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担当幹部が「クラウド管理型Wi-Fiだけではない」プラットフォーム戦略を説明

「Cisco Meraki」新製品、Catalystチップやセキュリティ機能を統合

2019年11月26日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 シスコシステムズは2019年11月25日、クラウド管理型ネットワークソリューション「Cisco Meraki」シリーズで今月発表された新製品/新機能の記者発表会を開催した。「Cisco Catalyst 9300」スイッチのネットワークハードウェア(チップ)を初採用したMerakiスイッチや、セルラーネットワーク(LTE)ゲートウェイ、またデバイス認証やDNSフィルタリングといったセキュリティ機能が追加される。

Catalystスイッチのネットワークチップを搭載した新製品「Cisco Meraki MS390シリーズ スイッチ」

 発表会には米シスコのMeraki担当SVP兼GMのトッド・ナイチンゲール氏、日本市場の責任者である山移雄悟氏が出席し、Merakiビジネスの概況と新製品/新機能の概要、それらを含むMerakiの“プラットフォーム戦略”について説明した。

米シスコ Cisco Meraki担当SVP兼GMのトッド・ナイチンゲール(Todd Nightingale)氏シスコシステムズ シスコメラキ ジャパンカントリーリードの山移雄悟氏

Catalystの高パフォーマンス+Merakiのシンプルさを備えた新スイッチを投入

 今回発表された新製品は、ダウンリンクのマルチギガポートやアップリンクの10/40GbEポートを揃える「Cisco Meraki MS390シリーズ スイッチ」、LTEモデム内蔵のゲートウェイ「Cisco Meraki MG21/21Eセルラーゲートウェイ」の2製品。いずれもシスコの2020会計年度第2四半期(2019年11月~2020年1月期)から受注開始を予定している。

 MS390シリーズは、Merakiスイッチとしては初めてシスコ製のネットワークチップ(Catalyst 9300シリーズと同じもの)を搭載した製品。これにより「Merakiのシンプルさ」と「シスコスイッチのパワー」とを組み合わせた、「次世代のアクセススイッチ」が誕生したとアピールしている。

Merakiスイッチで初めてシスコ製ネットワークチップを搭載し、パワフルなネットワーキング能力を備える

 MS390シリーズは、1Uサイズで24/48ポートを備え、PoE+/UPOEに対応した合計9モデルで構成される。ダウンリンクにマルチギガ(2.5/5GbE)ポートを備えるモデル、またアップリンクに10GbE SFP+や40GbE QSFP+ポートを備えるモデルなどがあり、最大120Gbps×2のハードウェアスタッキングにも対応する。最大8台のスタッキングが可能。

 従来のMerakiスイッチと同様に、MS390シリーズもMerakiダッシュボードからシンプルに管理することができる。ゼロタッチでのリモートプロビジョニングにも対応。

 また新機能である「アダプティブポリシー」にも対応している。これは企業ネットワークを細かくセグメント化したい場合に、従来のようにネットワーク機器1台ごとにVLANやIPアドレスベースのACLを設定することなく、ネットワーク全体に一括してポリシーを適用できる機能だ。セグメント化したネットワークには、たとえば「IoTデバイス」「ゲスト」といった自然言語の名称を付けることができ、ネットワーク構成を変更した場合も自動的に追随する仕組みが出来上がる。

「アダプティブポリシー」のイメージ。「IoTデバイス」「ゲスト」といったネットワークセグメントをポリシーで構成し、一括管理できる

 2つめの新製品であるMG21/21Eセルラーゲートウェイは、LTEモデムを内蔵したインターネットゲートウェイだ(MG21が北米、MG21Eが全世界のLTE周波数帯に対応)。PoEまたはDC電源から給電する仕組みで、「IP67」の高い防水・防塵性能を持つため店舗や工場、倉庫などの屋外にも設置が可能。

 ナイチンゲール氏は、MG21/21Eは有線のインターネット回線が利用できないエリアでのプライマリWANのほか、フェールオーバー用のバックアップWAN、セキュリティUTMアプライアンス「Meraki MX」との接続によるVPN接続用のWANなどに利用できると説明した。

新製品「Cisco Meraki MG21/21Eセルラーゲートウェイ」の本体

「Umbrella」などシスコのセキュリティテクノロジーも統合

 また今回は、既存のMeraki製品に追加される新たなセキュリティ機能もいくつか発表されている。これらの新機能も2020会計年度の第2四半期から提供予定。

 「Trusted Access」は、無線LANアクセスポイントの「Meraki MR」シリーズで利用可能な、社員持込デバイスの認証機能(EAP-TLS、現状ではiOS、iPadOS、macOSデバイスに対応)。他のMDMソリューションを導入することなく、社員自身でセルフサービスポータルからプロファイルをダウンロードして、社内ネットワークへのセキュアな接続を開始できる。

 「Umbrella Licensing and Integration」は、DNSトラフィックを保護すると同時に、危険なWebサイトへのアクセスをDNSレベルでブロック/フィルタリングする「Cisco Umbrellaサービス」のセキュリティ機能を、Meraki MRシリーズに統合するもの(追加ライセンスが必要)。フィルタリングされたアクセスなどの情報は、Merakiダッシュボードで一元的に確認できる。

 そのほか、Meraki MSスイッチに接続されたMeraki MRアクセスポイントを自動認識し、自動的にスイッチ側のポート設定を行う「Secure Connect」、UTMアプライアンスのMeraki MXのファイアウォールルールの強化などが発表されている。

オフィスのITマネジメント全体をカバーする「プラットフォーム」こそが強み

 Cisco Meraki担当SVP兼GMのナイチンゲール氏は、Merakiビジネスの現況と、現在のMerakiが考える“プラットフォーム戦略”について説明した。

 まずMerakiビジネスの現況についてナイチンゲール氏は、現在190カ国以上、46万社以上の顧客がMerakiのソリューションを導入しており、「月に50万人以上がMerakiダッシュボードにアクセスしている」と語る。

グローバルの顧客数など、Merakiの現況

 ナイチンゲール氏は、クラウド上にあるこのダッシュボードこそがMerakiの“プラットフォーム”であり、他社にはない強みであると説明した。「最もシンプル」「最もセキュア」そして「最もインテリジェント」なプラットフォームであり、しかも単に無線LANだけでなく、セキュリティやSD-WAN、スマートカメラまで、企業の「ITマネジメント全体」を幅広くカバーするからだ。今回新たにMerakiに追加されたいくつかのセキュリティ機能も、このクラウドプラットフォームを通じて統合された。

 「Merakiが成功しているのは『最もパワフルなデバイス』をラインアップしているからではなく、このプラットフォームそのもの、つまりMerakiダッシュボードだと考えている」「たとえば一般的なホテルや学校、小売店舗などでは、無線LANだけでなく監視カメラの設置ニーズもある。Merakiならばスマートカメラ(Meraki MV)を、無線LANと同一のダッシュボードで簡単に管理することができる」(ナイチンゲール氏)

 ちなみにスマートカメラのMeraki MVシリーズは、アクセスポイントよりも速く成長しているという。その理由について、ナイチンゲール氏は「ローカル環境に記録装置が必要になるなど、これまでの(他社の)スマートカメラソリューションが複雑すぎたからではないか」と語る。またMeraki MVの場合はカメラにAI機能も内蔵しており、単に監視のための録画にとどまらず、たとえばレジ前の行列を検出してAPI経由で店員を呼び出すようなソリューションを構築することも可能だと説明した。

単に「クラウドから管理できる」だけでなく、他のソリューションとの連携、さらにアナリティクスや自動化といった機能も備える「プラットフォーム」へと進化していく方針

 また日本のカントリーリードを務める山移氏も、国内市場においてもMerakiは「クラウド管理型Wi-Fi」としてではなく、より幅広い領域をカバーする「プラットフォーム」として受容されつつあることを説明した。日本市場における2019会計年度の製品ジャンル別売上額を見ると、無線LANアクセスポイントはすでに50%を切っているという。

 国内でも5000社以上の顧客(パートナーによるマネージドサービスユーザーを除く)を持つMerakiだが、顧客の業界別構成比率では小売・レストラン、製造、医療・ホスピタリティ、教育機関が多い。特に最近は、教育機関における伸びが顕著だと山移氏は説明する。また国内市場における解約率は「1.3%」と非常に低いことも強調した。

日本市場における売上推移顧客企業の業界別構成比率

 日本市場向けの施策としては「エクスペリエンスの向上」を掲げる。すでにMerakiダッシュボードは日本語化されているが、今回は散在していたWebサイトを統合/リニューアルし、製品情報の日本語化を進めたほか、ウェビナーを24時間オンラインで受講できるよう整備した。また、パートナー企業向けの新たなコミュニティサイトも開設し、フォーラムやラーニングセンターといったコンテンツの提供を開始している。

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