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小さな会社の兼任IT担当者、ネットギア「Insight」で社内ネット環境を整える 第5回

LANケーブルが引き込めないフロアもInsight対応「WAC540」でWi-Fi対応にする

“メッシュWi-Fi”対応APで社内のネット接続エリアを広げよう

2020年03月11日 08時00分更新

文● 谷崎朋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

提供: ネットギア

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(※このストーリーはフィクションです。ネットギア以外の実在する人物・組織には一切関係ありません)

LANケーブルを引き込めないフロアに無線LANを届かせる には?

 ケンタロウが営業部商品開発部に設置した無線LANアクセスポイントの評判は上々だった。ネット環境が改善されたおかげで日々の業務がスムーズになり、社員のイライラは減っているようだ。ノートPCを小脇に抱えた社員が誰かのデスク周りに集まって、PCの画面を見せ合いながら情報交換している様子もよく見かける。部署内のコミュニケーションも活発になったようだ。

 「ネット環境がちょっと良くなるだけで、気持ちよく仕事できるようになるんだなあ」。ケンタロウ自身もそう実感している。“功労者”であるケンタロウに声をかけてくれる人も増え、ケンタロウはようやく新入社員の立場から脱皮できたような気がしてうれしかった。

 そんなある日、総務部のイシカワがケンタロウのもとを訪れた。ゴチソー弁当の本社2階には社員用の休憩室がある。元々は物置部屋だったのだが、近所に倉庫を借りて荷物が運び出されたので、今は余ったテーブルや椅子を配置した簡易休憩スペースとして使われている。今度、そこをカフェ風に改装し、コーヒーマシンやおやつボックスも置いて、リフレッシュだけでなく軽い打ち合わせもできる場所にするのだという。「働き方改革」と福利厚生の名目で、少し予算が使えるらしい。

 「――それでね、このリフレッシュスペースでもネットがつながるようにしたいんだ。ただ、ビルの管理会社に聞いてみたら建物の構造上、ほかのフロアからLANケーブルを引くことはできないって言われて……。きっとケンタロウ君なら、何かいいアイディアがあるだろうと思って」

 あのう、僕、ITの専門家じゃないんですが……という言葉を飲み込み、ケンタロウは「とりあえず調べてみます」とだけ答えた。自席に戻り、すぐにSIerに勤めている幼なじみのリョースケにLINEする。10分ほど経ち、ようやくリョースケからの返信が届いた。

 「あーそれなら、最近はやりのメッシュWi-Fiがいいんじゃない? メッシュWi-Fi対応の製品を探せばいいよ」。返信はたったこれだけだ。きっとリョースケも忙しいのだろうけど……はて、“メッシュWi-Fi”って何だ?

メッシュWi-Fiとは何か、どういうケースで便利なのか

 「メッシュWi-Fi」は、アクセスポイント同士が“編目(=メッシュ)”のように無線接続し、それぞれが無線LANの中継器としても働くことで、Wi-Fiエリアを拡大させる技術だ。

 従来の無線LANアクセスポイントはすべて有線で(LANケーブルで)接続しなければならなかったが、メッシュWi-Fi対応の製品が出てきたことによって設置の自由度が大幅に上がった。たとえば、ゴチソー弁当のようにケーブルが敷設できない部屋にアクセスポイントを設置したいケース、隣接する建物(距離にもよるが)に無線LANエリアを拡張したいケースなどで、メッシュWi-Fi製品は役立つ。

メッシュWi-Fiのイメージ

 ネットギアでは家庭向けの「Orbi」シリーズだけでなく、企業向け無線LAN製品でもメッシュWi-Fi対応のアクセスポイント「WAC540」をリリースしている。定価は5万5000円だが、公式オンラインショップでは3万5750円で販売されている(いずれも税込、執筆時点の価格)。

 2019年10月に国内発売されたWAC540は、802.11ac対応の法人向けアクセスポイントだ。PCやスマートフォンといった無線LANデバイスとは、2.4GHz帯(最大400Mbps)もしくは5GHz帯(最大867Mbps)で接続する。マルチユーザーMIMOに対応しており、最大600デバイスまで同時接続が可能だ。さらに「NETGEAR Insight」にも対応しているので、これまで紹介してきた「WAC505」と同じように、スマホアプリから簡単に設定や運用監視ができる。

 そして、忘れてはならないのがメッシュWi-Fi対応だ。ネットギアではメッシュWi-Fiに「インスタントメッシュ」という独自技術を用いており、対応製品であれば簡単にメッシュWi-Fiが構成できる。もちろんWAC540も対応製品のひとつであり、ほかのWAC540(または対応製品)とメッシュWi-Fiを構成して無線LANエリアを拡張できる。

 WAC540は、3つの無線回路を内蔵し、3つの周波数帯(2.4GHz帯×1、5GHz帯×2)で同時に通信できる「トライバンド方式」のアクセスポイントだ。WAC540の場合は、無線LANデバイスの接続に3つの周波数帯すべてを使うと同時に、そのうちの1つ(5GHz帯)をアクセスポイント間通信にも共用する仕組みだ。アクセスポイント間の無線通信経路(「バックホール」と呼ぶ)は、最大1733Mbps(1.73Gbps)と広帯域である。

 メッシュWi-Fiを構築するためには、インスタントメッシュ対応のアクセスポイントが2台以上必要だ。

 前回までに、ゴチソー弁当のオフィスにはWAC505が2台導入されている。今回はそのうち営業部に設置された1台をWAC540に置き換え、リフレッシュルームに設置するもう1台のWAC540とインスタントメッシュで接続することにしよう。WAC540×2台の購入なので少しコストはかかるが、今後のネットワーク拡張が容易になること、Insight対応でまとめて簡単に運用管理できることなどのメリットを考えると、それだけの投資効果は期待できるだろう。

ゴチソー弁当のネットワーク図(WAC540を2台導入したもの)

メッシュWi-Fi対応アクセスポイント「WAC540」のセットアップ

 それでは実際にWAC540をセットアップしてみよう。製品の箱を空けると、WAC540本体のほか、壁掛けキットやインストールガイド、ユーザー登録のお知らせが同梱されている。PoE+給電に対応しており、電源アダプターは別売りだ。

WAC540本体と同梱物(壁掛けキットなど)

 これまで紹介してきたWAC505と比べると、本体サイズはやや大きく、重く感じる(24.2×24.2×4cm、重量752g)。とはいえ、なめらかな形と柔らかな白色で圧迫感もなく、オフィスのどこに設置してもなじみやすいのはWAC505と変わらない。

WAC540(上)とWAC505(下)のサイズ比較

 なお、Insightの無料ライセンスで管理できるネットワークデバイスは「2台まで」だ。今回は、これまでのWAC505×1台に加えてWAC540×2台(つまり3台)を管理することになる。そのため、アプリで3台目を登録しようとすると「デバイスクレジットが必要です」と表示される。Basicプランの場合、3台目からは1台あたり年額560円がかかる。

 この有料ライセンスについては次回あらためて紹介することにして、今回はひとまず30日間無料体験版(プレミアムプラン)を使ってWAC540の登録を進めた。

Insightアプリで有料ライセンス(デバイスクレジット)が必要な場合に表示される画面

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