映像から設備の異常を検知する監視AI「DeepFire」ベータ版ローンチ
エネルギー業界、廃棄物処理業界などへ試験提供を開始
AI・ディープラーニング技術のコンサルティングと開発を手掛けるRidge-i(リッジアイ)は、映像から取得した時系列データを活用し異常を検知する映像監視AI「DeepFire」(ディープファイヤー)を開発し、3月25日よりベータ版の提供を開始。また、ベータ版の提供に際し、SOMPOリスクマネジメントと普及と活用の促進において協業し、エネルギー業界、廃棄物処理業界、製造業界等への試験提供を開始したと5月12日に発表した。
同社は、AI・ディープラーニング領域において、アセスメント、開発、導入、顧客による自走化までを一元的に提供するテクノロジーカンパニー。これまでの実績としては、白黒映像の自動カラー化技術をNHKアートと共同で開発し、NHKの番組でも採用されている。また、ごみ質を認識するディープラーニングを荏原環境プラントと共同で開発し、船橋市が運営するごみ焼却施設で「ごみ識別AI搭載自動クレーン」として実稼働中。社会課題解決に向けた取り組みとしては、「土砂崩れ解析ディープラーニング」(JAXAより受託)で宇宙開発利用大賞 経済産業大臣賞を受賞した。
今回ベータ版としてローンチした映像監視AI DeepFireは、時系列解析の学習をする最適なディープラーニングのモデルと高度な画像処理技術を組み合わせることで、これまで定量的な判断が難しかった時系列で状態が複雑に遷移する、「燃焼」、「粘性」、「液体」等の状態を的確に解析、異常・異常予兆の検知の自動化を可能とするソリューション。
時系列データを処理する複数のネットワークを組み合わせることにより、高度な映像解析において高い推論精度を実現、また、正常シーンのデータと少量の異常シーンのデータを教師データとして学習させることで、少ない学習データ量で人間のエキスパートと同精度のシーン判定を可能とした。なお、本ソリューションは、技術特許および商標登録を4月に出願している。
燃焼シーンの監視にDeepFireを実装すると、小型火力発電所ボイラーやごみ焼却施設燃焼室内に設置したカメラから取得した映像をリアルタイムで監視することで、燃焼シーンの映像データから異常の予兆を検知し、異常発生前に制御・メンテナンスができ、操業の効率化や稼働率の向上を実現するという。
また、粘性シーンの監視については、食品製造工程においてベテランの職人が目視で確認していた発酵状態や練り状態を画像で判別することで、品質を安定化させるという。また、職人の技能継承を容易にするというメリットも挙げている。
液体処理状況の監視に導入した場合では、人が目視によって判断していた工場の汚水・排水処理設備や、水処理施設における水質判定を、AIで常時監視することにより、コスト削減や一定の品質での監視が可能になるという。
ベータ版については、SOMPOリスクマネジメントと普及と活用の促進において協業し、同社が提供する「生産設備の映像監視 AI化支援コンサルティング」の顧客となる、エネルギー業界、廃棄物処理業界、製造業界等をターゲットに試験的に導入を進めていくという。また、DeepFireの正式ローンチについては、2020年冬頃を予定しており、中長期的には、DeepFireのモデルおよび顧客が保有する各種データの利活用についても、SOMPOリスクマネジメントと協業を図る予定としている。