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Jリーグとドコモがタッグでデジタル戦略 パートナーと進める三方よし

JリーグID活用によるデジタルマーケティグ戦略

2019年07月11日 06時00分更新

文● 文● 末岡洋子 編集● ガチ鈴木/ASCII編集部 写真●曽根田元

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 現在、JリーグIDを利用してアプリ、チケット購入、オンラインストアなどを利用できるほか、鹿島や仙台など一部スタジアムが提供するWiFiにも接続できるようになっている。JリーグIDに紐づけてデータを蓄積できる基盤が整ったが、狙うは顧客サービスの向上だ。

 現在の施策として、チケットやグッズ購入、スタジアム来場、ファンクラブ加入などに対してポイントが付与されたり、先行してチケットが当たるなどの特典を提供している。最近では、来場すると活躍した選手の名前でメールが届くと行ったパーソナライズや試合に応じたコミュニケーションも少しずつ実現しているという。

 モバイルアプリは念入りに進めた。「アプリは難しい。画面の2ページ目までに入らないと使われないなどと言われており、ビックプレイヤーがひしめく市場。そこで差別化を図る必要があった」と杉本氏。単に試合結果が届くだけでは勝てないと判断し、「スタジアム体験の向上」にフォーカスすることに。まずはスタジアムに来てもらうため、「誘い・誘われ」を起こすことにした。「スタジアム来場のきっかけとして最も多いのが”友達や家族に誘われた”。よくスタジアムに来ていただいている人にアプリを使ってもらい、その方たちが誘うきっかけを作る仕組みをアプリの中で実現することにした」という。

 試合に行きGPSでチェックインすると観戦メダルやボーナスメダルが獲得できるほか、Twitterでつぶやいたり、友達紹介などでメダルがたまる仕組みで、メダルが3枚たまるとガチャを引くことができる。景品をペアチケットにすることで、コアなファンがライトファンを誘うことにつながる。

 2018年に初めて1シーズン通じて運用したが、結果は上々。「MAU(月間アクティブユーザー)は右肩上がりで伸びている」と杉本氏。アプリの使用に応じてランクを分けているが、半数以上がランクアップを経験したという。MAU率は3割を超えており、「ダウンロードするだけでなくちゃんと使ってもらえるアプリになった」と感じている。潜在ファンからマニアまで6段階に分けている顧客セグメントでは、スタジアム来場の8割を占める上位2層のサービス利用率が約18%と36%ーーこれらの数字からスタジアム来場者の約25%程度がアプリを保有していると予想できる。例えば2018年12月に横浜F・マリノスが日産スタジアムで行った試合では、アプリでチェックインしてメダルを獲得した人は24%に達したそうだ。先行すると言われる米国のスポーツ団体でも10%に到達していないところもあり、「世界で最もスタジアムで使われているアプリかもしれない」と杉本氏は胸を張る。

 

 狙いである”誘い・誘われ”の効果はどうか? Jリーグのタイトルパートナーである明治安田生命から低y校された2018年シーズンのチケットを見たところ、「誘い」は男性が66%を占め、「誘われ」では男性46%、女性47%。「男性が女性を誘っているのが顕著。”チケットあるから行かない?”という会話が出てきているのではと推測している」という。

 アプリストアでの評価もよくで、「AppStore」では5ポイント満点中4.4ポイント、「Google Play」は同4.1ポイントとなっている(注:2019年6月25日時点)。

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