横須賀が未来に!
次世代モビリティが大集結したイベント
2月7~8日にかけて横須賀リサーチパークで、「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ2020」が開催された。
横須賀リサーチパークは、通称「YRP」と呼ばれる電波・情報通信技術関連の研究開発拠点で、京浜急行「YRP野比」駅からバスで10分ほどの丘の上にある。ここに研究所を置くのは、日本電信電話、ドコモ、矢崎総業、富士通、KDDI総合研究所といった大手から、国立の情報通信研究機構という公的機関、さらには京都大学、東京大学、慶応大学、埼玉工業大学、早稲田大学などの教育機関、そしてベンチャーまで。産官学が肩を並べる研究都市となっているのだ。
その横須賀リサーチパークが中心となって、横須賀でのスマートモビリティを開発することで、新規ビジネスの創出と社会課題の解決、地域の活性化を目指すという取り組みが「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ」だ。2018年3月に推進協議会が発足し、2019年1月に第1回イベントとなる「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ2019」を開催。そして2020年2月に第2回のイベントが実施された。
今回のテーマは「未来に乗れる。未来が見える。」。第1回開催もそうであったように、今回も公道や屋内でのデモが数多く用意された。展示にとどまらず、リアルに動くデモにより、最新技術がより身近に感じられるというのが、このイベントの特徴だ。
特に注目だったのが、公道を使っての自動運転バスのデモだ。ドコモ、群馬大学、京浜急行がタッグを組んだ自動運転バスの公道デモは、同乗できるだけでなく、イベント会場の屋内からもリアルタイムで走行中の車両の映像(車外と車内)が楽しめた。ただし、自動で走る区間は一部だけであり、しかもドライバーが乗っているため、実質は自動運転レベル2相当となる。
しかし、今回の自動運転バスの技術的注目ポイントは自動運転のレベルではない。GNSS独自基準局を併用することで、GPSでの自車位置測定の精度を飛躍的に高めたことだ。同じ公道での自動運転バスは埼玉工業大学も実施しており、こちらはジョイスティック運転システムを実装したのがトピックとなる。
屋外デモで人気を集めていたのは、トヨタの一人乗り次世代パーソナルモビリティだった。ちょうど通路にあたる場所にデモ・スペースがあったため、常に体験走行が行なわれるという状況。体験者による笑い声が絶えることのないデモだった。
また、屋外展示には交差点のカーブミラーにカメラと通信機器を備えた「スマート電子カーブミラー」も。これは走行する車両や自律型モビリティとカーブミラーなどのインフラが情報をやり取りすることで、事故の低減などに大きく貢献できるものだ。
それ以外にもドコモは移動型手術室と呼べる「Mobile SCOT(スマート治療室)」や5G通信を利用する「ハイパードクターカー」という車両も展示された。最新の通信技術を利用する医療の可能性を探る技術的な試みだ。