あのプレデターになれる!時間を忘れるおもしろさの「Predator: Hunting Grounds」PC版をレビュー
「プレデター」といえば、ハリウッドアクション映画の黄金時代である1980年代にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で製作されたSFアクションであり、その敵役である異星人プレデターは、同じく20世紀SFモンスタームービーの金字塔「エイリアン」のゼノモーフと人気を人気を二分するキャラクターだ。
そんな名作映画の世界に入り込み、プレデターとして人間を狩るか、あるいは人間の兵士としてプレデターと対決するゲーム、それが「Predator: Hunting Grounds」だ。4月24日にPlayStation 4(PS4)版およびEpic Games StoreにてPC版がリリースされた本作は、PS4とPCのクロスプレイも可能で、多くのプレイヤーがしのぎを削る今まさに旬のタイトルだ。そんな最新作をゲームプレイの様子を織り交ぜながら紹介したい。
異なる強さと勝利条件を持つ非対称対戦に
NPCとの対戦がプラスされたPvPvE!
本作はボスキャラじみた強大な「敵役」を操る1人のプレイヤーと、普通の人間を操る数人のプレイヤーの2陣営に分かれて戦う対戦形式である非対称対戦。このジャンルも近年タイトル数が増えてきて、「13日の金曜日」などの人気映画を題材にしたタイトルがリリースされたり、「バイオハザードRE:3」のオンライン対戦モードとして採用されたりと、最早すっかり市民権を得たと言っていいだろう。
映画「プレデター」は、そうした非対称対戦のラインナップとしてはまさにうってつけのテーマであり、そのゲーム化作品である本作「Predator: Hunting Grounds」は待ち望まれたタイトルとも言える。しかし、本作はそれだけでは終わらない。単に「プレデター」を題材とした非対称対戦というだけではない、新しい試みの数々が盛り込まれた挑戦的なタイトルになっている。
たとえば、これまでの非対称対戦といえば、強大なボス敵役プレイヤーvsサバイバー役プレイヤーといった単純な構図になっていた。勝利条件も、サバイバーが全滅するかしないか、ボス敵が反撃で倒されるか倒されないかといった、かなり単純な建て付けであることが多かった。よく言えばわかりやすく、誰でもすぐ理解できるとっつきやすい内容とも言えるが、その分あまり深みがない造りでもあった。
本作「Predator: Hunting Grounds」は、そんなありきたりな非対称対戦とは一線を画し、プレデターとファイアチームの2陣営に分かれたプレイヤーに加え、CPU側の陣営と言えるゲリラ兵を加えたPvPvEという、非対称対戦としては珍しい構図となっている。この構図が、これまでの非対称対戦とは違った新しいゲーム体験をもたらしているのだ。
本作を他の非対称対戦と分けている大きな違いのひとつ、それは、必ずしもプレイヤー陣営同士は直接の敵対関係ではないということだ。人間側プレイヤーの部隊「ファイアチーム」は第一の任務として、まずCPUのゲリラ兵を対象とした、通常の軍事任務が与えられている。
プレデターはたまたまそのミッションエリアを「狩り場」に選んだに過ぎず、ファイアチームのメインターゲットではない。プレイヤーの心情は別として、ファイヤチームは対ゲリラ任務の達成と生還こそが第一の目的であり、プレデターを倒して死体を持ち帰るのはボーナス目標でしかないのだ。
一方で、プレデターは「狩人」としてファイアチームを狩り、その身体部位をトロフィーとして持ち帰るのが唯一の目標となっている。これが、強力なはずのプレデターが勝利条件を達成することを難しくしている。
映画同様に先進的な装備や恐ろしい武器を持っているため、逆襲されて狩られるという敗北を避けるのはそれほど難しくはないが、チームワークよく立ち回る人間のプレイヤーを狩るのはかなり挑戦的なミッションだ。
それでも選択肢が多いため、勝利を掴むためにはどうすればいいのかを毎回考えながら試していくことになる。その体験は刺激的で、勝ち星が少なくても病みつきになる楽しさを秘めている。
ファイアチームはFPS視点の対ゲリラ任務
ファイアチームのゲームプレイはPvE協力プレイのFPSに近い。4人プレイヤーのチームに軍事任務が与えられ、メインウェポン、サブウェポンとギア、パークからなるロードアウトを持って任務に臨む。
最初は選べるクラスはアサルトのみだが、ミッション経験値でレベルアップしていくと徐々にクラスが解放され、最終的にはリコン、スカウト、サポートを加えた4種類の役割をプレイ出来るようになる。ロードアウトも同様、プレイを繰り返すうちに段々増えてくる形だ。
ミッションの内容は、ジャングルに潜むゲリラ(NPC)の拠点を襲撃して、マップごとに異なる細かい目標を順に達成していくというもの。
小目標を達成するたびに通信で次の行動が指示され、その都度新しいミッションマーカーが表示されるので、その地点へ向かい、指示された敵を倒したり、アイテムを探したり、オブジェクトを破壊したりといった条件をクリアしていく。最後に、迎えに来たヘリで脱出すれば生還となる。
これだけならごく普通のミリタリーFPSと変わらない。しかし、本作には「ヤツ」がいる。そう、プレデター陣営のプレイヤーがジャングルのどこかから息を潜め、こちらを狩ろうと様子をうかがっているはずだ。
映画と同様に、プレデターには基本的な能力として、透明化と赤外線スコープが与えられている。そして、人間を遙かに超える身体能力と強力な武器があり、1対1だとまず勝負にならないぐらい力に開きがある。ただ、本作は他の非対称対戦とは違い、人間側の攻撃が割と普通にプレデター側に通用する。
姿が見えていて、ファイヤチームが散開していなければ、一斉射撃で蜂の巣にするだけで案外簡単にプレデターを倒せる。また、映画と同じように、泥を身体に塗って赤外線スコープに映らないようにもできる。
さらに、プレデター側を1度でもプレイすればわかることだが、プレデターは独特の吐息を不規則に漏らしているため、近くに居れば音で接近を把握できてしまう。そのため、無力なまま一方的に狩られる状況は案外発生しにくい。
しかし、もし倒れたプレイヤーを蘇生できなければ1人、また1人と人数を減らされ、映画さながらに狩られていくことになる。これを防ぐためには可能な限りお互いをカバーできる距離を保つこと、つまり密集陣形が基本の戦略になる。
それがわかってくれば、ゲームは基本的にファイアチーム有利に展開し、相手が未熟なプレデターなら逆に狩ることもそれほど難しくなくなる。
首尾良くプレデターを倒すことができると、ファイアチームのミッションは新しい展開を迎える。プレデターの死体自体が戦利品扱いとなり、これを奪うためにゲリラが波状攻撃を仕掛けてくる。脱出ヘリの到着までプレデターの死体を守り通し、無事生還することがファイアチームの新たな任務となり、異なる様相のゲーム展開を楽しめる。
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