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最新パーツ性能チェック 第303回

3年前のCore i7-7700KをRyzen 3 3300Xが圧倒!4C/8Tの2万円アンダーCPU対決、勝つのはどれ?

2020年07月20日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラハッチ/ASCII

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実アプリでの比較でも傾向は変わらず

 続いては動画エンコード処理を「HandBrake」で比較してみよう。4KのH.264動画(再生時間約5分)を用意し、これをフルHDのMP4/MKVに変換する。コーデックや画質設定はプリセットの「(H.264)Super HQ 1080p30 Surround」「H.265 MKV 1080p30」を使用した。

「Handbrake」を利用した4K動画を1080p動画に書き出す時間

 動画エンコードの次はRAW現像だ。「Lightroom Classic」を利用し、100枚のRAW画像(DNG形式、各々に色補正やレンズ補正付けたもの。24メガピクセル)を最高画質のJPEGに書き出す時間を計測した。書き出しの際にシャープネス処理(スクリーン用、適用量“標準”)も追加した。

「Lightroom Classic」によるDNG→JPEG書き出し時間

 Lightroom Classicは特にRyzenとの相性が良く、筆者の良く使う素材とセットアップではRyzenがインテル製CPUを圧倒することが多いが、今回も同様の結果となった。Ryzen 3 3300XとCore i7-7700KのCINEBENCH R20での比較は、スコアーに差はついているもののそれほど強烈な性能差があるようには見えなかったが、Lightroom Classicでは1分半の差がついている。

 100枚のRAW画像を一気にJPEGに変換する作業をするようなケースはあまりないとはいえ、現行RyzenはエントリークラスのRyzen 3でもLightroom Classicに強いといえるだろう。Core i3-10100が唯一8分台に取り残されていることからも、低予算でRAW現像を快適にしたいと考えるなら、絶対にRyzenを選ぶべきだ。

ゲーミングでは両者互角?

 ではゲーミング性能を比較してみよう。今回の検証環境は低予算で揃えられることを前提にしているため、ビデオカードもRadeonファミリーの中ではエントリークラスに近いもの(Radeon RX 5500XT 4GB)を使用している。そのため、GPUがボトルネックになりCPUの性能差が見えにくい状態であることは予め断っておきたい。

 まずは「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークを使い、ベンチマークのスコアーとフレームレートをそれぞれ比較する。画質は“最高品質”とし、解像度はフルHD(1920×1080ドット)のみとした。

「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」ベンチマーク、1920×1080ドット時のスコアー

「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」ベンチマーク、1920×1080ドット時のフレームレート

 どのCPUでも、スコアー/フレームレートともに僅差にとどまった。強いていえばRyzen 3 3300Xが強く、続いてCore i3-10100とi7-7700Kと続くが、決定的な差とは言えない。ただRyzen 3 3100はクロックの低さとコア構成の制約が効いているのか、スコアーもフレームレートも出にくい傾向にあるといえそうだ。

 続いては「Rainbow Six Siege」を試す。6月に始まった新シーズンに合わせ、グラフィック周りやベンチマーク機能が大きく変化した。これまで筆者は結果がブレにくいVulkan APIでテストしてきたが、今シーズンからはDirectX 11でも安定しやすく、かつフレームレートが出やすいことが判明したため、今回はDirectX 11モードで検証している。画質は“最高”をベースにレンダースケールを100%に、解像度はフルHDで測定した。

「Rainbow Six Siege」DirectX 11、1920×1080ドット時のフレームレート

 ゲームの場合はエンコードやRAW現像のように大差は付かない。数値的にはRyzen勢がほんのわずかに上をいっているが、平均fpsにして3fpsしかないため、差として認識できるかどうかは怪しいだろう。

 続いては「Apex Ledends」でも試してみよう。画質は最高設定&フルHDとし、射撃練習場における一定のコースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定した。

「Apex Legends」1920×1080ドット時のフレームレート

 手動計測なので誤差は大きめだが、Ryzen 3 3100が一人負けしている反面、Ryzen 3 3300XとCore i3-10100がほぼ同じ、Core i7-7700Kは僅差でトップに立つという結果になった。GPUのパワーがもう少し上だと差がさらに開いている可能性はあるが、ゲームではCore i3-10100も結構健闘しているといえるだろう。

まとめ:ゲーマーよりも、クリエイティブ系作業でZen2世代のRyzen 3は輝く

 今回はアンダー2万円(現実にはアンダー1万8000円)の4C/8T CPU比較という観点でRyzen 3 3100/3300XとCore i3-10100を対決させてみたが、総じてRyzen 3(というよりZen2)の優秀さが目立つ結果となった。特に動画エンコードや写真編集の分野では、Core i3-10100よりも圧倒的に快適、かつ3年前のハイエンドであるCore i7-7700Kをも上回るパフォーマンスを見せてくれるだろう。

 しかしその一方で、ゲームのグラフィック処理ではあまり違いが出なかった。Radeon RX 5500XT 4GBを使ったため、GPU性能がボトルネックになっている可能性も大だが、低予算で組むゲーム用途のPCを考えた場合、Ryzen 3が特別優秀という結論は出しにくい。

 もちろん、Core i3-10100が全くダメなCPUかといえばそうとは言い切れない。内蔵GPUがあるためビデオカードを追加する必要がない、というのは捨てがたい魅力だ。Ryzen 3 3100/3300XはCPUパワーに対するコストはCore i3-10100を圧倒しているが、とにかく手間をかけずに安価なPCを組む、という点ではまだインテル製CPUも捨てたものではない。

 しかし、AMDはRenoirことZen 2ベースのGPU内蔵モデル、Ryzen 4000 Gシリーズを近々投入すると噂されている。Ryzen 4000 Gシリーズがどの位の価格で出回るかは全く分からないが、価格設定次第では今回のレビューの結論を大きく変更しなければならなくなるかもしれない。少なくとも筆者はそう願っている。

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