3歳児くんの保護者をしています盛田諒ですこんにちは。2歳を過ぎたころから子がたびたび「おともだち」の話をしてくれるようになりました。トミカを400個持っていて、10歳にして中学校に通う男子です。最近は靴箱についた黒いしみを指し、これは恐竜だと教えてくれました。スペラノドン(?)という名前で空を飛び、ときおり火を噴くのですが、赤ちゃんにはやさしいそうです。
どちらも子どもの大事なイマジナリーフレンドってものですね。イギリスの保険会社が2018年、イマジナリーフレンドについて実施した調査を見ると、国は違っても同じようにおともだちを作っていることがわかります。調査によれば、初めておともだちができるのは3〜4歳。おともだちの6割は人間で、男子で同性のおともだちができる割合は約8割。テレビやスマホなどを見ている時間が1時間未満の子は、2時間以上の子に比べて、おともだちができる可能性が3.5倍高いということ。3歳を過ぎるまでテレビ離れしていた子はまさにイマジナリー適合者でした。
そういや私自身もおともだちがいたなあと振り返りながら思ったことはそんなに想像の世界が広いんならおもちゃをポンポンあげないほうがよかったんじゃないかってことでした。そうしたら私自身がトミカとプラレールとこどもちゃれんじのふろくで埋まったリビングを見て「うああ」とうめき声をあげることもなかったんじゃないかと。
保育園で遊んでるときは倒木にまたがって電車ごっこしているわけだし、家でもゴミになってた段ボールをいいかげんに切ったり貼ったりして「ロボットだよ!」と言ったら喜んで遊んでくれたし、遊び終えたら簡単に解体して処分できたし。音が出る山手線なんて買わずにクッションにまたがって「まもなく3番線に品川方面行きの電車がまいります」とかやってもらってりゃよかったんじゃないか。インテリアになるような美しい木のおもちゃと紙ゴミ、あとは拾ってきた石や棒っきれで遊んでもらってたらよかったんじゃないか。そうしたら親としてもラクだったし親子でウィンウィンしてたんじゃないか、という気持ちになってきました。あとおもちゃとは直接関係ないですけどキャラものの服買うとほかの服着なくなって困りますよね。あれもあらかじめ歯止めをかけておきたかった。
まあ今さらそんなこと言っても手遅れにも程があるんですが。後悔先に立たずとはこのことか。
1999年の話ですが、ドイツの保育園でおもちゃを3ヵ月間なくす実験をしたことがあったそうです。1日目はどうしたらいいかわからなかった子どもも、2日目にはテーブルや毛布を使って遊びはじめ、それで3ヵ月すると、とりわけ絵を描くときの集中力がとても高まったんだと。そう言われるとヘタな知育玩具買うよりゴミあげたほうがいいんじゃないかって気持ちになってきます。
ただし実験では、子どもたちが部屋の中を走りまわったり大騒ぎをするようになったので、先生たちにとっては危なっかしい遊び方をする子どもを「見守る」ことが大変になったという話もありました。家の中にはおもちゃにされると怖いものもあり、そういうときはやっぱ小石とか棒っきれより安心安全なおもちゃがありがたいもんだなと思います。こっちが終始目をつけてられればいいんですがそういうわけにもいかないし、結局はバランスなんだろうと。
まあうだうだ書いてますが想像力のなくなった私が安易におもちゃをあげすぎてるのが根本的な問題ですよね。わーロードスターだかっこいいーとか言って。いやそれおまえんじゃねーから。というか欲しかったら本物の旧車を買えっつーの。3年前の私よ、時を超えてこの記事を読んでくれ。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。3歳児くんの保護者です。Facebookでおたより募集中。
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