遊び心がある、Ginza Sony Parkの持ち味を
実は、今回の企画は、旧ソニービルの最後のイベントになった「It's a Sony展」の経験が生かされている。
2016年11月~2017年3月までに開催された「It's a Sony展」では、800台以上のソニー製品を展示した。ここでは、ソニー製品を見て、自分が使っていた頃を思い出し、友人、家族、恋人と、楽しそうに話している姿があちこちで見られたという。
ソニー企業の永野社長は、「ソニーの存在価値は、製品を作るだけでなく、お客様の物語を作っているという点。この展示会を通じて、製品はソニーと人をつなぐインターフェースではないかと考えた。ソニーという会社は、人の物語をつないでく会社である。ソニー製品を使って、そんな展示をもう一度やってみたいと思っていた。この想いをテーマにして企画を進めた」とする。
今回のイベントでは、Ginza Sony Parkの地上から地下4階までの全フロアを使用し、40年分のウォークマンとの思い出話と、ライフスタイルの変化にあわせて進化した多様なウォークマンを展示。園内を回遊しながらその歴史を体感できるようにしている。
そして、「It's a Son展との違いは、実際に触ることができ、聴くことができる。2歩も進んでいる」と笑いながら、「ウォークマンと人々の音楽体験がシンクロするそれぞれの物語を楽しんでもらいたい」とする。
そのほか、232台の歴代ウォークマンを展示した「Walkman Wall」、高さ2.5メートルのBig Walkmanの展示、アーティストによって遊び心あふれるカスタマイズを施した作品展「Coustom Walkman」、全9種類のウォークマン40周年記念Tシャツの販売に加えて、園内を巡りながらウォークマンロゴのスタンプを集めた人に、40周年記念ブックレットをプレゼントするスタンプラリーも行われる。
「#009 Walkman in the Park」の開催期間は、2019年9月1日まで。開催時間は午前10時~午後8時まで。入場は無料。
一方、ソニー企業の永野社長は、2018年8月に開園して以降のGinza Sony Parkの状況についても説明。「2019年6月末までの来園者数は、345万人。一日あたり1万1000人が訪れており、ソニービル時代に比べて、約120%になっている。これまでに、8回の大型イベントを開催し、毎週金曜日の夜や土日には、パークライブと呼ぶアーティストによるライブを、これまでに89回を開催。これらを含めて、180以上のイベントを開催してきた」とし、「Ginza Sony Parkに感じる印象を聞いたところ、遊び心があるという回答が最も多かった。
永野 「ソニーのDNAである『遊び心』をGinza Sony Parkを通じて感じてもらっている。また、銀座の街に新しいリズムを作ることができた。人が生きるにも、街にはリズムが必要である。その役割を果たすことができたと感じている。一方で、なにをしにきたかという質問に一番多かった回答が休憩であり、パブリックスペースとしてソニーパークを使ってもらっている。これらは喜ばしい結果である」
一方で、「これまで、なにをしなかったのかという点では、ソニー製品の展示はしてこなかったことがあげられる。地下1階に、aiboが2匹放し飼いになっているだけである。なぜ、ソニー製品を展示しなかったのか。それは、かつてのソニービルはショールームビルであったが、Ginza Sony Parkはショールームではないからだ。Ginza Sony Parkは、公園という場所であり、ソニーが作った公園という、ソニーのひとつの製品ともいえる。公園そのものから、ソニーらしいと感じてもらえる場所である」と述べた。