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特別企画@プログラミング+ 第45回

Wikipediaに匹敵する、超巨大な知識プラットフォーム

「Quora」のキレッキレなQ&Aがつまった公式本刊行!!

2020年05月23日 14時00分更新

文● ASCII

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 素朴な質問やネタっぽいものから、社会的な課題、高度な数学や物理学の問題、果ては恋愛相談や人生についての悩みに至るさまざまな問いと、その道の専門家や著名人が実名で答えた秀逸な回答が集まった、知識共有プラットフォーム「Quora(クォーラ)」。

 2010年にアメリカで立ち上がったサービスで、いまや全世界で月間3億人が利用する規模に成長したQuoraだが、Yahoo!知恵袋や教えて!gooといったQ&Aサイトとはひと味違うものとして、日本でも最近かなり目にするようになってきた。TwitterやFacebookといったSNS上でもQuoraのQ&Aがひんぱんに話題に上り、Googleで検索するとQuoraが引っかかることも少なくない。

 それも当然で、Quoraは単なるQ&Aサイトではなく、質問と回答というかたちで、あらゆる知識を集積することを目指して作られている。要するに、すべての知識をネットに集めるという同じ目的でも、人々が共同で編集するWikipediaに対して、Q&Aというかたちを使ってより多くの人が答えやすく、より知識を集めやすくしたのがQuoraだと言える。

 そのQuoraの、厳選したキレッキレなQ&Aを100個以上も収録した公式ムック、『Quora 世界最大級の知識共有プラットフォーム-ビジネスと人生の課題をすべて解決する-』(発行:角川アスキー総合研究所、発売:KADOKAWA)が、5月21日に発売された。

 ビジネス、デザイン、テクノロジー、働き方、そしてパンデミック後の世界はどう変わるかなど、テーマ別にQ&Aを掲載するほか、QuoraのCEOアダム・ディアンジェロ氏や『超「整理法」』の著者・野口悠紀雄氏、プログラミング言語「Ruby」作者のまつもとゆきひろ氏のインタビュー、Quoraの活用法なども掲載している。

DropboxやSlackの創業者らも回答。秘話や裏話が満載

 前述したとおり、Quoraではさまざまな専門家や著名人が参加・回答しており、本書では下記のような著名人のQ&Aを掲載している(敬称略)。
 

  • バラク・オバマ(アメリカ合衆国前大統領)
  • カル・ヘンダーソン(Slack CTO兼共同創業者)
  • ドリュー・ヒューストン(Dropbox共同創業者兼CEO)
  • フランシス・フクヤマ(政治学者)
  • ゴードン・ラムゼイ(受賞歴のあるシェフ)
  • ガイ・カワサキ(Appleの元チーフ・エバンジェリスト)
  • ヒラリー・クリントン(アメリカ元上院議員)
  • ジミー・ウェールズ(Wikipedia 共同創始者)
  • J・J・エイブラムス(映画監督)
  • ノーム・チョムスキー(言語学者)
  • パトリック・コリソン(Stripe共同創業者)
  • ポール・クルーグマン(ノーベル賞受賞エコノミスト)
  • まつもとゆきひろ(プログラミング言語「Ruby」の作者)ほか
 

 DropboxやSlackなどの創業者のほか、GAFAやMicrosoftなどテック企業の元スタッフの回答も多く、起業やサービスについて、あるいはスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツらとの秘話が読めるのもQuoraの大きな特徴の一つだ。本書に掲載されたQ&Aの一部を紹介しよう。

「若い創業者がよく間違い、経験豊富な創業者が間違わない事は何ですか?」
回答者:ドリュー・ヒューストン(Dropbox共同創業者兼CEO)
回答:経営経験がないことで、予測可能なヒトの問題や運営の間違いといったことに直面しますが、致命的になることはほとんどありません。
 ですので、運営上の間違い(動きが遅い)と、より重大な盲点である戦略上の間違い(誤った方向に進む)を、私は別の種類の間違いとして考えています。
 若い創業者は最初のプロダクトを作り、初期ユーザーとの対話が得意な一方で、自分は何を知らないのかを分かっていません。その結果、全体像を見ることが出来ていない事がよくあります。私もそうでした。(Dropboxを創業した時、私は24歳でした)
 会社を軌道に乗せて規模を拡大するには、良いプロダクトを作るだけでは足りません。市場、ディストリビューション、ビジネスモデル、競合相手に対する戦略と対応、チームビルディングと運営等に優れた決断を下す必要があります。
 体系的な学びにより、このようなことの多くは仕事を通じて学べます。急激な成長を見せる企業であっても一夜にして生まれるわけではありません。間違いを避けるよりも、好奇心を持つことと学習曲線を素早く駆け上がる(素早く学ぶ)ことの方がずっと重要です。私の最も有益な自分への問いかけの1つをご紹介します。
 「今から1年後、あるいは2年後、5年後に、この日に何を学んでおけばよかったと思うだろうか?」
https://qr.ae/pNnZra

「スティーブ・ジョブズと一緒に仕事をしていて一番印象に残っていることは何ですか?」
回答者:ガイ・カワサキ(Appleの元チーフ・エバンジェリスト)
回答:ある日、スティーブ・ジョブズが知らない男と私の作業スペースに現れました。スティーブはその人物を紹介することもなく、私にこう尋ねました。
 「Knowareという会社をどう思う?」 
 私は、その会社の製品はたいした特徴もなく、退屈かつ単純で、マッキントッシュにとって戦略的に得られるものは何もなく、重要なものではないと言いました。私が悪態をついた後、スティーブが言いました。
 「紹介させてほしい、Knowareの最高経営責任者であるArchie McGill氏だ」
 ありがとう、スティーブ。
 ここで重要なのは、私がスティーブのIQテストに合格したことです。もし私がくだらないソフトウェアについて聞こえのいいことを言っていたら、スティーブは私が無能であり、私のキャリアを制限するか終了させていたでしょう。
 スティーブ・ジョブズの下で働くのは簡単ではなかったし、楽しくもなかった。彼は優秀さを要求し、常に全力を出すことを求めていました。そうじゃないと、すぐクビになるでしょう。でも、彼のために働いた経験は、今までのどんな仕事にも代えがたいものでした。
 この経験から私は、真実を話し、結果についてはあまり心配するべきではないことを学びました。その理由は下記の通りです。
1.真実を話すことは、人間性と知性が問われます。強くなければ、真実を伝えられないし、知的でなければ、真実を認識することはできません。
2.人々は真実を切望しています。つまり、ポジティブになるためだけに自分の製品は良いと言っても、それを改善する助けにはなりません。
3.真実は1つだけです。正直であれば、一貫性を保つのが簡単です。嘘をつくと、自分の言ったことを把握しておく必要があります。
https://qr.ae/pNyUNl

情報を得るだけでなく、読み物としても楽しめる

 Q&Aサービスというと、知りたいことを質問したり、調べたりして回答を読んで、問題が解決する、という使い方がメインのように思うかもしれないが、 Quoraはそれだけではない。気づきが多く、時間をかけずに質の高い情報を得られるツールとして、生活の中に取り込むことができるのだ。その守備範囲は広く、仕事に役立つシリアスな情報もあれば、雑学的に楽しめるトリビアもある。本書に掲載された質問は、例えばこんな感じだ。

  • 「なぜ水は透明なのですか?」
  • 「ビル・ゲイツは、Microsoft 社で最も頭が良い人でしたか?」
  • 「70 歳の人にプログラミングを教えるとしたら、どんなステップで教えますか?」
  • 「若い創業者がよく間違い、経験豊富な創業者が間違わない事は何ですか?」
  • 「コカコーラがレシピの内容を公開しないことは合法ですか?」
  • 「海外に持っていくと喜ばれる日本のお土産はなんですか?」
  • 「日本は本当に治安が良いのですか?」
  • 「コロナ前とコロナ後で世界は変わりますか?」
  • 「歴史上、最も悲しい人は誰ですか?」
  • 「なぜキャッシュレス化を推進しようとしているのでしょうか?」
  • 「教室で一番良い席はどこだと思いますか?」
  • 「GAFAで働いたことのある方に質問です。各々どんな会社だったでしょうか?」など

 質の高い知識が集まるQuora。本書では、その膨大な情報の中から厳選したQ&Aを厳選している。これらを読んで、Quoraの優秀さと面白さの片鱗に触れていただきたい。
 

<書籍概要>

・タイトル:Quora 世界最大級の知識共有プラットホーム
-ビジネスと人生の課題をすべて解決する-  
・発行: 株式会社角川アスキー総合研究所
・発売: 株式会社KADOKAWA
・定価:1,650円(本体1,500円+税)
・発売日:2020年5月21日
・判型:A4変形判
・商品形態:ムック
・総ページ数:144ページ
 ※電子版は各電子書籍ストアから5月28日発売
・ご購入はこちらまで

〈主な内容〉
・Quoraをはじめよう! 
・情報力・思考力を上げる!「1日10分のQuoraタイム」を始めよう!

【Feature1 新しい知の流通とグローバル】
・野口悠紀雄氏インタビュー「“いい質問”の重要性」 
・「Quoraという新しい知識の泉は、なぜ米国で受け入れられるのか」(松村太郎)  
・インターネットの情報取得の歴史(ばるぼら)

【Feature2 Inside Quora:Quoraの哲学とテクノロジーを探る】
・Quoraの高品質を支える4つの要素  
・アダム・ディアンジェロQuora CEOインタビュー「知の共有と、テクノロジーの進化」 
・「まつもとゆきひろさん、Quoraをどんなふうに使っていますか?」

【Quoraの教科書】
・ユーザー登録の方法、回答の評価、質問のフォロー、スペースの使い方、統計のチェックなど

【コラム】
・「学校」でQuora使ってみよう! その可能性をさぐる

【Quoraからピックアップ 111のQ&A】
・ビジネス/起業、デザイン、エンタメ/旅行、グローバル/日本、マーケティング、世界はどう変わるか、環境/科学、人間関係/人生、テクノロジー、経済/働き方、人材/教育


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