分社化したAgilentは
まずまずの業績で推移
Agilentの2000年までの売上/損益と、4つの部門のそれぞれの売上をまとめたのが下表である。1997/1998年はHP時代のものから、Agilentが継承した部門のみを抜き出した数字となっている。
Agilentの業績(単位:ドル) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
年度 | 売上 | 営業利益 | 純利益 | 部門別売上 | |||
Test& Measurement |
Semiconductor Products |
Healthcare solutions |
Chemical analysis |
||||
1997年 | 77億8500万 | 8億7000万 | 5億4300万 | 42億300万 | 14億7900万 | 12億800万 | 8億9500万 |
1998年 | 79億5200万 | 4億4200万 | 2億5700万 | 41億 | 15億7400万 | 13億4000万 | 9億3800万 |
1999年 | 83億3100万 | 7億4100万 | 5億1200万 | 40億8200万 | 17億2200万 | 15億100万 | 10億2600万 |
2000年 | 107億7300万 | 10億5300万 | 7億5700万 | 61億800万 | 22億1300万 | 14億1200万 | 10億4000万 |
一番大きな売上を挙げているのがTest and measurementであるが、一番少ないChemical analysisですら年間10億ドルもの売上を立てており、ややTest and measurement偏重という感じはあるもの、おおむねバランスが取れた構造になっている。
そのAgilentであるが、2001年にさっそく事業の入れ替えが発生する。2000年11月にHealthcare solutionsの部門をまるごと、Philips Electronicsに売却する契約が成立、2011年8月に売却が完了した。
売却金額は総額で17億ドルほど。14億ドルを稼いでいた部門にしては安い、という気もしなくはないが、同部門の営業利益は1999年が3億1900万ドル、2000年が1億2900万ドルほど。純利益ではそれぞれ2億600万ドル、8500万ドルと低迷しており、このあたりが売却の理由かもしれない。
その一方で、1月5日にはOSI(Objective System INtegrators, Inc.)を7億1600万ドルで買収している。こちらは通信サービス向けの次世代ソフトウェアを手掛けていた会社で、これはTest and measurements部門に組み込まれることになった。
ちなみに2000年からアジレント・テクノロジー・ジャパンの株を横河電機から買収している。
※お詫びと訂正:株の買収に関する記述に誤りがありました。記事を訂正してお詫びします。(2020年4月8日)
ITバブルの崩壊で赤字転落
2001~2002年の財務状況は下表の通り。2001年で言えば、売上が大きく減ったのはHealthscare solutionsの売上がそのまま減ったことによる。
Agilentの業績(単位:ドル) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
年度 | 売上 | 営業利益 | 純利益 | 部門別売上 | |||
Test& Measurement |
Semiconductor Products |
Chemical analysis |
|||||
2001年 | 83億9600万 | -7億7800万 | 1億7400万 | 54億3200万 | 18億5000万 | 11億1400万 | |
2002年 | 60億1000万 | -16億700万 | -10億3200万 | 33億1800万 | 15億5900万 | 11億3300万 |
ただOSIの買収にともない、買収費用やのれん代償却の関係で営業利益では赤字に落ち込んでいるが、Healthscare solutionsの売却益のお陰で純利益では黒字になっている。しかし、前述の横河電機保有の株の買収その他もあり、純利益の総額そのものは結構落ち込んでいる。
そして、2001年後半から発生したITバブル崩壊の影響は2002年の数字に思いっきり影響を与えることになった。なにせ稼ぎ頭だったTest and measurementでは20億ドルもの減収になっているのは、企業が設備投資を大幅に控えたためである。
同様に半導体の売れ行きも鈍ったことで、Semiconductor productsも3億ドルあまりの減収であり、それは赤字転落も無理ないところである。
ちなみに2002年に、Chemical analysis部門はLife Sciences and Chemical Analysis部門に改称されている。実態としてはなにも変わらないのだが、同部門の売上の40%あまりがLife Science関連ということで、これに合わせたものらしい。
なお、Life Scienceの中では遺伝子解析とタンパク質解析、それと医薬品の開発/製造をフォーカスエリアとしている。
明けて2003年だが、Test and MeasurementからAutomated Test部門が切り出されて独立することになった。この時点でTest and Measurementは1万1900人ほど、一方Automated testは2300人ほどの規模となっている。
名前の通りこの部門は自動テストで、具体的に言えば例えばプリント基板製造工程における自動品質検査ソリューションや、さらには半導体の後工程における検査装置などもこの部門のターゲットとなった。
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