2019年6月20日、Dropbox Japanは自社イベント「Dropbox Connect」の開催にあわせてプレスイベントを開催。来日したクエンティン・クラークCTOは、SlackやZoomとの連携やIT部門向けの監査・レポートなど、Dropboxの最新機能について説明した。
作業を1箇所にまとめたクラウド上のワークプレイスに向かう
発表会で登壇した米Dropbox CTOのクエンティン・クラーク氏は、今のナレッジワーカーの課題として、コンテンツの分散、ツールの分断、困難なチーム連携の3つを挙げる。「テクノロジーが断片化につながっている。仕事は散らばり、さまざまなツールが使われている」(クラーク氏)。チームがダイナミックに変化し、現場のユーザーがおのおの好きなサービスを持ち込んだことで、ツールはバラバラになり、クラウド上にコンテンツが分散してしまっている。
こうした状況を解消すべく、最新のDropboxでは各社のクラウドサービスとの統合を推し進め、IT部門向けにも管理とセキュリティ機能を強化しているという。
まずはG Suite対応がGAになった。Googleドキュメントやスプレッドシート、スライドなどのファイルをDropboxから作成し、さらに共有できる。OfficeのファイルをOffice OnlineやGoogleドキュメントで開くことも可能になる。また、クラウドサービスやWikiページ、ニュース記事などのウェブショートカットをコンテンツといっしょにDropboxに保存できるようになった。
SlackとZoomとの連携も強化され、Dropboxの中からSlackの会話を開始したり、Zoom Meetingに参加したり、ファイルのリンクをチャンネルに送ることが可能になった。SlackとZoomの共有アクティビティはDropboxファイルの横に表示されるという。クラーク氏は「Dropboxユーザーは作業を中断することなく、Dropboxにとどまったまま、SlackやZoomを利用できる」とアピールする。JiraやTrelloなどを擁するAtlassianとのパートナーシップも提携され、今後数ヶ月の間でプロジェクトの管理や調整も容易になるという。
デスクトップアプリも強化され、先行アクセスで提供される。フォルダの最上部へのファイルのピン留め、フォルダの説明追加、ToDoリストの作成、チームメイバーへのメンション付け、最新のファイルアクティビティの把握、ファイル閲覧者の表示やコメントなどの機能が追加される。
ツールやコンテンツが分散化し、管理が困難になっているIT部門に向けた機能も紹介された。まずはチームとメンバーの管理を効率化するため、マルチチームの管理が可能になり、チーム管理がますます簡素化された。また、ビジネスアカウントから個人アカウントへの変換、チームやメンバーごとの容量制限なども可能になっている。
データセキュリティやコンプライアンスの実施も実現。ダウンロードの無効化やディレクトリの制限、リモートワイプ、国内でのデータ保存も可能だ。さらに、ユーザーのアクティビティを追えるページも用意され、IT部門向けのレポートも充実しているという。
1日のうち35%を本業以外に費やす日本の働き方
冒頭にDropbox Japan代表取締役社長の五十嵐光喜氏は、先日発表された国内でのデータ保管サービスの開始をアピールした後、働き方改革の課題について説明した。
Dropbox、東洋経済新報社、MRIが約2000人を対象に行なった調査では、日本のサラリーマンの就労時間は8.9時間で、そのうち本業で費やしているのは65%に過ぎないという。1日のうち、約190.9分は本業以外に時間を費やしていることになる。
本業以外の作業はトップはファイルやメールを探す時間、会議や打ち合わせの調整、メールの受信確認、ソフトウェアをまたいだ作業などで多くの時間が費やされているという。五十嵐氏は、「新しいDropboxでは本業でない時間を大きく削減できるはず」とアピールした。
高性能なクラウドストレージを基盤に、さまざまなサービスを統合し、コミュニケーションのハブとなるクラウド上の「ワークプレイス」を目指すDropbox。同じ方向性は多くのSaaSが目指すところなので、こうしたワークプレイス争いが今後は加速するとみられる。