ASUSのIEEE802.11ax対応ミドルレンジモデルの実力
2万円切りのWi-Fi 6ルーター「RT-AX3000」、最大速度2402Mbpsの凄さを検証
2020年02月28日 11時00分更新
ファイルコピー時間でWi-Fi 5ルーターと比較
テストはまず親PC(デスクトップPC)から子PC(Wi-Fi 6搭載ノートPCまたはWi-Fi 6カード搭載デスクトップPC)へ4.2GBの4K動画ファイルをひとつ、もしくは合計容量2GBのフォルダー(中身は多数のJPEG画像)をコピーする時間を計測した。Windowsのファイル共有機能を使っているのでネットワークの純粋なスピードを計測するには向いていない手法ではあるが、実際にユーザーが体感できる性能差が出るかを調べてみたい。
なお、すべて5GHz帯のSSIDに接続した時の速度のみを計測するが、RT-AX3000は160Hz設定をオフにして1201Mbps接続になった時のパフォーマンスも計測してみた。さらに、デスクトップPCの場合は有線LAN(GbE)の性能も計測している。計測は5回行なった。
上のグラフは親PCからノートPC(Vivobook S15)へコピーした時の結果だ。今回準備したWi-Fi 5ルーターは準ハイエンドクラスのものだが、ノートPCに内蔵されているWi-Fiアンテナが2本なので、867Mbpsでの接続となる。同じアンテナが2本でもRT-AX3000とWi-Fi 6で接続すれば最大2402Mbpsまで帯域が増えるため、Wi-Fi 6がWi-Fi 5より速くなるのは自明である。
ただし、RT-AX3000のWi-Fi 6でも1201Mbpsで接続すると、2402Mbpsで接続した時よりも転送にムラができることがわかった。1201Mbpsと2402Mbpsでコピー時間がほぼ同時~微妙に短い時も観測されたが、これはファイル共有のコピー処理でオーバーヘッドが発生していることを示唆している。
次はPCE-AX58BTを組み込んだデスクトップPCへコピーした時の結果だ。まず、ギガビットLANの帯域は大ざっぱに最大1000Mbps、RT-AX3000の5GHz帯をフルスペックで使えば最大2402Mbpsとなる。ということは、今回の計測環境だとギガビットLANがボトルネックなり、ギガビットLANとWi-Fi 6の差は限りなくゼロになるはず。しかし、結果はギガビットLANのほうが全二重通信であることにも由来し、安定して高速だった。
そして、ここでもWi-Fi 6の1201Mbps通信時は2402Mbps時よりも速度が安定しないことがわかる。Wi-Fi 5を基準としてみた場合、Wi-Fi 6を使えば有線LANに(いくぶんか)近いフィーリングで使えると言ってよいだろう。
まとめ:2x2通信のWi-Fi 6ルーターは現実的なソリューション
以上でRT-AX3000のレビューは終了だ。RT-AX3000の通信速度は最大2402Mbpsと、Wi-Fi 6のハイエンド機の半分程度の性能だが、現実にWi-Fi 6搭載ノートPCと組み合わせることを考えると、通信速度の上限が低いというデメリットはほとんど感じられない。
これから続々と増えるWi-Fi 6対応ノートPCやスマホ/タブレットでも2x2通信が主力になるので、RT-AX3000はスペックに無駄のない、極めて現実的なソリューションになると言える。接続するデバイスが2x2通信なら、Wi-Fiルーター側が高性能であっても、それを活かしきれないことがファイルコピー時間の検証からわかったはずだ。
まだWi-Fi 6対応の製品を持っていないのでWi-Fi 6ルーターを今買うのは完全な無駄か? と言うとそうでもない。ルーターの中身も日々進歩しており、旧世代の製品よりも通信処理や電波の安定性、さらにはセキュリティー面などで旧世代のルーターを大きく上回る。
特に今使っているのがWi-Fi 5より前の世代(おおよそ5~6年前、IEEE802.11a/g/n世代)であれば、Wi-Fi 6対応機器がなくてもRT-AX3000に買い換えるメリットは十分あるだろう。ネットを使ったゲーム/サービスの快適さはついPCやスマホのスペックだけを考えてしまいがちだが、これを機にネットワーク機器(Wi-Fiルーター)も見直してみてはいかがだろうか。
提供:ASUS