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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第522回

プリンターでも大成功を収めたHP 業界に多大な影響を与えた現存メーカー

2019年08月05日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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HP初のハンドヘルドコンピューター
HP-75Cが誕生

 シリーズ80を手掛けたオレゴンのCorvallis部門は、1981年にシリーズ80の部隊をPersonal Computer部門として分離、1983年に再合併する、という話は前回も書いたが、この2つの部門が分離している間にCorvallis部門が手掛けたのがHP-75Cである。

これは後期型のHP-75D。HP-75との違いはバーコードリーダーの機能が追加されたこと

 歴史的にこれが最初の製品とは断言しかねるのだが、少なくともHPとしては初のハンドヘルドコンピューターである。ポケットサイズでありながら、BasicがROMで搭載され、自分でプログラムを組んで動せるという意味では間違いなくコンピューターとして良い。

 このサイズで、自分でプログラムを組めるという意味では、Corvallis部門が1979年に発売したHP-41が最初の製品である。

これは後期型のHP-41CXに熱転写プリンターを接続した状況

 こちらは逆ポーランド記法でプログラムを自分で組める製品であるが、基本は電卓である。これに対してHP-75Cは(プログラムをロードすれば電卓として利用することも可能だが)、そうした使い方は想定されていない。

 これはキーボードを見れば明白で、通常のQWERTY配列になっており、数字キーも一列に並んでいるとは言え、電卓的に使うことは想定していないのは明白である。

 HP-75Cに搭載されたCPUは、HP-85と同じ8bitの独自CPUでコード名はCapricornだったそうだが、HP-85のものはNMOSで製造されており、613KHz駆動での消費電力は330mWだったのに対し、HP-75VのCapriconrnはCMOSでの製造に変更されており、省電力化が図られていたそうだ(動作周波数は613KHzのままとのこと)。

 標準で16KBのRAMと48KBのROMが搭載され、RAMは最大24KBまで拡張可能。液晶画面は1行×32桁で、昨今のスマートフォンに慣れた人には信じられないほど不便に見えるだろうが、当時はこれでも結構使い物になった。他に磁気メモリーカードリーダー(1枚あたり1.3KB)が内蔵されている。

HP Journalの表紙より。磁気カードを読み込ませている様子。手前に置いてあるユニットが磁気カードリーダーの部品である

 同じCPUを使うとは言え、メモリー容量や周辺回路などがまったく違うためもあってか、HP-85とのソフトウェア互換性はなかった模様だ。ほかにHP-ILポート経由でテープレコーダーやFDD、モデム、プリンター、さらにはCRTまで接続可能という拡張性の高さを誇った。

 さてこのHP-75C、当初の価格は995ドルであった。2年後にはバーコードリーダーを追加搭載したHP-75Dが1095ドルで発売される。

 このHP-75DはCODE11/CODE39/UPCとEANという4種類のバーコードを読み取りできたので、バーコードを使っての在庫管理などにHP-75Dを使って直接バーコードを読み取り、事務所に戻ってFDDに読み取り結果を書き込んで保存するという使い方が可能であり、実際そういうニーズに向けて発売された製品である。

 ほかに、低価格モデルとしてHP-71Bという製品も1983年に発売された(こちらは合併後のためか、Personal Computer部門からの発売になった)。基本的には同じ見かけだが、利用可能なRAMが17.5KBに減り、また磁気カードリーダーはオプションになり、その代わり550ドルというお手頃価格になっている。

 さぞかし売れただろう、と思ったらさっぱりだった理由の1つは、HP-75とソフトウェア互換性がなかったからだそうだ。なんでも搭載しているBASICインタープリターのバージョンが異なっていたらしい。

 このHP-75は爆発的に売れた、というほどではないにしても、間違いなくハンドヘルドコンピューターというジャンルを確立したのは間違いなく、これに続く製品がこの後も登場することになった。

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