コミュニケーションを重視する社長交代
この数年、中途採用を積極化することで、AIやアナリティクス、セキュリティー、クラウド、ブロックチェーンなどのスキルを持った社員を中心に採用。会社全体のスキルチェンジを図ってきた。
外からは「日本の企業らしい文化を持っていた日本IBMが、名実ともに外資系企業になってしまった」と、変化を指摘する声も多い。しかし、厳しい業績のなかで痛みをともないながら変革を進めてきた結果がそれであり、大ナタを振るうには、外国人社長ならではの厳しい判断が求められていた期間であったとも言えそうだ。
3代に渡る外国人社長が日本IBMの構造改革を成し遂げ、アクセルを踏むことができる新たな体質へと移行したところで、成長戦略に最適な日本人社長にバトンを渡したともいう構図に見えなくもない。
山口社長も「外国人社長の期間は、日本IBM自身が変わらなければならないタイミングであり、社内にも、新たなやり方をしなくてならないという意識が高まっていた。それがあったからこそ、いま日本IBMは顧客のデジタルトランスフォーメーションに対応できる会社に生まれ変わることができた。プラスの部分がたくさんあったと思っている」と振り返りながらも、
「だが、コミュニケーションはもう少し丁寧にする必要があった。今後、顧客やパートナーとの信頼関係は、いままで以上に強いものを築くことができるだろう」とする。
コミュニケーションを重視するための日本人社長への交代であるということは、前社長のエリー・キーナン氏と、山口社長が同じ1964年生まれであり、若返りによる社長交代ではない点からも感じられる。
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