重厚感に包まれた、マジックとトリックを織りなす新しいテクノロジー:
アップルiPhone 11 Pro Max先行レビュー:例年以上にテクノロジーの面白さが詰まった1台
2019年09月17日 20時00分更新
●秘密のU1チップ
最後に、通信周りについて触れておきましょう。
今回は5Gに対応しなかったため、あまりアピールされていませんが、通信周りでも高速化が進んでいます。今回のiPhoneの世代で、IEEE802.11ax、いわゆるWi-Fi 6をサポートし、通信速度が最大38%向上します。加えて、多ユーザー環境でも接続までの時間が短縮するなど、より快適さを追求したWi-Fi環境に対応するようになります。
もちろん、Wi-Fiステーション側がWi-Fi 6に対応しなければその恩恵に授かれないため、iPhone 11だけではあまり意味がないのですが、今後整備される次世代Wi-Fiに対応する点は、長く使う上でありがたいポイントです。
そしてもうひとつ、超広帯域通信(Ultra-wide band、UWB)に対応するU1チップというワイヤレスチップが新たに搭載されました。これはWi-FiやBluetoothではつかめなかったデバイスの方向や距離を正確に取得することができるようになる仕組み。
次のソフトウェアアップデートで、iPhone 11シリーズ同士のAirDropをする際、iPhoneを向けた方にいる人のデバイスを優先的に表示する機能を実装するそうです。
UWBは近接データ通信の規格としても期待され、Bluetoothより高速な通信にも対応しますが、現状普及には至っていません。一方、車のセンサーやレーダーなどで用いられるパターンが見受けられるようになりました。アップルもクルマで人や障害物を検知するセンサーの例を挙げ、UWB活用で大きなアドバンテージを得ることになる点を指摘していました。
●例年以上に面白さが詰まった1台だった
iPhone 11、iPhone 11 Pro Maxの新しい部分について、実際の使用感を交えてお伝えしてきました。
堅牢性とバッテリー持続時間という、すべてのスマホユーザーの悩みに対処し、常に連携するカメラシステムを構成する2つ・3つのカメラのユニークかつ効果的な連携、そして新しいワイヤレス技術への対応と、今年は例年以上にテクノロジーとしての面白さが詰まった1台だった、という印象でした。
技術の踊り場を停滞とせず、次世代モデルの主役となる技術を専攻して導入していく、そんなアップルの強さと余裕が現れた新モデルとして、楽しめるはずです。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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