このページの本文へ

電子証明書の一括販売と自動化で簡素化、“EDIの2024年問題”で早急なインターネットEDI移行訴え

キヤノンITS「EDI-Master」シリーズでJX手順クライアント新版

2020年01月24日 10時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は2020年1月24日、JX手順対応のEDIクライアントソフトウェアの最新バージョン「EDI-Master B2B for JX-Client(Ver2.2)」を発売した。新たにSSL/TLS電子証明書の自動取得/更新機能を追加して導入/運用を簡素化し、中小企業における2024年1月のISDN提供終了までの「インターネットEDI移行」を支援する狙い。

「EDI-Master B2B for JX-Client」の製品概要。JX手順を使ってEDIサーバーと通信を行うクライアントソフト

 EDI-Master B2B for JX-Clientは、流通業のインターネットEDI(流通BMS)を中心に利用されている、クライアント-サーバー型の通信プロトコル(JX手順)に対応したクライアントソフト。JX手順対応サーバーとの通信機能のほか、データフォーマットの変換機能(CSV、固定長ファイル→XML)、電子証明書の管理機能などを備え、主に中小のメーカーや卸売事業者などで導入されている。

 今回の新バージョンではまず、インターネットEDIで必須の電子証明書を組み合わせて販売し、さらに証明書を自動取得/更新する機能が追加されている。具体的にはインテックが発行する電子証明書「EINS/PKI for EDI」をキヤノンITSから販売し、その取得申請やダウンロード、クライアントソフトへの登録、更新といった作業を自動化するツールを提供する。これにより、新たにインターネットEDIを利用開始するユーザーの技術的障壁をなくす狙い。

インテックのEDI向けクライアント証明書を組み合わせて販売するほか、証明書の自動導入/更新ツールを提供する

 また、医薬/医療業界や金融業界(ZEDI)など、JX手順の利用が流通業以外のインターネットEDIにも拡大しつつあることから、他業界でも利用できるようにクライアント機能を拡充した。具体的には、流通BMSでは10MBとなっている伝送データの容量制限を撤廃したほか、通信中断機能の追加、マスタ構成変更などを行っている。

 EDI-Master B2B for JX-Clientの標準価格(税抜)は12万円、年間保守サービスパックは年額1万8000円。またインテックのクライアント証明書(3年間有効)は1万5000円。対応OSは、Windows 8.1/10とWindows Server 2012/2012 R2/2016/2019。

 流通業界を含め、企業間でEDIによるデータ交換を行ってきた業界では、2024年のISDN提供終了を前にインターネットEDI方式への全面的な移行が必要となっている。しかし、たとえば10年以上前(2007年)に標準が確立されている流通BMSでも業界内の導入率はまだ5割前後にとどまるなど、移行の動きはあらゆる業界で鈍いという。

 このままではISDN提供終了直前に移行案件が集中し、移行スケジュールが間に合わないケースも出かねないことから、キヤノンITSでは今後、EDIにおける「2024年問題」を強くアピールし、早急なインターネットEDI移行の取り組みを訴えていく方針としている。

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ