ハミィの見守りロボット「はみっくベア」筆者撮影
1月28日、子どもの安全を考える「子ども安全フォーラム2020」が開催。子どもの見守りロボットを開発しているハミィが主催し、防犯ジャーナリストの梅本正行さん、5歳児の親でありインスタグラマーのHikaruさんらが、主に小学生以上の子どもの防犯対策について話しあいました。2歳児の保護者として印象に残ったのは、結局大切なのは私ら大人の防犯意識なのではということでした。
●キッズケータイはすぐ飽きる
フォーラムでは、初めにハミィ代表の樋口敦士社長が子どもの安全についての調査結果を紹介。85%以上の親が子どもの犯罪防止を意識していて、防犯ツールとしては、防犯ブザーや、防犯ブザー付きキッズケータイなどが主流とのこと。しかしキッズケータイはせっかく持たせてもすぐに子どもが飽きてしまい、充電さえしなくなってしまうことが。同社ではこの問題を解決するために、子ども向け防犯コミュニケーション系の新製品を開発する計画だと話しました。
●便利な公園は犯罪者にも有利
防犯ジャーナリスト梅本正行さんは、実際に子どもが犯罪者にねらわれた公園について写真を見せながら解説。親が子の様子を見やすいよう遊具に向いて設置されているベンチは、実は歩道側から座っている人の顔が見えないことが多く、犯罪者にとっても使いやすい設計になっていると指摘。同じく出入口がたくさんある公園は、便利な反面、犯罪者にとっては逃げやすい設計だと指摘しました。
●防犯ブザーは鳴らしたら投げる
その上で、子どもに護身のために防犯ブザーを持たせるのはいいけれど、持たせれば安心ではないということも頭に置いてほしいと指摘。たとえ子どもが防犯ブザーを鳴らしても、犯罪者に破壊されたり、ブザーを止められたら音がやんでしまうので、防犯ブザーは離れたところに投げるのがいいんだと話していました。ランドセルに防犯ブザーをつけている場合、一度はずしてから投げるのは難しそうなので、ブザーを鳴らしてランドセルを放り出すのがよさそうです。
●防犯ブザー「学校で鳴らすのが大事」
梅本さんは「入学したばかりの子ども達が間違えて防犯ブザーを鳴らしてしまうのは春の風物詩だが、いざというときに鳴らしづらいと聞く。鳴らしていいんだと子どもにどう伝えればいいのか」という質問に「学校でもっと鳴らしてみることが大事」だと答えていました。不審者に対しても大声を出してと言うけれど、普段から親子でいるとき大声を出すこともないでしょうと。
●「困った子どもに声かけない」3割弱
一方、ハミィの調査では、「外出先で困った様子の知らない子どもを見かけた場合、自ら声をかけることができますか」という質問に対し、3割弱が「いいえ」と回答。理由は不審者と誤認されたくないからというもので、インスタグラマーのHikaruさんは、面倒ごとに巻き込まれたくないのはわかると言いつつ、子を持つ親としては残念だと話していました。面倒ごとの話も含めて同感でした。
●子どもの立場を大切にしたい
一時間ほど話を聞いて、いちばん大事なのは大人の意識なのかなあと思いました。声かけの話にしても確かに不審者扱いを怖れる気持ちはわかるんですよね。不審者が出たら大声を出すということについても、保護者として「でかい声が出せるのはわかったからちょっと音量を絞りなされ」ということはあっても、「私を不審者だと思ってでかい声を出しなされ」と言ったことはありません。
梅本さんは予知防犯には犯罪者の目線を持つことが大事だと話していましたが、自分が子どもの立場だったらどうかということを頭のすみに置いておいて、自分で考えることも大切なのかもなあ、と思いました。「子どもを守る」といえるほど強くはなくても、いざというとき子どものことを優先して考えられるくらいの人間ではありたいものです。そのためにも色々知っておかなくては。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。2歳児くんの保護者です。Facebookでおたより募集中。
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