I/O帯域が拡大したことで
各社が対応製品を発表
性能ではもう1つ、I/O帯域の大きさもポイントとなっている。プレスリリースでも触れられているが、今回の第2世代EPYCの発表にあわせて、以下の発表があった。
1) イスラエルのMellanox Technology Ltd.(今年3月にNVIDIAによる買収が発表されたが、買収完了は今年末の予定なので、現時点ではまだ独立企業のままである)はPCI Express Gen4に対応したConnectX-6という200GbpsのInfiniband/Ethernetアダプターを発表した。
2) 米Broadcom, Incは200GbpsのEthernetとHBA(Host Based Adapter:Fiber Chaneel向けI/F)を第2世代EPYC向けに発表した。
3) MarvellはすでにPCIe Gen4x4に対応したコンシューマー向けNVMe SSDのコントローラーを8月1日に発表しており、EPYCの発表にあわせてサーバー向けのNVMeOF(NVMe Over Fiber:NVMe SSDを光ファイバーと直結するもの)も発表した。
4) Samsungは第2世代EPYCに対応したSSD 2製品(PCIe Gen4x4 U.2タイプで容量30.72TBのものと、PCIe Gen4x8のPCIeカードタイプで容量15.36TBのもの)と、第2世代EPYC向けの高密度RDIMM/LRDIMMを発表した。
5) XilinxはPCIe Gen4x16(正確にはGen4 2x8)に対応したFPGAアクセラレーターカードとしてAlveo U50を発表など、PCIe Gen4に対応した拡張カード類が投入され始めている。現状インテルはPCIe Gen4に対応していない(これは来年のIce Lake-SP待ちである)から、現時点では事実上第2世代EPYC向け製品と評して差支えないだろう。
以上のように、インテルに対してかなり競争力の高い製品を手にしたAMDが、今後どの程度のペースでサーバー向けシェアを獲得していくかは興味あるところだ。
ただ見どころはシェアそのものよりも、このAMDの価格競争力に対抗するためには、インテルも壮絶な値下げが必要になると思われることで、これは同社のサーバー部門の利益率を直撃することになりそうな点だろう。今年の第3四半期以降のサーバー部門の動向が楽しみである。

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