●コモディティ商品に変化球
さて、ASCII.jp読者の皆さんの多くは、すでにAnkerをご存知なのではないでしょうか。あるいはAnkerと意識していなくても、黒もしくは白いバッテリーが手元にある、ポケモンボール型の充電器を持っている、という方もおられると思います。
Ankerは2011年から、特にチャージング領域、つまり充電器とバッテリー、ケーブル類に集中してきた企業です。ご存知の通り、こうした製品はコモディティと呼ばれており、きちんと動けば良くて、安ければ安いだけ喜ばれ、ブランドなんて気にしない類のものです。
いわゆる「レッドオーシャン」とも言われるこのカテゴリの特徴を理解した上でAnkerは参入しましたが、それでもAnkerという名前が認知され、ブランドとして支持されるようになったこととに矛盾を感じるのではないでしょうか。
実はそこに、Ankerの目の付けどころがありました。つまり、コモディティ品でブランディングに成功している企業がなかったため、だったらAnkerがそのポジションを最初に取ろうと動いた結果でした。
同時に、コモディティ商品に対して、顧客満足度を徹底的に追求する企業もまた見つけることは難しかったのが実際です。そもそも、コモディティ商品を製造するメーカーにとって、「顧客」は規模と販売力が大きな小売チェーンであり、それを買う顧客には届きませんでした。
AnkerはもともとAmazonに集中してスタートしていますので、顧客と直接つながることが当たり前。他のコモディティ商品のメーカーにできなかった、実際のユーザーの顧客満足度を、Amazonを通じて具に見ることができた点も、Ankerを特異な存在にしている証拠でしょう。
この連載の記事
-
第314回
Apple
アップル「iPhone SE(第3世代)」隠れた最大のイノベーション -
第313回
自動車
「10年後にはみんなEVになるんだから」と人は言うけれど -
第312回
自動車
スマホから自動車を買う テスラのユーザー体験 -
第311回
自動車
Tesla Model 3をポチるまで 決め手は航続距離と乗り心地 -
第310回
自動車
テスラを買ったワケ 最大の動機は「リスク回避」 -
第309回
ビジネス
Twitterジャック・ドーシーCEO退任 理由は「創業期を脱するため」 -
第308回
トピックス
忙しすぎてカオスな予定を量子AIに調整してもらいたい -
第307回
Apple
なぜiPodは成功したのか 20年経った今あらためて考える -
第306回
トピックス
大学オンライン授業、教室との「ハイブリッド化」は複雑怪奇 -
第305回
トピックス
トランプ大統領が巨大ITに締め出された事態の重み -
第304回
自動車
アップルは本当に電気自動車を作るのか - この連載の一覧へ