクエストがあったので、東京ベイエリア周辺をドライブすることになったんです。ハイウェイパトロールのパトカーに自然は似合いませんしね。

 で、今回はその時の話……ではありません。取材の様子は7月28日(火)発売予定の電子版週刊アスキーNo.1293「カオスだもんね!PLUS」で描かれるはずなので、そちらをご覧いただけたらと。

 じゃ全然関係ない話なのかというと、これがまたそうでもなく、実はこの取材の前後にちょっとした出来事があったんです。

待ち合わせ場所に向かい中にエンジンが不調に

 その最初の兆候はお台場に向かっている首都高上で起きました。視界の隅がなんかチラチラするんですよね。何か光ってるような。そちらに目を向けてみたら、CHECK ENGINEランプが点滅してるじゃないですか。これはエンジンに何かしらの不調があることを示す警告灯です。マジっすか! ヤバくないっすか! と。

 警告灯には赤と黄色(または橙色)があって、赤はすぐに停まらないとヤバいやつです。油圧や水温の警告がこれに当たります。一方エンジン警告灯は黄色で、名称からすると一番マズそうですが。実は緊急度はそれほど高くはなく、すぐに止まってしまうようなことはないだろうけど早めに点検してねという感じです。

 とはいえ警告が出たからには対処しなくてはなりません。特にこのクルマ、クラウンビクトリアのエンジン警告灯の場合、点滅と点灯の2種類があって、点滅の方がちょっと深刻だったはず。点灯の方がアウトっぽく感じますが、点滅の方が注意をひきやすいからかもしれません。実際、すぐ気づきましたし。

失火なら火災になりかねない

 CHECK ENGINE点滅は失火のサインです。このクルマのエンジンはV8なのでシリンダーが8つあるんですが、そのうち少なくともひとつは正常に爆発していないことを示しています。実はちょっとそんな気はしてたんですよね。時々加速する時にエンジンがガクガクする感じがして、なんかシリンダーが1つ2つ死んでるんじゃないかなと。気のせいかと思ったんですが、気のせいじゃなかったみたいです。

 失火が怖いのは、マフラーにある排ガス浄化装置の触媒が異常過熱する可能性がある点です。触媒は酸化・還元反応により、排ガスの中にあるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)を、それぞれ二酸化炭素、水+二酸化炭素、窒素へと変換します。

 しかし、失火によりエンジン内で燃えることができなかった混合気(ガソリン+空気)がそのまま触媒に入ると、この反応が過剰になり、過熱してしまうのです。最悪の場合、触媒が溶けたり、近くにあるものに引火して火災が起きたりすることもあり得ます。

 そんなことになったら大変なので、とりあえずエンジンへの負担を減らすためエアコンをオフにし、続いて頭をフル回転。急な加減速はそもそも触媒によくないので、できるだけアクセルは一定にしようとか、失火するシリンダーが増えるかもしれないし、万が一を考えたら高速を降りた方がいいかなとか、あれこれ考えを巡らせました。

自然に直ったのかと思ったものの

 ところがこちらの慌てっぷりをよそに、この警告はなぜか10秒もしないで消えてしまいました。様子を見ながらそのまま首都高を走ってみましたけど、次の出口を過ぎてさらにその次の出口まで走ってみても光りません。その後も何事もなく走り続け、芝浦JCTをレインボーブリッジ方面へ。

 橋を渡ったら、すぐお台場出口です。高速を降りればひと安心。ヘコんだ気分も復活してこようってもの。もしかしたらガクガクするのはやっぱり気のせいで、ランプも誤動作だったんじゃないの? チェックしてもらっても、特に問題はないですねー、なんてなるんじゃないの? と思いつつ橋へと続くカーブを登っていくと、またしても異変が!

 まぁそんなわけありませんよね。アクセルを踏んだらしっかりガクガク、ランプも点灯。やっぱダメでした。

日本とアメリカで異なるオクタン価の計測方法

 今度は点滅じゃなくて点灯です。点灯の理由はいくつかあって、ひとつは燃料不足。ガソリンを入れて間もないしメーターもほぼFなので、これは否定できます。

 あるいは、燃料キャップの緩み。でもこれも違いそうです。ちゃんと取り付けていなかったら、とっくにエラーが出ているはずですものね。

 最後は、ちょっと心当たりが無くもありません。燃料の質が悪い、もしくは水の混入です。水はわからないですが、燃料は思い当たることが……。

 クラウンビクトリアの推奨燃料はオクタン価(ガソリンのノッキングが起こらない性質の程度をあらわす数字)が87。日本のガソリンはレギュラーが約90(JIS規定は89以上)、ハイオクが約100(同96以上)なので、レギュラーで十分なはずです。

 前のオーナーさんはハイオクをおごっていたそうなのでワタシも最初はハイオクを入れていたんですけど、もったいないかなと思ってレギュラーにしたんですよね。そしたらここに思わぬ落とし穴が。オクタン価には計測方法が2種類あって、日本とアメリカで異なっていたのです。知ってる人は今さらな話なんでしょうけれど、恥ずかしながら全然知りませんでした。

 計測方法のひとつはリサーチ法、もうひとつはモーター法。それぞれRON(リサーチオクタン価)、MON(モーターオクタン価)と呼ばれ、より厳しい条件で試験されるMONは10ぐらい低い値になるんだそうです。

 日本のオクタン価はRONで表示されていますが、アメリカはRON+MON/2。RONとMONの平均なので、当然RONに比べて低く表示されます。これはつまり、アメリカのオクタン価87というのはRONならもっと高い値になるということです。実際RON換算だと91ぐらいになるらしく、日本のレギュラーガソリンではギリギリ達していない可能性が

 そのことを知ってまたハイオクに戻したんですけど、もしかしたらそれが悪さをしたのかもしれません。それほどの影響があるとは思えないですけれども。

ショップで診断機にかけました

 とにかく、もう出口まで数百メートルです。今さら慌てても仕方ないので、なるべく急加減速しないように気をつけつつ走り、待ち合わせ場所にたどり着きました。

エンジン警告灯が点灯。この状態でもアイドリングはバラつくことなく安定しています。燃料や油圧、水温は問題ありません

 時間まで少しあったので、その間にいつもお世話になっているスカイオートに電話。症状を伝えると、やはり今すぐ止まってしまうようなことはないだろうとのことでした。あとで持っていくと伝えて、まずは取材です。

 再始動すると今度は最初からランプが点灯。明らかに最初より悪くなっています。こりゃ無理はできないなと思い、銀座まで首都高を走る計画を取りやめて、南の第二航路海底トンネルを抜け、東京ゲートブリッジを渡って若洲海浜公園のところでUターンしてくるコースに変更しました。ランプは点きっぱなしだし、加速するとガクガクするのもそのままです。

無事ショップに到着。さっそく診てもらうことに

 取材後、カオスチームと別れて35km先のショップへ。雨まで降って来て最悪でしたが、特にひどくなるようなことがなかったのは不幸中の幸いです。ちょっと診てくれるということで、診断機にかけることになりました。

コンピュータにつなぐと不調がわかる診断機を接続

 このクルマは1999年式なのでだいぶ古めですが、電子化は結構進んでいて、OBD (On Board Diagnostics)という自己診断機能を持っています。OBDは車載コンピュータがエラーを検知・記録するもので、警告灯のコントロールもOBDが行ないます。クラウンビクトリアは、コネクター形状や通信規格、エラーコードなどをメーカーを超えて共通化されたOBD IIを搭載。診断機をつなぐことで、不具合の内容がすぐわかります。果たしてその結果は……以下次回!

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