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業界人の《ことば》から 第350回

日本IBM7年ぶりの日本人社長就任は何を意味するのか

2019年07月04日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII

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今回のことば

「日本IBMは、最先端のテクノロジーと創造性を持って、お客様とともに、仲間とともに、社会とともに、あらゆる枠を超えて、より良い未来づくりに取り組む企業グループを目指す」(日本IBM・山口明夫社長)

 日本IBMに7年ぶりの日本人社長が誕生した。2019年5月1日付で就任した山口明夫氏だ。

 2012年には同社初の外国人社長として、ドイツ出身のマーティン・イェッター氏が社長に就任。2015年には、ハワイ出身のポール与那嶺氏が就任。そして、直近までは、イスラエル出身のエリー・キーナン氏が社長を務めていた。

 振り返ってみれば、日本IBMで外国人社長が陣頭指揮を執っていたこの間、米IBMは、大きな変革のなかにあった。そして、当然のことながら、日本IBMにとっても大きな変革の時期だった。

 米IBMは2012年に、ジニー・ロメッティ氏が会長兼社長兼CEOに就任。そこから、「コグニティブソリューション(AI)とクラウドプラットフォームの企業」になることを標榜。IBMのデジタルトランスフォーメーションに積極的に取り組んできた。

 だが、この変革は大きな痛みをともなうものであった。

 というのも、米IBMは2017年度第4四半期(2017年10~12月)に増収となるまで、実に23四半期連続での減収を続けてきたからだ。まさに、ロメッティ体制となってからの5年間、減収を続けてきたのだ。日本IBMも同じであり、2017年第2四半期(2017年4~6月)までは減収基調が続いていた。

 減収を続けながらも、AIとクラウドの会社になることに取り組み、ようやく増収基調へと変わり始めたのが2018年。それでも、成長というにはまだ力強さはなく、2019年第1四半期(2019年1月~3月)は再び減収になるなど安定感はない。だが、全体的に増収基調へと転じたことで、アクセルを踏み込める体質へと変わってきたのは明らかだろう。

 2018年11月には、340億ドルという巨大な金額でレッドハットを買収。これも、新たな時代に向けてアクセルを踏むIBMにとっては重要な布石のひとつになる。

 日本IBMも同様に、AIとクラウドの会社になることに向けて体質転換を進めてきた。

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