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“Catalystブランド初”のAP、Catalyst 6500/6800シリーズ後継キャンパスコアスイッチなど

シスコ、Wi-Fi 6対応無線LAN APとスイッチを国内提供開始

2019年06月03日 07時00分更新

文● 谷崎朋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 シスコシステムズは2019年5月29日、次世代Wi-Fi規格「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」対応の「Cisco Catalyst 9100シリーズアクセスポイント」(9115/9117/9120)および「Cisco Merakiアクセスポイント」(MR45/MR55)、企業ネットワーク基盤(キャンパスネットワーク)向けコアスイッチ「Cisco Catalyst 9600シリーズスイッチ」を発表した。

今回発表されたCisco MerakiアクセスポイントとCisco Catalystアクセスポイント、Cisco Catalyst 9600シリーズスイッチ

発表会に出席した、シスコシステムズ 執行役員 エンタープライズネットワーク事業担当の眞﨑浩一氏

Wi-Fi 6対応のCatalyst/Merakiアクセスポイント、大容量キャンパスコアスイッチ

 Catalyst 9100シリーズアクセスポイントは、Catalystブランド初の無線LANアクセスポイント。小規模/中規模環境向けの9115と9117、ミッションクリティカル環境向けの9120の3機種をラインアップしている。

 これまで本体サイズは機能の多様化などによって大型化する方向にあったが、今回の製品では大幅なコンパクト化と軽量化を実現。さらに従来の「Cisco Aironetシリーズ」のマウントブラケットに対応することで顧客の投資保護を図り、高い密閉性と放熱設計、PoE給電(802.3af/at/bt)対応でさまざまな利用シーンに対応する。

Cisco Catalyst 9000シリーズアクセスポイント

 機能面については、OFDMAおよびMU-MIMO、BLE(Bluetooth Low-Energy、9120はさらにZigbeeやThreadなどにも対応)、Cisco DNA Assuranceなどをサポート。なお9120向けには、高度なリアルタイム分析機能や不正検知など各種セキュリティ機能を提供する専用ASIC「Cisco RF ASIC」を開発している。

Catalyst 9120向けに開発された「Cisco RF ASIC」

 クラウド管理型のCisco Merakiアクセスポイントでは、MR45(4x4:4、2.5Gbps mGig Ethernet)とMR55(8x8:8、5Gbps mGig Ethernet)の2機種が発表された。BLE、セキュリティ、RF管理で個別の専用帯域を使用するデュアルバンドをサポート。

 なお6月10日から始まる「2019 全米オープンゴルフ選手権」では、このMerakiアクセスポイントを使ったWi-Fi 6の実証実験を実施予定だ。ゴルフコース全域をWi-Fi 6でカバーして高速通信を可能にし、観客向けの大会アプリから360度VRによるコース案内や、ARによる仮想写真撮影、プレーヤーやコースに関する分析および詳細情報の提供、舞台裏の映像提供などを行う。

Cisco Merakiアクセスポイント(MR45、MR55)

 シスコでは、モバイル通信とWi-FiのID連携によるシームレスかつセキュアなローミングを提供する「OpenRoaming」の取り組みを推進しており、それを実現するためにパートナー企業(Presidio、Clairなどのアクセスプロバイダーや、boingo、globalreach、SamsungなどのIDプロバイダーやデバイスメーカー)とのエコシステムを構築している。Wi-Fi 6対応の新アクセスポイントを提供することで、通信が中断することのない快適なローミング体験の実現に一歩近づく。

「OpenRoaming」はプロバイダ間でID連携を行い、新たな(別の)ネットワークに移動した際の自動認証/接続を可能にする仕組み

 コアスイッチのCisco Catalyst 9600シリーズは、これまで同社で最も評価された「Cisco Catalyst 6500/6800」シリーズの後継機。スイッチング容量25.6Tbps、Flexible Netflow(トラフィックに影響なくパケット解析を実現)やアプリケーションの可視化への対応、SD-Accessやプログラマビリティなど自動化のサポート、MACSec256(イーサネットレイヤーの暗号化など保護機構)やTrustworthy Systemsといった高度なセキュリティ機能の実装など、高い拡張性とセキュリティを実現。Wi-Fi 6やmGig(マルチギガ)の登場で、大容量のコンテンツを高速かつ低遅延で処理する広帯域な企業インフラへのニーズに応える。

Cisco Catalyst 9600スイッチシリーズ

Wi-Fi 6や5Gは「デジタル変革を後押しする進化」、企業は再考の時期と指摘

 今回のCatalystアクセスポイントと9600スイッチシリーズがCatalyst9000シリーズに加わることで、ほぼフルラインアップになるとシスコシステムズの執行役員、眞﨑浩一氏は述べる。「ハードウェアアーキテクチャのUADP AISCと、OSのIOS XEという共通基盤で動作する同シリーズは、キャンパスネットワークのエンドからコアまで一貫した統合環境を構築することが可能」で、同社が提唱するインテントベースネットワークの礎にもなるとした。

 Wi-Fi 6および5Gについて、眞﨑氏は「これまでのセルラー通信やWi-Fiといったワイヤレスは、個人のライフスタイルを変えてきた。だが、Wi-Fi 6および5Gはコネクテッドホームやコネクテッドカー、コネクテッドシティなどデジタル変革を後押しする進化。企業やビジネスにとっても、ビジネスチャンスを大いにもたらす可能性がある」と指摘した。

 その一方で、企業はデバイスや場所を問わず安全かつ安定して接続できるワイヤレス主導の環境を構築し、企業としての可視性を保ちながら誰もが共通のユーザビリティをもって活用できるマルチクラウド環境を提供、無数のデータポイントから上がってきたインテリジェンスを分析して効率的な運用につなげるといった課題を解決する必要があるとし、「企業はアクセス(ネットワーク)について再考する時期にある」と言及。次世代ワイヤレス時代を見据えた需要に期待するとした。

 今回発表された新製品群はいずれも販売を開始している(アンテナ内蔵版以外のCisco Catalyst 9120は夏ごろにリリース予定)。税抜価格(サービス料は別途)は、Cisco Catalyst 9115が13万円から、Cisco Catalyst 9117およびCisco Catalyst 9120は19万円から。Cisco Meraki MR45は1449ドルから(ライセンスは年間150ドル)、Cisco Meraki MR55は1849ドルから(ライセンスは年間150ドル)。Cisco Catalyst 9600シリーズスイッチは、最小構成で1200万円から(シャーシx1、スーパーバイザx1、ラインカードx1、電源x2)。

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