夢の技術! 自動運転の世界第19回

自動運転の基礎 その15

自動運転で手を組んだメルセデス・ベンツとBMWの目論見とは

文●鈴木ケンイチ 編集●ASCII編集部

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自動運転の市場導入を迅速化するため
ドイツの二大巨頭が手を組んだ!

 自動運転技術の開発において、その動向が注目されるのがメルセデス・ベンツとBMWだろう。どちらも、自動運転技術の開発を長年続けており、市販車への採用化も積極的に行なっている。BMWは2018年に日本において高速道路での渋滞時にハンズオフ(手放し運転)を可能にする先進運転支援を導入しているし、メルセデス・ベンツにおいても自動運転技術レベル2相当の先進運転支援システムは、幅広い車種にすでに導入されている。

 そのドイツの2大プレミアム・ブランドは、実のところ自動運転技術の開発では手を握っているのだ。2018年4月、2社は「自動運転の実現に向け長期にわたる開発協力の契約を締結」したことを発表している。自動運転のためのスケーラブル・プラットフォーム開発に向けた2社の共同プロジェクトが、長期的スパンで実施されるというのだ。運転支援システムの量産車への導入で先行してきた2社が力を合わせることで、さらなるアドバンテージが生まれる可能性が高いと言える。

 具体的な開発目標は、“個人向け乗用車に2024年導入予定のシステムに関して、市場導入を迅速化する”こと。そのシステムとは、自動運転技術レベル4までのもので、高速道路での自動運転、自動駐車システム、ドライバー・アシスタント・システムとなる。自動運転のスケーラブル・プラットフォームということは、基本ができれば、さまざまな車種に流用できることを意味する。同じ技術を使いながらも、製品としてはメルセデス・ベンツとBMWから、別なものが登場するということ。また、同開発の成果はライセンスに基づきOEM供給も可能だというのも特徴だ。

 開発は、ドイツのミュンヘン近郊ウンターシュライスハイムにある「BMWグループ自動運転キャンパス」、ジンデルフィンゲンの「メルセデス・ベンツ・テクノロジー・センター(MTC)」、インメルディンゲンの「ダイムラー・テスティング・アンド・テクノロジー・センター」という3ヵ所で行なわれる。1200人以上の専門家が開発に携わるという。

2024年までに乗用車以外にも
バスやトラックにも自動運転を投入予定

 また、2018年4月の発表では、同時にメルセデス・ベンツとBMWの自動運転技術の市販車への導入のロードマップも示された。それによるとメルセデス・ベンツは、2020年代半ばまでに高度自動運転(レベル3)および完全自動運転(レベル4/5)車両の市場投入を計画しているという。また乗用車だけでなく、バスやトラックへの展開も示唆されている。

 一方、BMWは、メルセデス・ベンツとの共同プロジェクトとは別に、すでに自前の研究を進めており、その技術は自動運転レベル3の「BMW iNEXT」として2021年に市場投入を予定しているという。

 両社が共同研究する次世代の自動運転技術の市場投入は2024年よりも前が目標となるが、BMWはその前の2021年にレベル3を実用化させるというわけだ。目標達成は、それほど簡単ではないと思うが、2社はどちらも世界トップクラスのプレミアム・ブランド。大衆車ブランドよりも、自動運転技術にかかる費用を車両価格に反映しやすいという強みがある。宣言の通りにドイツのプレミアム・ブランドが自動運転技術の実用化のトップランナーとなるのか。それとも、日本やアメリカのメーカーが割って入るのか。自動運転技術という次世代技術の開発競争はまさに佳境に差しかっていると言えるだろう。

筆者紹介:鈴木ケンイチ


 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。



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