「Ecoモード」でRyzen 9 3950XをTDP65W運用したらどうなる?
CPUの性能は消費電力や発熱量に跳ね返ってくる。最新のプロセスルールを採用した第3世代Ryzenであっても、そのルールからは逃れることはできない。
強力なCPUクーラーが使える環境であればそんな事を気にする必要はないが、物理的制約で強力なCPUクーラーが使えない場合は悩ましいところ。具体的には小型PCケースでもコア数の多いRyzenを使いたい、といった場合だ。少々性能が落ちてもいいからメニーコアCPUを小型PCケースに組み込みたいとき、CPUをいい塩梅で動かすいい手はないものだろうか?
その答えとなりそうなのがRyzen 3000シリーズ(G除く)が備える「Ecoモード」だ。これを利用することで、Ryzenの消費電力と発熱を抑えることが可能となる。
そこで今回はRyzen 9 3950Xを筆頭に代表的なRyzenを使い、Ecoモードで性能がどう変化するかを検証してみた。
Ecoモードを有効にする
Ecoモードの存在はRyzen 9 3950Xのリリースに合わせて配布されたRyzen Master(バージョン2.1〜)で知られるようになった。Ecoモードを有効にすることで、Ryzen 3000シリーズのTDPが大きく下がる。定格TDPが95Wより上の場合Ecoモードで65Wに、65W以下の場合は45Wで動作するよう設定される。
つまりEcoモードはダウンクロックで消費電力を減らすのではなく、電力制限をかけることで、その枠内におさまる限りはクロックを高くすることを許可し、枠内に収まらないような負荷ではクロックを抑制する仕組みとなる。
EcoモードはRyzen Masterを使うと以前書いたが、実際の所はマザーによって異なる、というのが正しいようだ。Ryzen MasterからEcoモードを有効にするとBIOSのEcoモード設定が有効になるというのが基本だが、Ryzen Masterで有効にしてもBIOSに反映されない(=定格運用)場合や、そもそもEcoモードをサポートしない第3世代Ryzen Threadripper環境およびZen/Zen+ベースのRyzenでは、Ecoモードスイッチ自体が出現しない。
つまりRyzenの3000番台であっても、Zen+ベースのRyzen G系の場合Ecoモードは非対応となる。ちなみに今回の検証環境(後述)ではRyzen Masterの制御が上手くいかなかったため、BIOS側でEcoモードを直接変更して試している。
この連載の記事
-
第454回
デジタル
性能が最大50%引き上げられたSamsung製SSD「990 EVO Plus」は良コスパSSDの新星だ -
第453回
デジタル
性能も上がったが消費電力も増えた「Ryzen 7 9800X3D」最速レビュー、AI推論の処理速度は7800X3Dの約2倍! -
第452回
自作PC
Core Ultra 200Sシリーズのゲーム性能は?Core Ultra 5/7/9を10タイトルで徹底検証 -
第451回
自作PC
Core Ultra 9 285K/Core Ultra 7 265K/Core Ultra 5 245K速報レビュー!第14世代&Ryzen 9000との比較で実力を見る -
第450回
デジタル
AGESA 1.2.0.2でRyzen 9 9950Xのパフォーマンスは改善するか? -
第449回
デジタル
Ryzen 9000シリーズの性能にWindows 11の分岐予測改善コードはどう影響するか? -
第448回
デジタル
TDP 105W動作にするとRyzen 7 9700X/Ryzen 5 9600Xはどの程度化ける? レッドゾーン寸前を攻める絶妙な設定だが、ゲームでの効果は期待薄 -
第447回
デジタル
Zen 5とTDP増でゲーム性能は向上したか?「Ryzen 9 9950X」「Ryzen 9 9900X」の実力チェック -
第446回
デジタル
「Ryzen 9 9950X」「Ryzen 9 9900X」は“約束された”最強のCPUになれたのか? ベンチマークで見えた利点と欠点 -
第445回
デジタル
「Ryzen 7 9700X」「Ryzen 5 9600X」のゲーミング性能はゲームキングRyzen 7 7800X3Dに勝てる? -
第444回
sponsored
AI時代だからこそNVMe SSDで強化!! 新登場「WD BLUE SN5000」速攻レビュー - この連載の一覧へ