私物端末でも安全な“業務用の隔離環境”、VPN/VDIなしで導入可「BlackBerry Digital Workplace」
BlackBerry、導入がシンプルなリモートワークソリューション発表
2020年02月25日 11時00分更新
カナダのBlackBerryは2020年2月5日、PCやスマートフォンなど、デバイスを問わず堅牢なリモートワーク環境をシンプルに実現する新ソリューション「BlackBerry Digital Workplace」を発表した。同社のセキュアブラウザと複数ソリューションを組み合わせて提供することで、従来型のVPNやVDIを利用することなく、社内のアプリケーションやファイルサーバー、SaaS、リモートデスクトップなど、既存の業務環境へのセキュアなリモートアクセスを提供する。
BlackBerry Digital Workplaceは、リモートワーク環境を実現するターンキーソリューション。業務用の隔離環境として機能するセキュアブラウザのBlackBerry Access、ブラウザ上でWindows/LinuxアプリケーションやRDPデスクトップへのアクセスを可能にするAwingu、Microsoft Office文書のオフライン編集ツールである「BlackBerry Edit」、AI技術を採用したエンドポイントセキュリティの「Cylance PROTECT」により構成される。VPNやVDIの新規導入や、既存の業務システム環境の変更なしで導入できる点がポイント。
まずBlackBerry Accessは、Windows 10/macOS/Android/iOSのエンドポイント上で“業務専用のセキュアな隔離環境”を提供するブラウザ。起動するだけで自動的に社内ネットワークと暗号化経路で接続し、VPNなしで社内の各種業務システムやファイルサーバーへのセキュアなアクセスを可能にする。また情報漏洩を防ぐため、ブラウザ外へのファイルダウンロードやデータのコピー&ペースト、ブラウザ画面のスクリーンショットなどはデフォルト設定で禁止されている。
またBlackBerry Accessは、電子メール、カレンダー、連絡先(PIM)機能も内蔵している。これらはオフライン環境でも利用できるよう設計されており、たとえば飛行機内などでもメールや添付ファイルの閲覧、編集といった業務作業が可能だ。ダウンロードしたメール添付ファイルも含め、これらのデータはブラウザ内の隔離環境に暗号化されて保持される。同様に、オフラインのOffice文書はBlackBerry Editを使って閲覧/編集できる。
アプリやデスクトップ、ファイルなどへのリモートアクセスは、BlackBerryの技術パートナーであるAwinguのソリューションが提供される。Awinguは、仮想化したWindows/LinuxアプリケーションやRDPリモートデスクトップなどに対し、HTML5ブラウザ経由でアクセス/操作可能にする製品。企業ネットワーク内(DMZ内)にAwinguの仮想アプライアンスを配置することで利用可能になる。
BlackBerry Digital Workplaceはこうした構成で提供されるため、従業員の私物端末を利用するBYODであっても、BlackBerry Accessをインストールするだけで簡単にセキュアなリモートワーク環境が実現する。またCylance PROTECTのライセンスも含まれるため、BYOD端末そのもののセキュリティも強化できる。
同ソリューションの想定利用例として、BlackBerryでは在宅勤務/テレワークのほか、出張時などの一時的なリモートアクセスなどを挙げている。BlackBerry Accessは管理者側からリモートでアクセス権限を剥奪する機能を備えているため、期間契約の請負業者によるシステムアクセスなどの用途にも適していると説明した。
BlackBerry Digital Workplaceの価格は販売パートナーにより異なる。BlackBerryではおおよその目安として、BlackBerry Accessが1ユーザー(最大5デバイスまで)あたり月額500~600円程度、またバンドルソリューション(Awingu、BlackBerry Edit、Cylance PROTECT)が1デバイスあたり月額1000円程度としている。