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ASCII STARTUP 今週のイチオシ! 第82回

スマホで行政手続きを手軽に行える「Graffer スマート申請」

アフターコロナの役所窓口を変える自治体向けSaaSが拡大中

2020年05月08日 07時00分更新

文● 柳谷智宣 聞き手・編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影協力●グラファー

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 株式会社グラファーは、行政サービスのデジタル変革を目指し、インフラとなるサービス「Graffer スマート申請」を開発・運営するスタートアップだ。現状の使いにくい電子申請システムを、スマホから手軽に手続きできるようにして、1億3000万人に使われる行政インフラになることを目指している。今回は「Graffer スマート申請」を作った経緯と今後の展望ついて、株式会社グラファー 代表取締役 石井大地氏に話を伺った。

株式会社グラファー 代表取締役 石井大地氏

行政サービスを簡単に利用できるプロダクトを手がける

 グラファーは、使いにくいアナログな行政サービスをオンラインで手軽にできるようにする、というミッションを掲げて2017年に創業。2018年に住民票や戸籍謄本、転出届と言った個人用の証明書請求ができる「Graffer フォーム」をリリースし、2019年にはオンラインで印鑑証明書や登記簿謄本を取得する「Graffer 法人証明書請求」を公開。そして2020年に満を持して「Graffer スマート申請」をリリースした。

Graffer スマート申請

 

 グラファーのプロダクトは、個人や事業者そして行政側の手続き作業を効率化することに注力している。PCはもちろん、スマホで操作できるようにして、利用の際のハードルを下げているのが特徴だ。従来は、役所に直接行って、所定の書類に必要事項を書き込んで、窓口に提出していた手間が、手軽にスマホで完結するようになる。

 人が密集しないように気をつけなければいけない昨今のコロナウィルスの影響下、時流に適したプロダクトと言える。

 「行政の電子申請サービスはすでにあるが、一般の皆さんはほとんど使ったことがないのでは」と石井氏。

 その理由は、既存の電子申請サービスがとても使いにくいためだという。たとえば既存サービスはPC前提のレイアウトになっており、マイナンバーカードを読み込むにはICカードリーダーを購入してセットアップする必要もある。グラファーは、そのような手続きを簡単に行なえるためのサービスを作っている。

Graffer 法人証明書請求

 2019年2月にリリースした「Graffer 法人証明書請求」は、登記事項証明書や印鑑証明書をオンラインで請求できるサービスで、今一番使われているという。コロナウィルスの影響で融資を受ける企業が増え、書類の取り寄せニーズが高まっているためだ。こちらは手数料でのビジネスとなるが、売り上げも順調に伸びている。

 

 そして、2020年4月7日に「Graffer スマート申請」を正式リリースした。こちらは2019年8月に大阪府四條畷市で実証実験を行なったサービスの正式版となる。住民票の交付請求をオンラインで受け付け、クレジットカードで手数料を支払い、住民票を郵送してもらう仕組みだ。

 デモ動画では住民票の取得手続きを見せているが、どんな手続きでも使えるサービスになっている。ウェブから申請するのでアプリのインストールは不要。本人確認が必要な手続きに関してはマイナンバーを利用することも可能だが、その場合は電子署名用のアプリが必要になる。

 現在「Graffer スマート申請」は、自治体からの申し込みを受け付けているフェーズとなっている。なお、マイナンバーカードの国内での取得率は現時点で約2割程度。そもそもの使い勝手が悪かったこともあるが、このようなメリットが見えてくると、取得の意味も変わってくるのではないだろうか。

自治体にシステムを導入するには法律・条例の壁がある

 順調に自治体向けのサービスをリリースしたように見えるが、こちらもそう簡単な話ではない。便利なサービスだからといって、国や自治体に導入するのは一筋縄ではいかないのだ。

 「『Graffer 法人証明書請求』を作ってから、国や自治体の人と会う機会が増えた。情報交換をする中で、自治体にシステムを導入できそうだということがわかり、2018年11月、鎌倉市に『手続きガイド』という製品を入れた」(石井氏)

 自治体にシステムを導入してもらう際は、法律や条例といった制度を理解する必要がある。便利なサービスを作っても、制度にマッチしていないと導入できないからだ。そのため、グラファーでは早い段階から大手法律事務所と契約。徹底的に法令を調べ、自治体と情報交換しながら、製品を一緒に作っていった。

 もちろん、実際に自治体に導入する際は、公正なプロセスを経る必要があるため、入札やプロポーザルに応札することになる。競合となる大企業の存在などはあるが、それでも石井氏はサービスに対する自信を見せる。

 石井氏によれば、自治体のシステムを開発する際は、2つのポイントがある。まずは、ネットワーク。行政の業務をする端末はインターネットに直接つながっておらず、LGWAN(Local Government Wide Area Network)という総合行政ネットワークに接続している。そこにつなぐためのセキュリティー設計が求められる。

 もうひとつが、デジタルでの本人確認方法だ。ちょっとした申請であれば、IDとパスワードでのログインでもいいが、プライベートな情報の証明書を取ったり、給付を受ける場合には厳密な本人確認が必要になる。そこで、総務省が出しているガイドラインに準拠するように、マイナンバーカードで電子署名できるスキームをグラファーでは構築した。

 現在は、あくまで手続きを効率化するという点にサービスを絞っているが、将来的には行政のバックエンド業務処理などを効率化することも考えているそうだ。個人情報保護の兼ね合いもあるが、入力する情報を使い回すことで、記載項目を減らすことも可能になるという。

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