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コロナ渦のいま、サイボウズ青野慶久氏とさくらインターネット田中邦裕氏が大いに語る<前編>

帰ってきたサイボウズ・さくらの社長対談 クラウドと働き方はどう変わったか?

2020年07月07日 12時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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北米でkintoneを始めたら、サイボウズのような組織ができた

大谷:6年前の対談では、「グローバル化」というキーワードも上がりました。

青野:もともと私たちがやっていたスケジューラーやアドレス帳などのグループウェアは、文化に根ざすところが大きいので、グローバル化が難しいという認識がありました。だから、もう少し低いレイヤであるミドルウェアでチャレンジしようということで、国ごとに違う使い方もできるkintoneにシフトしました。

サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏

6年前、kintoneは機能的にも、売上的にも、全然ダメでしたが、少なくとも日本においてはかなりパートナーや売上も拡大して、サイボウズの柱になりつつあります。そして、グローバル化に関しても、ちょうど6年前くらい前に副社長の山田 理を送り込んで、北米の事業を本格化しています。

大谷:海外は2回目のチャレンジですが、少しずつ成果出ているみたいですよね。

青野:売上的にはまだまだなんですが、とりあえず北米にサイボウズっぽい組織ができました。アメリカ人なのにサイボウズみたいに組織文化を語るとか、一体感を求めるとか、そういう会社が生まれたんです(笑)。今はリードをとって、営業して、受注したら、フォローしてという事業運営や成長が得意なメンバーにバトンタッチして、今年・来年で成果が出るといいなと思っています。

田中:青野さんの中でグローバルってどういう位置づけなんですか?

青野:シンプルに言うと、ローカルとグローバルをあまり分けていなくて、「僕たちが作ったソフトウェアで、地球にいる70億人のうち何人を幸せにできるのか?」という話です。そう考えると、1億2000万人の国でやっていても限界が見えるので、シナリオとしては北米から行くと他への波及効果もあるかなくらいで進めています。

田中:あと、スケジューラーのSaaSのように付加価値が高ければ高いほど文化の違いがあるけど、PaaSだと文化的な差異が生まれにくいと思います。これはグローバル化を意識しているからなんでしょうか?

青野:おっしゃる通りですね。70億人にサービスを提供したいという野望を実現しようと思ったら、やはりスケジューラーではダメなんですよね。パソコン作りはNECや富士通に任せて、CPUを作るインテルのような立場になる必要があるんです。だから、グローバルに向けては「kintone入ってる」という戦略に企画し直したんです。

とはいえ、グローバルプレイヤーと戦うのは熾烈なので、目先の利益率を考えればやってはいけない戦略なんですけど、まあ「やりたいな」と思って(笑)。やらずして死ねないなと。

田中:ちなみに私たちのサービスは、以前は「海外からは使えません」と約款に入れていたのですが、いまは海外からも普通に使えるようになっています。微々たるもんですが、海外ユーザーも増えてはいます。

マルチクラウドとAIが普通に使われる世界に

大谷:6年前の対談のトピックとして挙げたのは、当時はやっていたビッグデータです。この分野は大きな変化を遂げていて、IoTのようなセンサーネットワークが徐々に普及してビッグデータが生成されるようになり、データサイエンティストが人手でやっていた解析がAIを使うことでかなり楽になりました。

田中:モバイルネットワーク、ビッグデータ、AI、IoTなど、すべてが当たり前に使われるようになってますよね。2014年頃はちょうどこれらのテクノロジーへの期待がピークに達していた頃で、その後ハイプカーブでいう幻滅期を超え、いまはしっかり実用段階に来ています。

5年前はAI自体がビジネスになっていましたが、今ではAIを使ってビジネスにすることが増えています。AIが商売ネタではなく、商売の手段になっていますよね。IoTに関しても、PoCを超えて、業務プロセスに組み込まれるようになっていますよね。

大谷:クラウドの利用形態もずいぶん変わってきましたね。

田中:複数クラウドを利用することも多くなりました。以前はクラウド連携というとIaaSやサーバー同士をつなぐという話でしたが、いまはSaaS、PaaS、IaaSなどを柔軟につなぐ時代になっています。プラットフォームはさくらを使っているんだけど、データはAmazon S3に入っていて、認証系にGoogle CloudやFacebookを使い、kintoneで分析するみたいなことが当たり前になってきています。マルチクラウドで、しかもサービスのレイヤー間の垣根を超えるようになっています。

大谷:逆に言うと、マスクの販売サイトが落ちると、冷房のリモコンが効かなくなったりするんですけどね(笑)。

テクノロジーよりも人間にボトルネックが来ている

田中:クラウドのエコシステムのメリットは「全員儲かる」ということです。うちだけ儲けようとか、箱を持ち込もうとか、サブスクじゃないものを入れようとするから、失敗するんです。流れにあがなうのではなく、みんながクラウドの世界に飛び込めばいいと思っています。

大谷:6年前の対談でもそれは一貫してアピールしていましたね。なかなか理解されにくいのですが……。(関連記事:「クラウドビジネスはお客様もパートナーもハッピーにする」)

田中:たとえば、青野さんとのつながりで言うと、「コンピューターソフトウェア協会」というところの副会長を二人で務めているのですが、正直クラウド化が進んでいない。請負の仕事をしている会社も多いので、パッケージではなくクラウドの推進をもっと声高に言っていきたいです。

青野:今までに比べて技術的な障壁が相当なくなってきているし、モバイル、データ、AI、IoTなど種類も一通り揃ってきました。でも、ビジネスモデルが変えられない会社が多くて、IT業界自体がそもそもDXが起こせていないんです。

テクノロジーとそれを使う人間のどちらにボトルネックが来ているかというと、あきらかに人間がボトルネックになっている。なぜできないのかを探っていくと、やはり組織に行き着く気がします。

大谷:テクノロジーに組織がついて行けてないこと増えてますね。結局、私もテクノロジーから入って、最近は組織やカルチャーの記事書いています。

青野:田中さんがおっしゃるようにクラウドビジネスって、いろいろな会社とオープンにつながりながら、みんなで儲かること。でも、これを組織の目標として掲げられないとか、利益や売上の数字が上から降ってきた段階でゲームが止まってしまうという会社多いですよね。だから「DXが進まないのは、組織の問題」と答えています。

<後編に続く>

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