問われる各社のポストスマホ戦略
サービス・ウェアラブルでの収益を増やすアップル
COVID-19が今後どのようにスマホ市場に影響するのか。Q2(4~6月期)に劇的な改善が見込めるようには見えない。各国が様子を見ながら少しずつ外出禁止や自粛要請を緩和すると考えられる一方、第2波により元に戻る可能性だってある中で、ハイエンドがどんどん売れる状況ではないように見える。そういう点からも、アップルのiPhone SEはタイミングとして良かったと言える。
なお、ティム・クック氏は先の決算発表でiPhone SEのユーザーについて、低価格帯にシフトするのではなく「最新の技術を利用できる小さなフォームファクタのスマートフォンが欲しいと思っている人、あるいはAndroidから乗り換えたいと思っている人」とコメントしている。
サムスンは4月29日に発表した決算発表で、第1四半期の終わりにCOVID-19のインパクトが世界レベルで出始めているとしながらもマーケティングの効率化、Galaxy S20やZ Flipなどの製品ラインナップにより収益性を維持できたと報告している。モバイル事業の売り上げは4%マイナスだが、営業利益は微増している。
ポストスマートフォンという点で、現時点でアップルは上手にシフトしているように見える。決算報告書によると、Apple Watchなどのウェアラブル・ホーム・アクセサリがすでに全体の10%を占めるなど成長している上に、多くがサブスクリプション方式のサービス事業は23%まで至っている。
同様に、スマートフォン以外の端末とサービスをきちんと育んできたシャオミも、今期シェアという点で躍進したことも興味深い。
年初には、5Gでスマートフォン市場が再び回復するという予想もあったが、COVID-19という想定外の事態がどう影響するのか。現時点では、ポストスマートフォン時代の到来が早まったように見えるがどうだろうか。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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