ここに来て、シャオミが好調だ。スマートフォンでは世界シェアで安定の4位、しかもファーウェイが米政府の対応に右往左往する中で、着々と海外展開(米国は除く)を進め、第1四半期(1~3月期)は前年同期比で12.3%増で成長している。成功の一因がデュアルブランド戦略だ。
日本でも展開の「Redmi」とのデュアルブランドが奏功
アップルとシェア差は2ポイントに
2020年第1四半期、サムスン、ファーウェイ、アップル、シャオミ、Vivoと並ぶ、スマホシェアの世界トップ5の中で、シャオミは最も高い成長率を叩き出し、3020万台の端末を出荷した。サムスンとファーウェイがマイナス17%、アップルがマイナス8%と、トップ3が販売台数で苦しむ中でシャオミは成長し、シェアは11.1%に。その上の13.6%のアップルに肉薄する格好だ(Canalys調べ)。
シャオミは成功の要因としてサブブランド戦略を挙げている。同社はメインの「Mi」ブランドに加えて、廉価版ライン「Redmi」をサブブランドとして分離している。BBK Electronicsが「OPPO」「Vivo」「OnePlus」を、ファーウェイが「Honor」を持つのと似たような形だ。これにより、特定のユーザー層に絞った製品を展開するというもので、Redmiの場合はエントリーからミッドレンジとなる。
2013年にRedmiブランド立ち上げて以来、シャオミの人気と販売台数に貢献してきた。第1四半期では、2月にKシリーズとして「Redmi K30 Pro」「Redmi K30 Pro Zoom Edition」を発表。また、Canalysによると「Redmi Note 8」は2020年第1四半期に2番目に売れたスマートフォンだったという。
MediaTekの5G SoCを搭載する「Redmi 10X」
ミッドハイながら、Antutuのスコアは41万点以上
そのRedmiブランドからは5月に、中国向けの最新5Gスマホ「Redmi 10X」が発表された。最大の特徴は、同時に発表された台湾MediaTekの5G向けSoC「Dimension 820」を搭載した初のスマートフォンという点だろう。8コアのDimension 820は最大2.6GHz動作で、AnTuTuのスコアは41万点以上という。同価格帯では最上位であり、「ミッドハイでは最も高性能なスマートフォン」とうたっている。
5Gはスタンドアローン(SA)と非スタンドアローン(NSA)の両モードをサポート。デュアル5Gスタンバイとして、最適なネットワークのためにSAとNSAの間を切り替えることができるという。
このほか、30倍のデジタルズーム、4520mAhバッテリー、6.57型のサムスン製有機ELパネルなどを備える。6GB+64GB、6GB+128GB、8GB+128GB、8GB+256GBのバリエーションがあり、価格は1599~2399人民元(約2万4000円~約3万6000円)。
同じ日に、シャオミはMediaTek Helio G85プロセッサを搭載したRedmi 10Xの4G版も発表している。
最新機種が良い例だが、Redmiも徐々に高価格帯にシフトしつつあるように見える。シャオミは第1四半期の平均販売価格(ASP)が前年同期比で7.2%高くなったと報告している。
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