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開発者でも扱いやすいKubernetesサービスメッシュ環境、商用OpenStackディストロ最新版も同時発表

レッドハット「OpenShift Service Mesh」など国内発表

2019年09月30日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 レッドハットは2019年9月26日、Kubernetesアプリケーションのサービス間通信管理プラットフォーム「Red Hat OpenShift Service Mesh」と、IaaSプラットフォームの最新版「Red Hat OpenStack Platform 15」の国内提供開始を発表した。

 同日の記者説明会には米レッドハットから製品担当者が出席し、両新製品の特徴やユースケースに加えて、レッドハットが考える「オープンハイブリッドクラウド」戦略やエッジコンピューティング戦略を説明した。

レッドハットの掲げる「オープンハイブリッドクラウド」ビジョン。あらゆるワークロードをあらゆる場所に展開可能にするのが目標

レッドハット クラウドプラットフォーム 製品担当VPのジョー・フェルナンデス(Joe Fernandes)氏

レッドハット プリンシパル・プロダクトマネージャーのマリア・ブラッチョ(Maria Bracho)氏

Istioをコアとした使いやすいサービスメッシュ環境「OpenShift Service Mesh」

 OpenShift Service Meshは、今年6月に国内発表されたエンタープライズKubernetesプラットフォーム「Red Hat OpenShift 4」上で稼働するサービスメッシュプラットフォームだ。オープンソースソフトウェア(OSS)の「Istio」や「Kiali」「Jaeger」などを組み合わせたうえで、設定済みの単一パッケージとして提供されるため容易に展開できる。

OpenShift Service Meshの概要

 OpenShift Service Meshは、Kubernetesアプリケーションとして実装されたマイクロサービス間通信の作成や検出、ダッシュボードやメッシュトポロジーの可視化、エンドトゥエンドのトレースとパフォーマンス計測、ポリシーベースのルーティングやセキュリティといった機能を提供する。またAPIゲートウェイ「Red Hat 3scale」を合わせて展開することで、APIレイヤーでのより詳細なコントロールが可能となり、アプリケーションエンドポイントとサービスバックエンド間の“North-South”トラフィックフローがシンプル化されるとしている。

 フェルナンデス氏は、OpenShift Service MeshはIstioをコアに構成されているが、そのほかのOSSコンポーネントも統合することで、開発者にとって利用しやすい「包括的なソリューション」を構成していると説明した。「開発者たちがワクワクするような新しいイノベーションであり、(9月上旬の米国発表後には)多くの注目を集めている」(フェルナンデス氏)。

 なおOpenShift Service Meshは、OpenShift 4に統合されているOperatorHubレジストリのカタログから入手可能となっている。

OpenShift Service Meshによるサービスメッシュのビジュアル化機能

 OpenStack Platform 15は、コミュニティ版OpenStackの“Stein”リリースと、最新の「Red Hat Enterprise Linux 8(RHEL 8)」をベースに構成されたIaaSプラットフォーム。来年2020年に登場する長期サポートリリース(ロングライフリリース)となるOpenStack Platform 16に向けた、短期(12カ月間)サポートリリースとなる。

 今回のリリースでは、NVIDIA GPU/vGPUのサポートによりAI/機械学習ワークロードに高いパフォーマンスを提供するほか、ネットワーク性能向上、IPSec VPN暗号化処理のNICオフロード向上、IBM POWER9 LE PowerVMハードウェアのサポートといった機能強化点が発表されている。

OpenStack Platform 15はコントロールノードに最新のRHEL 8を採用している(ゲストOSとしてのRHEL 8はOpenStack Platform 10以降でサポート)

OpenShift 4は「より賢い」エンタープライズKubernetesプラットフォーム

 フェルナンデス氏は、レッドハットのオープンハイブリッドクラウド戦略におけるOpenShiftの位置付けについて説明した。

 ビジネスアプリケーションの多様化を背景に、現在のエンタープライズはハイブリッドクラウド環境を求めている。そのためのプラットフォームとして顧客がOpenShiftを選ぶ理由として、フェルナンデス氏は「信頼性の高いエンタープライズKubernetesプラットフォーム」「クラウドライクな(利便性や俊敏性の高い)体験」「開発者にイノベーションの力を与える」の3つを挙げる。

OpenShift 4の特徴

 今年リリースしたOpenShift 4においては、「より賢い(Smarterな)Kubernetesプラットフォーム」という方向性を打ち出している。フェルナンデス氏は、OpenShift 4では特に「Day 1、Day 2の(導入時、導入後の)オペレーションの自動化と効率化」「イミュータブル(不変の)インフラ」「Kubernetes Operator Framework」という3つのテーマにフォーカスしたと述べた。

 OpenShift 4では、インストール作業もフルスタックで自動化されている。たとえばAmazon Web Services(AWS)環境においても、ユーザーが必要な作業はクレデンシャル情報の入力だけで、インスタンスのデプロイ、ネットワークやストレージの構成、Kubernetesなどのソフトウェアインストールまですべて自動化されている。今後、Microsoft AzureやGoogle Cloud Platform(GCP)、IBM Cloudなどでもこれを実現していくと説明する。

 また、Operator Frameworkは「Kubernetesにおける最大のイノベーションの1つ」だとフェルナンデス氏は語った。Operator Frameworkは、Kubernetes環境上でステートフルなアプリケーションクラスタの展開や運用を自動化する仕組みを提供してくれる。レッドハットではこのOperator Frameworkに対応したパッケージリポジトリ「OperatorsHub.io」を提供しており、これを通じてレッドハット自身だけでなく、パートナーのソフトウェアベンダーも数多くアプリケーションを提供している。

10月リリース予定のOpenShift 4.2では、AWSに加えてAzureやGCPでも完全自動デプロイを実現する

Operator Frameworkを通じて、レッドハットやISVパートナーのアプリケーション導入も自動化、簡素化している

 またIBMとの協業により、システム用途別に複数のIBMミドルウェアコンテナ群をOpenShift上で稼働するかたちでプリパッケージした「Cloud Paks」も展開している。アプリケーション開発環境(Cloud Pak for Applications)、データ統合/分析環境(同 for Data)、アプリケーション/データ統合(同 for Integration)などがある。IBMにとってのメリットを、フェルナンデス氏は次のように述べた。

 「IBMの顧客は皆ハイブリッドクラウド化を進めている。IBMにとっては、これまで顧客データセンターで展開されてきたミドルウェアソリューションが、どこでも、マルチクラウドで横断的に展開しやすくなる。これにより、顧客企業のクラウド採用がさらに加速するだろう」(フェルナンデス氏)

買収元であるIBMとの協業により、ユースケース別にミドルウェアレイヤーまでパッケージ化したソリューションを提供している

 一方、ブラッチョ氏は、オープンハイブリッドクラウドビジョンの中でも特にエッジコンピューティング領域における戦略を説明した。

 ブラッチョ氏が示した市場予測データによると、グローバルのエッジコンピューティング市場は、2019~2025年の6年間に年平均成長率(CAGR)54%で急拡大していく見込みだという。特に期待されるユースケースとして、ブラッチョ氏はエンタープライズのリモート/ブランチオフィス、通信事業者の5Gネットワーク基地局、製造業IoTの3つを挙げる。

 またブラッチョ氏は、エッジコンピューティングにおいては単純な「コア」「エッジ」の2階層ではなく、より細かなエッジ層(Edge Tier)が必要になるだろうと説明し、“どんな場所でも(Any Location)”というレッドハットのオープンハイブリッドクラウドの戦略を、さらにエッジコンピューティングにも拡張していく方針であることを強調した。

エッジコンピューティング市場の成長予測

ひとくちに「エッジ」と言っても、実際には何層にも分かれる

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