全国高校eスポーツ選手権ベスト8の実力を持つeスポーツ部だが、部活動は意外にゆるめ!?
仙台育英高校eスポーツ部を見学、和気あいあいでもしっかり連係して練習する部活動風景がうらやましすぎた
2020年03月02日 11時00分更新
情報科学コースという土台があったから説得もスムーズ
今後は東北の高校のeスポーツ部に呼びかけ、スクリムの依頼も
さらに、村上先生は今後、部員たちのスキル向上のため、まずは東北地方のeスポーツ部のある高校の先生と連携し、部員同士の練習試合を実施していきたいのだそうだ。eスポーツのいいところとして1つ挙げられるのが、ほかのスポーツのように現地に赴く必要がないということ。時間さえ合わせることができれば、オンライン上で練習試合が可能なのだ。
まずは東北のeスポーツ部で連携して活性化していき、全体のスキルアップを図ることで、より強い部活にしていくのが目的。また部員の中には高校生の友人同士のDiscordのコミュニティーに入っており、一緒に練習することもあるとのこと。コミュニティーには第二回全国高校eスポーツ選手権のLoL部門で優勝したN高の「KDG N1」の生徒や、KDG N1にコーチとして指導しているプロの選手も入っているそうだ。遠い場所にいる高校生の猛者たちとオンライン上で切磋琢磨できるのも、いいなと感じた。
ちなみに、従来部活動の時間は1時間程度だったが、第二回全国高校eスポーツ選手権でベスト8と第1回と同じ成績だったのが悔しかったので、今は2時間に延長したとのこと。次回はさらに上位入賞を目標に、今後もがんばって練習すると意気込んだ。
プロ選手にならなくても、部活動での経験は活きる
見学させてもらって2時間ほどが経過し、18時を回るころ、村上先生の号令で部活動は終了。最後にゲーミングパソコンの電源を切り、円陣になって今後の予定などをミーティングしたのち、この日の部活動は終了した。部活のことだけでなく、定期テストの話などもあがり、高校生っぽいなと最後にまたノスタルジックな気分になった。
部活終了後に、村上先生にお話しを聞ける時間があった。まず、eスポーツ部をつくるにあたって、苦労した点などを聞いてみた。ちなみに、やはり校長先生や親御さんの説得などに大変苦労した高校もあると聞いたことがあるので、仙台育英もそうだったのかな? と思ったうえでの質問である。
しかし、村上先生によると、学校内での許可もeスポーツ部発足支援プログラムでゲーミングパソコンが借りられたことで結構スムーズだったとのこと。さらに、パソコンなども頻繁に利用する情報科学コースという土台があるからこそ、eスポーツに対して親御さんの理解度も高く、とくに説得に苦労することもなく協力的でいてくれるのだそうだ。
また、今後プロゲーマーになりたいと部員が相談してきた場合どうするのかと聞いてみた。村上先生は、プロゲーマーは狭き門なうえに稼ぐためにはかなりなゲームスキルや練習や知名度を上げるための努力が必要だったり、選手でいられる期間が短いといった課題点をかんがみて、プロになるための才能や、人気になるためのポテンシャルがある生徒が相談してきたのであれば、プロの道を進めるかもしれないとのこと。
しかし、ちょっとゲームがうまい人であれば、さすがに相当な努力と覚悟が必要なため、ゲームに関わる仕事であったり、面白い生徒であればストリーマーという道も提案するかもしれないと話した。しっかりと今のeスポーツやプロの課題を把握している先生が顧問をしているというのは、素晴らしいことだと思う。
今回部活動を見学してもらって、部員たちの仲の良さや、しっかりチームとしてコミュニケーションをとりながらゲームの練習をしている姿を見て、正直うらやましくなった。見学中には、部員の1人がLoLで上手い立ち回りを魅せて勝利し、立ち上がって喜ぶ姿も見られた。ただ強くなるだけでなく、eスポーツ部を通じてコミュニケーション能力を向上したり、単純に卒業後も一緒にゲームプレイできる友人を見つけられるというのは、本当にいいことだと思う。戦略性の高いゲームでしっかりと作戦を練り、それをチームで実施できる能力というのは、今後べつのことでも確実に役に立つことだと思っている。
今後は、仙台育英のように、ゲームを通じて将来にも役立つ才能を育てるeスポーツ部が全国でさらに増えることに期待している。また、高校生のゲームスキル向上のために、eスポーツ部同士によるスクリムも今後増えていけばいいなと思っている。スクリムに興味がある高校eスポーツ部の顧問の先生は、仙台育英のeスポーツ部に声をかけてみてはいかがだろうか。
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(提供:サードウェーブ)