上野優華 ウワサの〇〇試します 第2回
リモートワークで「聞き取りにくい」と言われたら、マイクのせいかもしれません
イヤホン内蔵マイクの音質、気にしてますか? 上野優華の生歌で検証! (2/2)
2020年06月26日 17時00分更新
マイルドで聞きやすい「WF-1000XM3」の内蔵マイク
まずはWF-1000XM3から。WF-1000XM3は実売価格で2万6000円前後とやや高額ですが、コンパクトなサイズながら処理性能の高さに定評のあるソニーのノイズキャンセリング機能が使えることと、シックなデザイン・カラーで愛用者も多いモデルです。ワイヤレスイヤホン市場全体でもかなりの人気を誇るモデルと言えるでしょう。
録音音源のレビュー:WF-1000XM3の内蔵マイクで集音した音は、傾向としてはマイルドで、ややくぐもったような音質です。しかし、ネガティブな意味での「くぐもった」というよりは、耳に刺さりやすい帯域が自然に減衰している印象。通話相手にとっても、優しく耳馴染みのよい音質に感じるのではないでしょうか。
ボリュームの大小にもすこしコンプレッションがかかっています。対面で話すとほとんど気になりませんが、意外に人が話すときには声のボリュームに山と谷(声の大小)があります。音声通話だと、このあたりが気になることもあるのですが、ピークがほどよく削れているので、その点でも、相手にとって優しい音質です。
公表されているスペックを見ると「くぐもった感じ」の正体が分かります。WF-1000XM3の内蔵マイクは全指向性で、有効周波数帯域は50〜8000Hzです。8000Hzを超える帯域が持ち上がってくると、声のクリア感も強調されますが、同時に声の性質によっては、耳に痛い成分が出てきてしまう可能性があります。
イヤホンの内蔵マイクだと、声をリアルに伝えるというよりは、「確実に集音すること」「相手が聞き取りやすい音質かどうか」が最重要ですから、この帯域は理にかなっています。ちなみに、マイク方式はレコーディング用のマイクでもダイナミック型と合わせて主流の、エレクトレットコンデンサー型です。
Zoom通話時の音質のレビュー:かなり聞きやすく、いい音です。フルワイヤレスイヤホンの特性上、耳元で声を拾う構造になるため、格安モデルなどでは、声が遠く聞こえてしまうこともあります。しかし、このモデルに関しては、そういったことは一切なく、またノイズもほとんど入りませんでした。WF-1000XM3のマイク性能は非常に優れています!
上野優華さんの感想
「見た目的に、会議にも向いてるんじゃないかな。ビジネス向けに、きっちりした格好をしていると、イヤフォンがあまりおしゃれすぎるのもどうかなって思うので。見た目も、付けた感じも、飾りすぎない感じがすごくいいですね。
すこし大きく見えるけど、付けてみると、軽くてストレスフリー。あと、充電ケースの蓋のブロンズカラーが、女子っぽくてかわいい!」
よりリアルな声に近い「WI-1000XM2」のマイク
続いてはWI-1000XM2。こちらはWF-1000XM3と同じシリーズで、音作りに加えて、エクステリアのコンセプトも共通していますが、最近人気のネックバンドタイプです。柔らかいシリコン製のネックバンドを採用しているため、携帯時はラフに折り曲げて運ぶこともできます。
WI-1000XM2も実売価格で3万2000円前後という高級機で、ノイズキャンセリングにも対応しています。WF-1000XM3と合わせて、ソニーのワイヤレスイヤホンで人気を集めている有力機です。
録音音源のレビュー:マイクの音質は、WF-1000XM3に限りなく近く思えます。シリーズも同じで、音質がすごく似ているので、もしかしたら、同じマイクを内蔵しているかもしれないと思いましたが、スペック表を見ると、MEMS型との表記があり、どうやら違うようです。
MEMS型のマイクは、空気中の微弱な電気信号の変化をとらえてオーディオに変換するという意味では、エレクトレットコンデンサー型と共通していますが、その素子に大きな違いがあります。ここでは技術的な詳しい話は割愛しますが、スマートフォンのマイクやイヤホンの内蔵マイクでは、エレクトレットコンデンサー型と合わせてよく使われている方式のマイクです。
全指向性で、有効周波数帯域50〜8000Hzというスペックは共通なので、音質が似ていると感じたのかもしれません。よく聞き比べると、こちらの方がコンプレッション感は控えめで、音の大小の差が大きくなっています。このため、WF-1000XM3のマイクと比較すると、もう少しリアルな声に近く感じます。マイクの取り付けられている位置はネックバンド部なので、口に近く、その意味でも、対面で話しているときに近く感じるかもしれません。
ただ、これらの差は注意深く比べて聞けば感じられるというレベルで、WF-1000XM3とかなり似ていることは確かです。WF-1000XM3とWI-1000XM2で購入を迷った場合、どちらを選んでも、マイクの音質はかなり優れていて、相手が聞き取りやすい音質だと言えます。
Zoom通話時の音質のレビュー:録音音源と同じく、印象としてはWF-1000XM3のマイクの音質に似ています。しかし異なるのは、ネックバンド部にマイクが内蔵されているため、襟元や袖と擦れると、「ざっ」というノイズになって聞き手に届きます。ネックバンド型のイヤホンで通話をする際は、マイク部に触れないように注意が必要ですね。
上野優華さんの感想
「これは、おしゃれに見せたいときに使いたい。イヤホンって、音も大事ですけど、ファッションの意味もあると思うんです。『イヤホンをつけている感』が出せるこのデザインは好きですね。
耳へのフィット感がよくて、相手の声は、WF-1000XM3よりもハッキリ聞こえる気がします。ネックバンド型だと、外したいときに首にかけておけるのは便利ですね。性能の高さと、手軽に使える感じのバランスがいいイヤホンです」
個性派モデル「SBH82D」のマイクは特徴アリ
SBH82Dはオープンハウジングタイプが特徴で、耳の穴に、イヤーパッドを載せるようにして装着します。耳を完全にはふさがないため、長時間の利用時にも聴き疲れしにくく、周囲の音も聞き取りやすいという特徴を持ちます。
実売1万円弱と、今回紹介しているほかの2モデルに比べてリーズナブルな点も魅力。ソニーでは、「音を聴きながら会話ができる」というポイントを推していますが、その通り、ちょっとした会話ならつけっぱなしでも問題なくできるモデルなのです。
録音音源のレビュー:WF-1000XM3、WI-1000XM2とは明らかに異なることが一聴して分かります。
ひと言で表せば、リアルだけど、やや耳に刺さる音質です。
今回上野さんに歌唱してもらった「あなたの彼女じゃないんだね」の1フレーズは「抱きしめて キスをして あの日みたく 離さないと笑ってよ」という歌詞で、歯擦音である「し」「す」「さ」がけっこう含まれているので、より違いが分かりやすいです。
スペック的には、全指向性で、エレクトレットコンデンサー型で、有効周波数帯域は160〜8000Hz。WF-1000XM3、WI-1000XM2と比べて、ローエンドが少し削られています。
女性の声や、声が高い方の歯擦音は8000Hz前後に強く現れる傾向があるため、8000Hzまで出ていると、声の性質と、帯域のチューニングによっては、歯擦音が強調されてしまうことがあるのです。これが「やや耳に痛い」と感じる原因と思われます。
ほかの2モデルと比べると、ノイズも若干多めに拾っていて、イヤホンの内蔵マイクとしては、品質は一段下がる印象です。価格もだいぶ異なるので仕方のない点です。
ただ、決して悪い音質とか、聴き取りにくいということではなく、あくまで高級機とは異なるという評価です。それにしても、価格の違いが内蔵マイクにもハッキリと現れるのは新たな発見です。
Zoom通話時の音質のレビュー:このモデルは声のボリュームの大小が割とハッキリ出たため、ユーザーの話し方によっては、聞き取りにくく感じるかもしれません。160Hz以下の低域がカットされているので、どことなく、声が深みを失ったような印象です。低域は量感を担う帯域なので、なくなると「何かが足りない」感じの音になります。しかし音をモコモコと濁らせる帯域も低域に集中しており、カットによって声はクリアにもなります。聞き取りやすさという意味では、かなり有力な性能と感じました。ナチュラルさや、トータルのバランスなら、ほかの2モデルに軍配が上がります。
上野優華さんの感想
「不思議な装着感! でも着けていて変に圧迫感があったりとか、そういう違和感はないです。普段からピアスをしていますけど、ピアスと一緒につけても、見た目のバランスは大丈夫そうですね。
周りの音も聞こえるので、家事をしながら音楽を聴きたいときとか、通話をしたい時もいいかも。友だちとオンライン飲み会をするときも、長時間イヤホンを着けっぱなしにするので、イヤホンと耳のあいだに隙間がある感じは快適ですね」
イヤフォン内蔵マイク、大切だった
Zoom通話時の音質は、当然、聞き手のデバイスのオーディオ性能にも依存します。聞き手型が同じ環境なら、録音音源ほど顕著な差は出ません。例えるなら、128kbpsの音源と320kbpsの音源は情報量に違いがありますが、同じスピーカーで鳴らせば、音の印象は似るということと同じです。
しかし、イヤホンの内蔵マイクの品質によって、音声の品質や聞こえ方に差が出ることは、今回の検証で明らかになりました。ワイヤレスイヤホンの購入時に、マイクの音質を気にすることは少ないかもしれませんが、通話相手の感じ方にも大きく違いが出る部分と言えるでしょう。
リモートワークで、イヤホン内蔵のマイクを使用していて、相手から「聞こえにくい」や「うるさい」と言われたら、一度イヤホン内蔵マイクの音質を録音して、チェックしてみてもいいかもしれません。反対に、「聞こえやすい」とか「いい音」と言われることがあれば、それは、イヤホンのおかげでもあるかもしれませんね。
上野優華(うえの・ゆうか)
徳島県出身の歌手・女優。2012年、キングレコード×講談社主催のボーカルオーディションにおいて、1万人を超える応募者の中からグランプリを獲得し、翌2013年、映画の主演・主題歌でデビュー。2017年からはベトナムを中心としたアジア圏での活動も精力的に行っている。
2018年にリリースした「好きな人」のMVがYouTubeで280万回再生を越え、1000件を超える若い世代からの書き込みが殺到。以後、心に沁みる歌声から「いま、泣ける声」と称されている、今一番注目されているシンガー。
ニューミニアルバム「今夜あたしが泣いても」発売中!
”泣ける”失恋・片想いソングを散りばめたアルバム。奥華子さん、橋口洋平(wacci)さん、コレサワさんなど、超豪華な提供アーティスト陣にも注目!
●New Mini Album「今夜あたしが泣いても」
価格:3200円+税、内容:CD+DVD、品番:KICS-93902
価格:2200円+税、内容:CD、品番:KICS-3902
<DVD収録内容>
・「迷子」Music Video
・「あなたの彼女じゃないんだね」Music Video
・アーティスト写真撮影メイキング映像
<CD収録内容>※初回限定盤・通常盤共通
1.こっちをむいて
(作詞:コレサワ / 作曲:コレサワ / 編曲:関口シンゴ)
2.迷子
(作詞:奥華子 / 作曲:奥華子 / 編曲:時乗浩一郎)
3.あなたの彼女じゃないんだね
(作詞:橋口洋平(wacci) / 作曲:橋口洋平(wacci) / 編曲:時乗浩一郎)
4.冬色シルエット
(作詞:岩里祐穂 / 作曲:aokado / 編曲:aokado)
5.メロンパンのうた
(作詞:わたなべだいすけ(D.W.ニコルズ)・上野優華 / 作曲:わたなべだいすけ(D.W.ニコルズ)/ 編曲:鈴木健太(D.W.ニコルズ))
6.私の歌
(作詞:中尾孝年&ファンの皆さん / 作曲:木村美保 / 編曲:成瀬篤志(カミナリグモ))
7.おぼろ月の夜に
(作詞:古内東子 / 作曲:松本俊明 / 編曲:時乗浩一郎)
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